iPhoneの動作が重い・遅いと感じた時の原因と対処法・改善方法

今回のテーマは重くなったiPhoneの対処方法・改善方法についてです。
きびきびサクサク動作し、アプリ起動でも間髪入れずにパッと開くのがiPhoneのいいところですが、ずっと使い続けていると次第に動作が重く遅くなってくる場合があります。
普段の心地よい動作が当たり前になっている分、遅くなったり重くなったりするととても気になり不快感があるものですが、今回はそんなiPhoneの重さや遅さの原因と、その対処法・改善方法について解説します。
これを読めば重くなったiPhoneもたちどころにきびきびサクサクに戻ること請け合いです。

iPhoneが遅くなったり重くなったりする原因

iPhoneが重く遅くなる理由はいくつかあります。

(1)メモリ不足/キャッシュ増
(2)ストレージ不足
(3)バッテリーの劣化・寿命
(4)ネット通信の速度低下
(5)故障・不具合

以上の5項目はiPhoneの動作が重く遅くなる代表的な原因ですが、(1)(2)については自分で改善できますので、個別に対策や改善方法を解説します。

メモリ不足・キャッシュ増

メモリとは、iPhoneの動作を司るCPUからの指令を受けて様々な作業を行う領域で、言ってみれば「作業台」のような場所です。

多種多様なアプリを利用するたびに「作業台」の上には様々な処理案件が並び、次第に雑然としてきて処理が追い付かなくなってくる…そんなイメージを思い浮かべるとわかりやすいかと思います。

キャッシュはCPUから与えられた指令を実行する際に、覚えておくと作業が早く片づけられるデータファイルのことで、様々な作業を行う中で次第に溜まってゆきます。

iPhoneの動作の重さや遅れは、こうしたメモリ不足やキャッシュの溜まりすぎからもたらされる場合がほとんどです。

足りなくなったメモリを復活させる(作業台の上を片づける)方法は2通りあります。いずれも「再起動」ですが、通常の再起動と強制再起動があります。

強制再起動は、動作の重さ遅さがさらに進んで画面がフリーズしてしまった場合など通常の再起動ができない場合向けのものです。

なお、基本的にキャッシュは再起動した際に自動的にクリアされます。

通常再起動の方法

iPhoneが不調の時には一旦電源を切って再び起動することで改善することがあり、多くの不具合・動作の遅れは再起動で改善するケースが多いので操作方法を覚えておいてください。

iPhone 8以前のホームボタンのあるモデルと、iPhone X以降の全画面モデルでは操作方法が異なりますので、2通りの方法を紹介します(iPhone SEは発売時期はiPhone Xより後ですがiPhone 8の筐体を使用しているため前者に含まれます)。

【iPhone 8以前のホームボタンモデルの再起動方法】
ボディ右サイドの電源ボタン(スリープ/スリープ解除ボタン)、あるいはボディ上部の電源ボタン(iPhone 5sなど)を長押しし「スライドで電源OFF」を表示させ、スライドバーを右へ動かし電源を切り、再度電源ボタンを押して電源を入れることで再起動となります。

【iPhone X以降の全画面モデルの再起動方法】
ボディ右サイドの電源ボタンと、左サイドの音量調節ボタン(上下どちらでも)を同時に長押しすることで、「スライドで電源OFF」が現れます。

ただしこの時、長押しのままでいると「緊急SOS」へ機能が移行しますので、緊急通報の必要がない場合には指を放してください。

スライドバーを右に動かして電源を切り、再度電源ボタンを押して電源を入れれば再起動したことになります。

【簡単な再起動の方法(要事前設定)】
電源ボタンや音量ボタンを操作しなくても簡単に再起動する方法を伝授します。

iPhoneの「Assitive Touch」という機能を使う方法です。

普段は他のメニューの邪魔にならないよう薄くなっていますが、タップすると事前に設定したメニューが現れる機能で、事例の場合は、最大8個まで設定できるメニューの1つに「再起動」を加えています。

