外出先での急な作業や、リモートワークが当たり前になった現代ビジネスにおいて、テザリングはもはや欠かせないツールです。しかし、「気づいたらデータ通信量を使いすぎて、業務に支障が出てしまった…」という経験はありませんか？法人として従業員の通信コストを管理する立場であれば、なおさらテザリングのデータ利用量は気になるところでしょう。

本コラムでは、テザリングで消費されるデータ量の目安から、具体的なビジネスシーンでの活用事例、そしてデータ量を賢く節約するためのテクニックまで、HISモバイルの独自視点を交えて徹底解説します。この記事を読めば、従業員の生産性を高めつつ、通信コストを最適化するヒントが見つかるはずです。

テザリングとは？基本の仕組みと接続方法

テザリングは、スマートフォンなどのモバイル端末を中継器（モバイルルーター）として使い、PCやタブレット、別のスマートフォンなどをインターネットに接続する機能です。Wi-Fi環境がない場所でも、スマートフォンのモバイルデータ通信を利用してインターネット接続が可能になります。

主な接続方法は以下の3つです。

1. Wi-Fiテザリング
   • 特徴：最も一般的で、高速かつ安定した通信が可能です。複数のデバイスを同時に接続でき、社内ミーティングなどで複数人が利用するのに適しています。
   • 注意点：スマートフォンのバッテリー消費が比較的大きいため、長時間の利用にはモバイルバッテリーが必須です。
2. Bluetoothテザリング
   • 特徴：通信速度はWi-Fiに劣りますが、消費電力が非常に少ないのが最大のメリットです。メールチェックや簡単なウェブサイト閲覧など、データ量が少ない作業に向いています。
   • 注意点：通信速度が遅いため、動画視聴や大容量ファイルの送受信には不向きです。
3. USBテザリング
   • 特徴：USBケーブルでPCとスマートフォンを直接接続するため、最も通信が安定し、高速です。また、PCから給電されるため、スマートフォンのバッテリー切れを気にせずに利用できます。
   • 注意点：有線接続のため、利用場所が限定されます。

^{図：テザリングの仕組みと3つの接続方法}

テザリングで消費されるデータ量の目安と具体的なビジネスシーン

テザリングのデータ利用量は、接続先のデバイスで行う作業内容によって大きく変動します。ここでは、代表的なビジネスシーンでのデータ消費量の目安を詳しく見ていきましょう。

1. 外回り営業やフィールドワークでの情報収集・報告

• 利用シーン：顧客訪問前に企業のウェブサイトを確認したり、訪問後に営業日報をクラウドサービスにアップロードしたりする。
• データ消費目安：
  • ウェブサイト閲覧：1時間あたり約10MB〜30MB
  • メール送受信（テキスト中心）：1通あたり1MB以下
  • 日報アップロード（テキスト）：1件あたり1MB以下
• 消費量解説：主にテキストや軽量な画像が中心のため、データ消費は非常に少ないです。日々の営業活動では、月数GBのプランでも十分に対応できることが多いでしょう。

2. リモートワークでのオンライン会議

• 利用シーン：カフェやコワーキングスペースで、ZoomやMicrosoft Teamsを利用して社内会議に参加する。
• データ消費目安：
  • ビデオ会議（HD画質）：1時間あたり約1GB〜1.5GB
  • ビデオ会議（標準画質）：1時間あたり約500MB〜800MB
• 消費量解説：ビデオ会議は音声と映像の双方向通信が行われるため、最もデータ消費が大きくなります。1日に数回、長時間の会議に参加する場合、データ容量は10GB以上必要になることも珍しくありません。

3. 大容量ファイルのダウンロード・クラウド同期

• 利用シーン：プレゼン資料やCADデータなど、数GBある大容量のファイルを急いでダウンロードする。
• データ消費目安：
  • 1GBのファイルダウンロード：約1GB
  • クラウドストレージの自動同期：無意識にGB単位のデータを消費
• 消費量解説：ファイルサイズがそのままデータ消費量に直結します。特に注意すべきは、PCやタブレットのOSやアプリケーションの自動アップデートです。テザリング中にバックグラウンドでアップデートが始まると、一気に数十GBを消費してしまうケースもあります。

テザリングのデータ量を賢く節約する8つのテクニック

限りあるデータ容量を有効に活用するために、以下のテクニックを実践しましょう。

1. 用途に応じた接続方法の使い分け
   前述の通り、ウェブサイト閲覧やメールチェックなど、データ消費が少ない作業にはBluetoothテザリングを利用してバッテリーとデータ量を節約。高速通信が必要な場合はWi-FiテザリングやUSBテザリングを使い分けることが重要です。
2. バックグラウンド通信の停止
   テザリングを開始する前に、PCやタブレットのOSアップデートや、クラウド同期（OneDrive, Google Driveなど）の設定を一時的にオフにしましょう。
3. 通信量チェッカーの活用
   スマートフォンの設定画面や、OSに標準搭載されているデータ使用量チェッカーを定期的に確認する習慣をつけましょう。リアルタイムでデータ消費量を把握することで、使いすぎを防げます。
4. 動画・画像の最適化
   動画サービス（YouTube, Netflixなど）は、画質設定を「標準」または「低画質」に下げて視聴することで、データ消費量を大幅に削減できます。また、ウェブサイトの画像の表示を制限するブラウザ機能も有効です。
5. 大容量ファイルのダウンロードは避ける
   可能な限り、会社のWi-Fi環境や有線LANが利用できる場所で、大容量ファイルのダウンロードやアップロードを行いましょう。
6. 不要なタブやアプリケーションを閉じる
   ウェブブラウザのタブを多数開いたままにしたり、バックグラウンドで動作しているアプリケーションがあると、無意識のうちに通信が発生することがあります。使用しないものはこまめに閉じましょう。
7. 「データセーバー」機能の活用
   多くのスマートフォンやPCには、データ使用量を抑える「データセーバー」機能が搭載されています。この機能をオンにすることで、通信量を自動的に抑えてくれます。
8. 業務特化型モバイルルーターの導入検討
   テザリングの利用頻度が高い従業員には、法人向けに特化したモバイルルーターの導入も有効です。端末の利用状況を一元管理できるサービスもあり、管理者側の負担も軽減できます。

HISモバイルの法人向けサービス：データ利用量の課題を解決

HISモバイルでは、法人のお客様の多様なニーズに応えるため、柔軟なデータプランをご用意しております。テザリングを頻繁に利用されるお客様には、以下のようなプランがおすすめです。

• 大容量プラン：オンライン会議や大容量ファイルのやり取りが多い部署向けのプランです。高速通信を気にせず利用できます。
• データシェアプラン：複数の従業員でデータを分け合うことで、無駄な通信量を削減し、コストを最適化します。データ利用量にばらつきがある企業様に最適です。
• 利用状況の可視化：HISモバイルの管理ツールを使えば、従業員ごとのデータ利用状況をリアルタイムで把握・分析できます。これにより、最適なプランへの見直しや、無駄な通信の抑制が可能になります。