格安SIMの通信速度は遅い?通信速度はなぜ低下するのか詳細解説
2022.08.05
今回のテーマは、MVNOをはじめとする格安SIMの通信速度です。
「格安SIMの通信速度は大手キャリアより遅い」「格安SIMは、朝・昼・夕方など混雑時に速度が遅くなる」「MVNOで販売される格安スマホは通信速度が遅い」「MVNOは通信速度が安定しない」
こんなことを耳にしたことはありませんか?
本当に格安SIMの通信速度は遅いのか、遅いと言っても何ができて、何ができないのかなど格安SIMの通信速度について分かりやすく解説します。
これを読めば、格安SIMの通信速度に関する疑問や不安が解消されて、納得して割安料金の通信サービスを利用できるはずです。
通信速度とはどういうものか知っておこう
大手キャリアでも、MVNOでも、通信サービスには必ず「通信速度」という言葉が付いて回ります。
ではこの「通信速度」「回線速度」とはどういうものなのでしょうか。
まずはそこから分かりやすく解説します。
友だちにメールを送信したときに、間を置かずにすぐに相手に届いた方がいい場面は少なからずあります。
例えば、待ち合わせで「もうすぐ着くよ」と送ったけど、待ち合わせ場所に到着して友だちと会ってから届いたのでは意味がありませんよね。
スマートフォンでWebサイトを閲覧した際に、ページがサクッと表示されれば快適に記事を読んだり画像を見ることができますが、ページがなかなか表示されないとイライラして、そのページの閲覧をやめてしまうこともあるかもしれません。
そうしたメールの到着の早さや、Webサイトの表示の早さなどを数値的に表すのが「通信速度」で、別の言葉を使うと「伝送速度」ともいうことができます。
メールのデータをどれだけ速く送れるのか、WEBサイトのページデータをどれだけ速くダウンロードできるのかは、「データの伝送速度」の速さ・遅さによるものなのです。
ちなみに、「通信速度」と「回線速度」は、「通信回線速度」とまとめてしまえるので、おなじことを意味しています。
上記の図で、「ダウンロード」「アップロード」はそれぞれデータ通信の下り速度・上り速度を表しています。
「Ping」はデータ通信時の反応の速さ(50以下なら反応が良い)、「ジッター」は通信の揺らぎ(不安定さ)を表し、いずれも数値が小さいほど優秀です。
コンテンツによって快適な通信速度は異なる
画像出典:support.google.com
データを伝送する際に、データの「重さ」が関係します。
データが重いとは、「伝送する量=通信が運ぶ情報量」が多いということです。
文字(テキスト)は情報量が少なく軽量なため、情報を送る・受け取る際に必要な通信速度もあまり高速でなくても大丈夫ですが、動画やゲームなど情報量が多い場合にはより速い通信速度でないと、利用者は「遅い」と感じてしまいます。
以下は、一般的に言われているコンテンツごとの快適に伝送できる通信速度の目安です。
・メール … 0.2Mbps
・音楽視聴(ストリーミング)… 0.2Mbps
・SNS(トーク)… 0.2Mbps
・SNS(画像)… 1Mbps
・Web閲覧(テキスト中心)… 1Mbps
・Web閲覧(画像多め)… 2~3Mbps
・動画視聴(低画質360p)… 0.7Mbps
・動画視聴(普通画質360p)… 1.1Mbps
・動画視聴(高画質720p)… 2.5Mbps
・動画視聴(最高画質1080p)… 5Mbps
・動画再生(4K画質)… 20Mbps
・高画質オンラインゲーム … 20Mbps
メールやSNSのトークなどテキストのみのやり取りであれば、200Kbpsでも充分です。状況によっては100Kbpsでも問題なく送受信可能なケースもあります。
音楽再生は意外に高速通信は必要でなく、テキスト中心のメールやSNSと同様に、格安SIMサービスが「低速モード」として提供する200Kbpsでも途切れることなく音楽を再生可能です。
Instagramのような画像メインのSNSや、WEBサイトの閲覧などには、1Mbps程度あった方が快適で、画像が増えれば増えるほど速さが求められます。
普通画質までであれば1Mbps程度でも充分視聴が可能ですが、画質が良くなるにつれて通信速度のアップが求められ、画質1080pでは5Mbpsが求められます。
さらに、4K画質の動画では20Mbpsの速度が求められます。
ここで注意したいのは、目安の速度が「継続的」に求められる点です。
瞬間的にいくら速い数値が出ても動画を滑らかに再生することはできないため、継続的に安定した通信速度が出ていることが重要です。
データをやり取りしながら進行するオンラインゲームでも20Mbps程度の速度が求められ、速度が足りないとDLに時間がかかり、スムーズなプレイが難しくなります。
bpsとは?
