テレワーク環境を導入するには?重要性や構築方法を解説
2024.09.30
「テレワーク環境とは?」
「テレワーク環境の構築方法って?」
そのようにお悩みではありませんか。
テレワーク環境は、オフィス以外の場所で業務ができる環境です。近年はテレワーク環境を整備する企業が増加しています。
そこで今回は、テレワーク環境の概要や重要性、構築方法を解説します。
「テレワーク環境を導入して柔軟な働き方を実現したい」と考える企業担当者の方は、ぜひご一読ください。
テレワーク環境とは?
テレワーク環境とは、情報通信技術(ICT)を活用して場所にとらわれない働き方ができる環境です。従業員がオフィス同様、あるいはそれ以上に快適かつ効率的に働けるよう整備します。
実際に用意する設備の例として、以下が挙げられます。
- パソコン
- キーボード・マウス
- インターネット回線
- デスク・チェア
- 各種ツール・システム
- 就業規則
- 情報セキュリティに関するルール
社内でテレワークを導入する際は、テレワーク環境を適切に整備することが大切です。
テレワーク環境づくりの重要性
テレワーク環境を整える重要性として、従業員の労働生産性の維持・向上があります。オフィス以外で作業をする場合でも一定の生産性を確保するために、仕事がしやすい環境を整えることが大切です。
一般的に、テレワークは自宅で行うことが多いです。自宅で仕事をする環境が整っていない状態では、「作業効率が下がる」「コミュニケーションが取りにくい」などマイナスの効果が発生しかねません。
円滑に仕事ができる環境を整えることで、オフィスと変わらない労働生産性を保ちやすくなります。必要に応じた環境構築ができると、より高い労働生産性を実現できる可能性もあるでしょう。
テレワーク環境の構築方法
テレワーク環境の構築方法について以下の4つを解説します。
- リモートデスクトップ方式
- 仮想デスクトップ方式(シンクライアント)
- クラウド型アプリケーション方式
- 会社のPCの持ち帰り
リモートデスクトップ方式
リモートデスクトップ方式とは、自宅などオフィス以外の場所から、オフィスのパソコンに接続して遠隔操作できる方法です。テレワークにおいて、あたかもオフィスにいるように業務を進められます。
普段会社で使っているパソコン環境に自宅からそのままアクセスできることが魅力です。使い慣れたアプリケーションやデータを利用でき、そのまま会社のパソコンに保存できます。
外出先でも、スマートフォンやタブレットから会社のPCに接続し、必要なデータの確認やメールの送信ができます。
ただし、セキュリティ対策を万全に行わないと、情報漏洩のリスクが高まる点には注意が必要です。
仮想デスクトップ方式(VDI)
仮想デスクトップ方式(VDI)とは、オフィス内のサーバー上に仮想のデスクトップを構築して、遠隔でログインして操作できる方法です。「シンクライアント」「オンプレミス型」とも呼ばれます。
サーバー上にデータが保存されるため、端末の故障・紛失時でも影響を抑えられることが利点です。
テレワーク専用のサーバー環境を構築するため、初期費用は比較的高いものの、セキュリティを保持できる利点があります。
H3クラウド型アプリケーション方式
クラウド型アプリケーション方式とは、クラウド上にあるアプリケーションを介して必要なツールを利用する方法です。
使用料金を支払うことですぐに利用開始できるため、社内への導入のハードルが低いことが利点です。インターネット環境やパソコンをはじめとする機器などの基本的な設備があれば、すぐに使い始められます。
ただし、セキュリティの脆弱性があるため、情報漏洩には注意が必要です。
会社のPCの持ち帰り
会社のPCを自宅に持ち帰ってテレワークをする方法です。すでに従業員それぞれにパソコンを支給している場合は、持ち帰らせるだけのため、テレワーク導入のハードルが低い方法といえます。
PCの故障・紛失や情報漏洩のリスクが高い方法であることに注意が必要です。強固なセキュリティ対策を施すことが望ましいでしょう。
【一覧】テレワーク環境に必要なツール
テレワーク環境に必要なツールを以下にまとめました。
チャットツール | チームメンバーとリアルタイムにメッセージのやり取りができるツール |