再起動する場合は、このAssistive Touchを開いてタップするだけで再起動が実行されます。

「設定」→「アクセシビリティ」→「タッチ」と進むと「AssistiveTouch」の設定へ進み、「最上位メニューをカスタマイズ」から最大8個の任意のメニューを選んで設定しておくことができます。

AssistiveTouchに設定できるメニューの候補から選んで好きな場所に配置できます。

強制再起動の方法

メモリ不足以外でも、iPhoneがフリーズするなど通常操作を受け付けなくなった場合に再起動する方法です。

iPhone 8以前のホームボタンのあるモデルは機種ごとに強制再起動の方法が異なります。また、iPhone X以降の全画面モデルでは操作方法が統一されています。

【iPhone 6S/iPhone SE(第1世代)のホームボタンモデルの強制再起動方法】

画像出典:https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iph8903c3ee6/ios

電源ボタンとホームボタンを同時に長押しすることで強制再起動を行うことができます。Appleロゴが現れたら指を放します。

対象モデル

● iPhone 6s/6s Plus
● iPhone SE(第1世代)

【iPhone 7のホームボタンモデルの強制再起動方法】

画像出典:https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iph8903c3ee6/ios

電源ボタンと音量下げるボタンを同時に長押しで強制再起動を行うことができます。Appleロゴが現れたら指を放します。

対象モデル

● iPhone 7/7 Plus


【iPhone 8のホームボタンモデルの強制再起動方法】

画像出典:https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iph8903c3ee6/ios

iPhone 7までの操作方法とまったく異なります。

1. 音量上げるボタンを押す・放す(長押しではない)
2. 間を空けず、音量下げるボタンを押す・放す(長押しではない)
3. 間を空けず、電源ボタンを長押しする
4. 「スライドで電源OFF」が現れてもそのまま押し続ける
5. Appleロゴが現れたら指を放す(再起動)

対象モデル

● iPhone 8/8 Plus


【iPhone X以降の全画面モデルの強制再起動方法】

画像出典:https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iph8903c3ee6/ios

iPhone 8と同じ操作方法です。

1. 音量上げるボタンを押す・放す(長押しではない)
2. 間を空けず、音量下げるボタンを押す・放す(長押しではない)
3. 間を空けず、電源ボタンを長押しする
4. 「スライドで電源OFF」が現れてもそのまま押し続ける
5. Appleロゴが現れたら指を放す(再起動)

対象モデル

● iPhone X
● iPhone Xs/Xs Max/Xr
● iPhone 11/11 Pro/11 Pro Max
● iPhone 12/12 mini/12 Pro/12 Pro Max
● iPhone 13/13 mini/13 Pro/13 Pro Max

ここまでメモリの解放について見てきましたが、「再起動」はiPhoneが重い・遅いと感じた際の基本的な対処法です。iPhoneが正常に動作しない場合の「強制再起動」の方法と併せて覚えておくとよいでしょう。

Safariのキャッシュを手動でクリアする

システムが作成するキャッシュはユーザーが手動で削除する機能はなく、自然に削除されてゆくものですし、再起動でほとんどが削除されますが、「Safari」などのWEBブラウザは手動でキャッシュを削除する機能があります。

これはWEBサイトを閲覧しているとキャッシュが溜まりやすく容量もかさむため、ユーザーが随時キャッシュを削除できるようになっています。

「設定」→「Safari」→「履歴とWebサイトデータを消去」で削除することができます。

ストレージ不足

ストレージの空き領域が狭くなっても動作が重くなり、動作が遅くなる場合があります。

多くのストレージ領域を占めやすい写真や動画を大量に端末に保存していたり、既読メール、既読ショートメッセージなどをずっと残しているような場合にはストレージが不足しがちになります。