「bps」は「bit per second(ビットパーセコンド)」の略語で、1秒あたりに転送できるデータ数の単位です。1bpsは1秒間に1ビットのデータを転送できることを表します。
また、コンテンツの大きさを表す「Byte(バイト)」という単位がありますが、1Byte=8bitです。「bit」や「byte」が何を表すのか…は非常に難しい理論になるので、特に覚える必要はありません。
通信速度を表す数値の場合、「bpsが何か」よりは、比較として「1bps」より「10bps」の方が10倍速いということが分かればOKです。
※速度の目安については、動画は「YouTubeヘルプ」に記載の「推奨される持続的な速度」を参照、その他は、筆者が実際に利用した上での経験則となります。
実用的な通信速度の下限目安は1Mbps
前項で見たように、テキストの伝送やWEBサイト閲覧、音楽再生などでは1Mbpsまで出ていれば比較的快適に利用することが可能です。
このため、スマホの快適通信の下限目安は「1Mbps」と考えてよいでしょう。
1Mbps出ていれば、大抵のコンテンツは支障なく利用可能というわけです。
1Mbpsを超える高速通信が求められるのは、最高画質動画では5Mbps、4K動画やオンラインゲームでは20Mbpsが基準となります。
1Mbps、5Mbps、20Mbpsを維持するのは簡単ではない
SNSなどを見ると、「60Mbps出た」「100Mbpsを体験」など、通信速度に関する書き込みがたくさん見られます。
そこまで速度が出るなら、上記の目安の速度なんて苦もなく維持できそうに感じますが、実は、モバイル通信は無線通信であるがゆえに非常に不安定で、ちょっとした要因ですぐに通信状態が悪化してしまう特性を持っています。
皆さんも、ちょっとビルの陰に入ったら感度が悪くなり、閲覧していたWEBやSNSがサクサク見られなくなった…という経験が少なからずあるはずです。
通信キャリアは、通信状態が悪いエリアを消すために、数多くの基地局(アンテナ)を設けていますが、それでも、どうしても電波の弱い場所が残ってしまうのが現状ですし、新しいビルが建設されるなどで、感度のよかった場所が悪化してしまうケースも珍しくありません。
電波状況の悪さは通信速度に直結するため、ずっと一定の通信速度を維持し続けるのは非常に難しいのです。
例えば、車や電車で移動中に動画を視聴している場合、車や電車の移動に伴って様々な電波状態の場所を横断していきますので、移動経路すべてで同じ通信速度を維持し続けるのが難しいことは容易に想像できます。
なぜ通信速度の低下は起こるのか
前項では、電波状態が悪い場所があって、常に安定した通信速度を維持するのは難しいことが分かりましたが、実は、1日の時間帯によっても通信速度が悪化する場合があります。
時間帯による速度低下は、データ通信の利用者の数(データを送受信する量=トラフィック量)、つまり「利用の混雑」によって起こります。
混雑による通信速度の低下は、高速道路と通行量の関係に似ています。
同じ数の車両が通行すると仮定した場合、道路の広さが狭いと渋滞が起きやすく、広ければ渋滞は起きにくいはずです。
また、同じ道路の幅の場合、通行する車両が多くなれば渋滞が起きやすくなり、少なければスムーズに流れます。
通信もこれと同じで、利用者の通信量が一定の場合、通信回線が細ければ通信の滞りが発生しやすく、太ければスムーズです。
通信回線が一定の場合、利用者の通信量が多ければ通信の滞りが発生しやすく、少なければスムーズに通信することができるのです。