オンライン会議ツール | オンライン上で会議や打ち合わせを行うためのツール |
グループウェア | スケジュール共有、タスク管理、ワークフローなど、社内業務の効率化を図るツール |
勤怠管理システム | 従業員が場所を選ばずに勤務時間の記録・申請を行えるツール |
クラウド型会計ソフト | インターネット経由で会計業務を効率化し、テレワーク中でも財務管理をスムーズに行えるツール |
ファイル共有システム | 社内外で安全にファイルを共有し、共同作業を円滑に進めるためのツール |
営業管理システム | 顧客情報や営業進捗などを一元管理し、テレワークでも営業活動を効率的に行うためのツール |
ナレッジ共有システム | 社内の情報やノウハウをデータベース化し、共有・活用を促進するツール |
特にチャットツールやオンライン会議ツールは、テレワークにおいて必須のツールです。使い方も案内しつつ導入するようにしましょう。
テレワーク導入の流れ
テレワーク導入の流れは以下のとおりです。
- 導入検討
- 現状把握
- 導入推進の体制構築
- 社内ルールの見直し・作成
- システム環境構築
- 導入
なお、テレワーク導入にはシステムやツールの知識が必要になります。構築方法によってはサーバーの知識なども求められるでしょう。
円滑にテレワークの導入をしたい場合は、テレワーク導入支援を利用することがおすすめです。例えばHISモバイルでは、テレワークで重要な通信環境を提供しています。
HISのSIMカードは、会社支給のスマホやタブレットに挿して通信できるだけでなく、ルーターに挿入することでWi-Fi環境を構築可能です。自宅に光回線やWi-Fi環境のない従業員でもテレワークを実現できる環境を整えられます。
HISモバイルのテレワーク導入支援の詳細を知りたい方は、以下からぜひご覧ください。
導入検討
まずはテレワークの導入を検討します。
テレワークを導入する目的や解決したい課題などを明確にしたうえで、テレワークの導入が手段として適切かを判断しましょう。
よくある目的・課題の例として、以下が挙げられます。
- 優秀な人材・多様な人材の採用強化
- 労働環境の改善による従業員満足度の向上・離職防止
- 企業イメージの向上
- 社内のデジタル化の促進
- オフィス賃料や交通費などのコスト削減
- 非常時の事業継続性の向上
現状把握
次に現状を把握しましょう。現状を把握することで、実態に即したテレワーク導入ができ、目的達成や課題解決につながります。
具体的には、以下の項目を整理して把握しておくことが望ましいです。
- テレワークに適した業務・不向きな業務の洗い出し
- 従業員のテレワークに対する意識・現状の環境の調査
- 現状のICT環境の棚卸し
- コミュニケーション環境の確認
- 労務管理体制の確認
- コストの試算
- 法令やガイドライン、助成金を調査
導入推進の体制構築
テレワークを円滑に導入するために、導入推進のプロジェクトチームを発足し、全社的な協力体制を整えます。プロジェクトチームの構成員は、テレワーク導入に関連する以下の部門の人員を選出することが重要です。
- 人事総務部
- 情報システム部
- 現場責任者
プロジェクトリーダーを中心に、スケジュール管理から情報収集、関係部署との調整、課題解決など、具体的な役割分担を明確化します。
また定期的なミーティングを実施して、 進捗状況の共有や課題の抽出と解決策の検討、情報共有などを定期的に行いましょう。
社内ルールの見直し・作成
テレワーク導入をスムーズに進めるためには、従業員が安心して働けるよう、新しい働き方に合わせた社内ルールの見直し・作成が必須です。
従来のオフィス勤務中心のルールでは、テレワーク特有の課題に対応しきれず、混乱やトラブルを招く可能性があります。以下のように、テレワークにおける明確なルールを設けることで、従業員と企業双方にとってより良い働き方を実現できます。
就業規則 | ・テレワーク勤務を命じることに関する規定 ・テレワーク勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規定 ・通信費・情報通信機器などの負担に関する規定 |
労働時間管理 | ・勤怠管理システムの導入 ・適切な労働時間管理のルール決定 |
目標設定・評価制度 | ・オンラインでの目標設定・進捗確認 ・成果に基づく評価制度への移行 |