ストレージの状態は「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」で確認できます。

「おすすめ」としてストレージ容量を回復するためのアドバイスが表示されますが、事例では「未使用のアプリの削除」と「iCloudへの写真保存」をすすめています。

ちなみにiPhoneのストレージの領域を占める項目の中の「システムデータ」はキャッシュであるケースがほとんどです。

使っていないアプリやアプリデータを削除する

前項の「おすすめ」 にもあるように、不使用のアプリを削除することはストレージ回復に効果が高いので、長期間使用していないアプリはこまめに削除することをおすすめします。

アプリの削除方法は、アプリもデータも完全に削除してしまう方法と、アプリは削除してもデータは保存しておく方法があり、この場合はまたアプリを再インストールすれば保存したデータを使って復旧することができます。

画像は事例としてTwitterアプリの削除ページを示したものです。「APPを取り除く」を選択するとアプリ容量164.8MBを削除できますが、書類とデータ244.5MBは端末に残り、後日アプリを再インストールした際に利用できます。

「Appを削除」を選ぶと、アプリも書類とデータも削除されるため合計409.3MBの空き領域を作れますが、次にTwitterアプリをインストールしてもデータ復元はできず0からの利用になります。

写真や動画はクラウドに保存する

写真や動画はクラウドサービスや、パソコンや外部メモリで保存することでiPhoneストレージの空き領域を増やすことができます。

代表的なクラウドサービスには以下のようなものがあります。

● Amazonプライムフォト(Amazon)~有料サービス
 Amazonがプライム会員向けに提供するフォトクラウドで、多種多様なプライム会員向けサービス(送料無料や音楽配信、映画配信など)を月間500円(年間4,900円)で利用できるサービスです。Amazonプライムの各サービスに魅力を感じるなら有料であっても非常に使い勝手のよいフォトクラウドです。

 Amazonプライムフォトの最大のメリットは、クラウドにアップロードした画像は端末から削除してもそのまま残る点です。必要な際にはクラウドから端末にダウンロードできるので「保存しておく」ためには最適なクラウドサービスと言えます。

 難点はプライム会員を退会すると容量が5GBに制限され、退会から3か月以内に別の場所へ移動(端末にDLなど)しないと5GBを超える分は消滅してしまう点と、動画の保存には容量の制限があることです。

● Googleフォト(Google)~無料サービス
 無料プランでも写真・動画を保存数・容量無制限で画質の劣化もほとんどなく保存できる非常に使い勝手の良いフォトクラウドです。

 ただし、Googleフォトに画像を残しながら端末から削除したい場合、端末の写真アプリから「削除」を行うとクラウドの画像も削除されてしまいますので注意が必要です。

 Googleフォトから「デバイスの写真を削除する」で削除すればクラウドには写真が残ります。少し使いこなしにクセがありますが無料クラウドならGoogleフォトです。
その他、パソコンに移したり、外部メモリーで保存するなどの方法で、できるだけiPhoneでの保存量を減らす意識が重要です。

既読メールやメッセージなどの履歴は早めに削除する

メールやメッセージ(SMS)をずっと保存しておくとストレージを無駄に占有してしまうので、読み終えたらその場で削除しましょう。

メールやメッセージはテキスト中心ですが数が膨大になりやすくストレージを食う原因としては意外に見落とされやすいので要注意です。

ここまでストレージ容量の削減について見てきましたが、ストレージはある程度の空き領域を残しておかないと正常な動作が出来なくなる(メモリークラッシュ)場合がありますので、ストレージの空き領域の確保は常に意識しておくべきです。

バッテリーの劣化・寿命

バッテリーが劣化し寿命が近くなることでもiPhoneの動作に影響が出る場合があります(「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」で確認できます)。

iPhoneのバッテリーには、リチウムイオンポリマー電池が使用されてます。

リチウムイオン電池はメモリ効果が少なく長寿命で高出力と、スマートフォン向けバッテリーとしては高い性能を持っていますが、繰り返し充電・放電(スマホを使用して受電された電気を使うこと)を繰り返すことで徐々に劣化し、やがて寿命を迎えます。