これを1日の利用に置き換えてみると、まず、朝の通勤通学時間帯に1回目のピークが来て、データ通信の集中が起こり、通信の滞りが起き、通信速度が低下します。
バスでも電車でも、駅でも多くの方がスマホで何かしていますよね。多くの方が、メールやSNSチェック、WEB閲覧、動画視聴など、各々の使い方でデータ通信をするため、通信の集中が起きるわけです。
次のピークは昼12時台です。
多くの会社や学校で昼休みとなり、一気に多くの方がスマホを使い始めるため通信の集中が起き、通信速度が低下します。
さらに夕方の通勤通学の17時~18時30分の時間帯にも通信速度の低下が起こりますし、夜間20時前後にも、多くの方が自宅でのスマホを利用することで通信集中が起こりやすくなります。
朝夕の通勤通学時間帯は、フレックスタイムの導入や、コロナ下でのリモートワークの増加で、以前より通信集中が起こりにくくなっていますが、昼12時台に関しては昼休みの終了時間が13時ごろと決まっていることもあって、12時台の1時間にスマホ利用が「ぎゅっ」と集中する傾向にあり、1日の中でも最も速度低下が起こりやすい時間帯です。
このように、モバイル通信は1日の中でも時間帯によって通信集中が発生し、通信速度の低下が発生しています。
これらの利用集中の時間帯を避けて利用できれば、速度低下の影響を受けにくく快適にスマホを利用することができる…と言えます。
また、通信サービスを選ぶ際には、最も速度低下が起こる昼12時台の通信速度が最低速度だと考えれば、他の時間帯はそれ以上の通信速度が維持できているはず…との推論も成り立ちます。
1日の中でも時間帯によって通信速度の低下が起こるのと同様に、年間を通しても速度低下が発生する時期があります。
代表的な速度低下時期は、大晦日~元旦です。
多くの利用者が年が明けると同時に「あけおめメール」送信や、SNSへの書き込みを行うため、大手キャリアをもってしても速度低下を避けられないほどの通信集中が起こります。
その他でも、卒業・進学・就職の時期や、バレンタインデー、クリスマスなどイベント時には通信集中が起こりやすい傾向にあります。
なぜ格安SIMの通信速度は遅いのか
「格安SIMは遅い」、これはよく言われる「格安SIMあるある」です。
果たして本当に格安SIMは通信速度が遅いものなのでしょうか。
それを考えるためには、格安SIMの仕組みを理解する必要があります。
なお、厳密にいうと「格安SIM」には、au=UQmobile、ソフトバンク=Y!mobileのいわゆるサブブランドも含まれていますので、これは別に考えなければなりません。
なぜならサブブランドは、au、ソフトバンクの大手キャリアの通信回線そのものを使ったサービスなので、通信速度は大手キャリアと同等か、それに準ずるためです。
そこで、ここでは格安SIMからサブブランドを除いた「MVNO」について考えることにいたします。
サブブランドとは?
サブブランドとは「第2のサービス名称」です。
auでは「au」が第1ブランドで、「UQmobile」は割安料金を担当する第2ブランドになるため、「UQmobileはauのサブブランド」だということになります。
同じくソフトバンクでは「ソフトバンク」が第1、「Y!mobile」が割安料金を担当する第2ブランドになるため、「Y!mobile」がサブブランドというわけです。
いずれも大手キャリア社内のブランドなので、同じ通信網を使用するため、通信品質も通信速度もau、ソフトバンクと同等かそれに準じます。
MVNOとは?