情報セキュリティ | ・社外でのデータ取り扱いに関する規定 ・セキュリティ対策ソフト導入の義務付け |
特に就業規則の適切な変更は、労働関連法令を遵守するためにも重要です。
システム環境構築
前述したテレワークの環境構築方法を選択しましょう。
- リモートデスクトップ方式
- 仮想デスクトップ方式(シンクライアント)
- クラウド型アプリケーション方式
- 会社のPCの持ち帰り
それぞれ初期費用や導入にかかる日数、情報セキュリティリスクなどの違いがあるため、自社の状況に適した方法を選びます。
さらに、テレワークで必要なツールも導入を進めましょう。
導入
準備が整ったら、段階的にテレワークを導入していきます。
まずは一部の部門で少ない日数からテレワークを実施し、フィードバックを受けて改善するとスムーズです。テレワークで業務をした従業員にヒアリングやアンケートを実施し、改善点を洗い出しましょう。
導入後、一定期間が経過したら、テレワーク導入事の目的が達成されているか振り返りも実施します。定期的に状況を確認し、目標達成や課題解決の状況を判断しましょう。
テレワークの環境構築・導入に役立つ助成金
テレワークの環境構築や導入に役立つ助成金は以下のとおりです。
テレワーク促進助成金 | テレワークに必要な機器やソフトウェア等の経費を助成する |
テレワーク導入ハンズオン支援助成金 | 東京都が行うICT等の専門家による「コンサルティング」を受けた都内企業等に、テレワークの導入に係る経費を助成する |
育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金 | 育児・介護と仕事の両立支援を契機とした都内中小企業等のテレワーク導入を促進するため、就業規則の見直しやテレワーク環境構築に係る費用を助成する |
参照:テレワーク助成金|一覧 | 東京しごと財団 雇用環境整備課
助成金を活用するためには、条件を満たす必要があります。あらかじめ助成金の公式情報を確認し、自社が助成金の対象となっているかをチェックすることが大切です。
助成金を活用してテレワーク環境構築・導入の経済的負担を軽減しましょう。
テレワーク環境を構築する際の注意点
テレワーク環境を構築する際の注意点は以下の3つです。
- 従業員の生産性が下がる
- コミュニケーションが減少しやすい
- 情報セキュリティリスクが上がる
従業員の生産性が下がる
十分なテレワーク環境が整っていない場合、従業員の生産性が下がる可能性があることに注意しましょう。
自宅やカフェで業務をする場合、オフィスと比べて「集中しにくい」「やる気が出ない」と感じる従業員も少なくありません。またタスク管理やスケジュール管理に課題をもつ人もいるでしょう。
必要な設備を支給するだけではなく、従業員が業務に集中して取り組み、生産性を維持できるようサポートすることが大切です。
コミュニケーションが減少しやすい
テレワークの環境構築では、コミュニケーションが減少しやすいことに注意が必要です。
テレワークでは他の従業員と実際に顔を合わせる機会が減るため、コミュニケーションを取る手段がチャットのやりとりやオンライン会議に限られます。
業務連絡以外の何気ない会話がなくなるため、コミュニケーションが減少しやすいです。その結果、従業員が「業務の相談をしにくい」「必要な用事以外は連絡しにくい」と感じることもあります。
テレワークの環境構築では、コミュニケーションを取りやすい仕組みや雰囲気づくりに取り組みましょう。
情報セキュリティリスクが上がる
テレワークの場合、仕事のデータにアクセスできるPCを社外に持ち出すため、情報セキュリティのリスクが上がることに注意しましょう。
PCが入ったバッグを置き忘れる、カフェで画面を開いたまま離席するなど、情報漏洩につながる行為をしないようルール作りを徹底する必要があります。
インターネット回線やサーバーを経由して攻撃を受ける可能性もあるため、情報セキュリティソフトを入れることも効果的な対策です。
情報漏洩は会社にとって社会的信用を損ねる大きなリスクとなるため、テレワークの環境構築ではしっかり備えましょう。
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