リチウムイオン電池の寿命は充放電を繰り返した回数(放電サイクル※)によって、充電できる容量の減少に現れます。Appleでは、放電サイクル500回を目途に充電量が当初の80%になると想定しており、そこがiPhoneバッテリーの寿命と考えています。

劣化したバッテリーはiPhoneが求める電力・電圧を供給することができなくなり、iPhoneは自らの回路を保護するために電源を落とす(シャットダウン)ようになりますが、その予兆として動作が緩慢になったり重くなる場合があります。

バッテリーの劣化・寿命に対してユーザーができることはほとんどないので、バッテリー交換や本体の買い換えを検討する必要があります。

放電サイクルは、充電量の合計が100%になるごとに1回をカウントします。

よく誤解されるような「充電コードに繋いだ回数」や「充電が空になった回数」ではありません。

『AppleがiPhoneのバッテリーの寿命は500回だと言っているので、毎日充電したら2年も経たない500日で寿命を迎える』等の誤りは「放電サイクル」を理解していないために起こる誤解です。

放電サイクルは放電量の合計が100%になった時点で1回とカウントします。

1. ある日、充電量の60%を使用し充電、
2. 翌日、30%使用して充電、
3. その翌日40%使用した場合

60%+30%+40%を合計すると130%になりますが、このうち合計100%となる時点で放電サイクル1回とカウントします。

放電サイクルに関するAppleの見解はこちら

その他の改善方法

時々、iPhoneの動作が重い・遅い原因として

● バックグラウンドでアプリが機能させない
 「設定」→「一般」→「バックグラウンド更新」からON/OFFを切り替える
● 視覚効果をキャンセルする
 「設定」→「画面表示とテキストサイズ」から視覚効果の設定を切り替える
 「透明度を下げる」「ホワイトポイントを下げる」などをONにする
● ネット接続不要
 モバイル通信の電波状況が悪い場合などアクセスポイントを探し続けてバッテリーを消耗する場合があります。

などが紹介されているケースがありますが、可能性としては「ない」とは言えませんが、再起動やストレージ領域の回復を行わずに「アプリのバックグラウンド更新」を止めただけでは明らかな動作改善が見られるわけではありません。

これらは、バッテリー消耗を減らし持ち時間を長くするための対応策で、iPhoneの動作の重さや遅さにはあまり大きな影響はありません。

故障・不具合

メモリやキャッシュのクリア(再起動)、ストレージの領域確保の2つを実行しても動作が改善されず、バッテリーの劣化も考えられない場合には「故障」や「不具合」を疑わざるを得ません。

Apple Storeや、Appleの正規サービスプロバイダーに相談することをおすすめします。市井のiPhone修理店では「早い」「安い」を謳っていて便利ですが、使用する部品が正規品ではないことを理解の上利用してください。

過去にiPhoneを落下させたことがある、水没させた可能性がある(画面のひび割れなども防水効果を減じさせます)などの場合には、早めにプロに相談することをおすすめします。

iPhoneが重い・遅い場合の対処法と解決方法まとめ

今回は、iPhoneが重い、遅いと感じた際の対処法や解決方法について解説しました。

バッテリーが劣化している、あるいは、ストレージがいっぱいである等でない限り、基本的にはメモリ解放(再起動)およびキャッシュの解放で改善するはずです。

メモリおよびキャッシュの解放で改善できない場合には、まずストレージの空き領域の確保を検討してください。続いてバッテリーの劣化を疑ってください。

並行して、「バックグラウンド更新」や「視覚効果のキャンセル」なども行い動作改善を図り、それでもダメな場合には故障・不具合を疑ってみてください。

関連の記事

当サイトでは、サイトの利便性向上のため、クッキー(Cookie)を使用しています。サイトのクッキー(Cookie)の使用に関しては、「プライバシーポリシー」をお読みください。

同意する