MVNOは、Mobile Virtual Network Operatorの略で、自社で通信網を敷設・保有せず、大手キャリアから通信回線を借り受け、小分けにして割安な通信サービスを提供する通信事業者を指します。
「V=Virtual」が自社回線を保有していないことを表しています。
ちなみに、大手キャリアは「MNO(Mobile Network Operator)」です。「V=Virtual」がないことで、自社通信網を保有することを表しています。
また、MVNO1社でNTTドコモ/au/ソフトバンクの回線の通信サービスを複数提供している場合、「マルチキャリア」と呼びます。
MVNOの通信速度が遅いと言われる理由とMVNOを選ぶ理由
上記のように、自社通信網を敷設・保有せず、大手キャリアからまとめて借り受け、小分けにしてユーザー向けの通信サービス(料金プラン)を提供しているのがMVNOです。
大手キャリアから回線を借り受ける場合にはレンタル料金がかかります。
これを「接続料」といい、料金は少しずつ値下げになっていますが、いかに安い料金プランを提供するかを競ってきたMVNOにとっては、接続料は重い負担となっています。
さらに、前述の通り、通信の利用量は一定ではなく、時間帯や季節によって大きく変動するため、借り受ける回線の量を定めるのが非常に難しいといった側面もあります。
例えば、比較的通信に余裕のある時間帯に合わせて借り受ける回線量を定めると、通信混雑の時間帯には回線が足りずに通信速度が低下してしまいます。
しかし、混雑する時間帯に合わせて借り受けると、空いている時間に遊んでいる回線が多くなってしまい、無駄に接続料を支払っていることになってしまいます。
実は、MVNOが快適な通信速度を提供するのは理論的には簡単なんです。最混雑時の通信量を基準に通信回線を借り受ければ、1日中、いつでも快適な高速通信を提供できます。
しかし、MVNOも営利企業である以上、利益を出さなければなりません。
そうなると、最混雑時を基準に借り受け量を決めると無駄に回線を余らせる時間が増えてしまい、収支が悪化してしまいます。
必然的に、ユーザーの利用量と、通信回線の借り受け量をどこかで折り合わせるしかなく、そうすると、最混雑時には回線が足りずに速度低下、空いている時間は高速通信が可能でも利用者がいない…ということになってしまうわけです。
最も混雑する時間帯や季節にも対応可能な自社通信網を保有する大手キャリアと、必要分だけの回線を借り受けて運用するMVNOとでは、同じ土俵では比べることはできません。
MVNOは運用できる回線に限りがあり、どうしても通信集中時に混雑を捌ききれなくなり、通信速度の低下を起こしやすいのです。
ただ、その分、料金は安く設定させており、それこそがMVNOの存在意義です。
利用料金が高くても常時高速で高品質な通信サービスを選ぶか、時間帯によっては速度低下するが、うまく使いこなすことで割安に通信サービスを利用できるMVNOか…、人によって何を「是」とするかは異なるはずです。
実際、昼12時台には1~2Mbpsまで速度低下するMVNOですが、逆に、昼休みに4K動画を見ない人やオンラインゲームをしない人には、20Mbpsの速度は必要ないわけです。
利用者が何をどう利用するのかによって、大手キャリアでなければダメなのか、MVNOで割安に済ませられるのかをよく吟味して、通信サービスは賢く選ぶべきなのです。
格安スマホ・SIMフリースマホの通信速度は遅い?
格安SIMとよく似た言葉に「格安スマホ」があります。
「格安スマホ」の多くは「SIMフリースマホ」です。
そして、「格安スマホは通信速度が遅い」ともいわれます。
果たして実際にはどうなのでしょうか。
この項では、「格安スマホ」「SIMフリースマホ」の意味や、「格安スマホは遅い」と言われる点について解説します。
・格安スマホ
格安スマホは、2通りの意味があります。
1つは、格安SIM(通信会社)で販売されるスマートフォン端末で、もう1つは、単に価格が安いスマートフォン端末です。
ここでは、格安SIMサービスで販売されるスマートフォン端末を「格安スマホ」ということといたします。
・SIMフリースマホ
大手キャリアが販売するスマートフォンにはSIMロックがかけられます(※1)が、大手キャリア以外で販売されるスマートフォンはSIMロックされません。
SIMロックされずに販売されるスマートフォンを「SIMフリースマホ」と言います。
※1 2021年10月1日からSIMロックは原則禁止となりました
そして、格安スマホの多くはSIMフリーですが、逆に、SIMフリースマホは必ずしも格安スマホではありません。
例えば、Apple StoreでAppleが直接販売するiPhoneは「SIMフリー」ですが、全く安くはありません。むしろ割高ですので、少なくともApple StoreのiPhoneはSIMフリースマホであっても、格安スマホではないことが分かります。
格安SIM各社で販売されるスマートフォンに、Androidスマホの価格の安いエントリーモデルが多く、SIMフリーの状態で販売されることから、「格安スマホ=SIMフリースマホ=価格が安い」というイメージができあがっているようです。
しかし、Appleの例を見れば分かるように、SIMフリースマホは必ずしも安いとは限りません。
では、「格安スマホが遅い」と言われるのはなぜでしょうか。
それは、格安SIM各社で販売され、販売したMVNOの通信回線を利用することから、時間帯によっては速度低下を起こすため「格安スマホは遅い」と言われるようになったものと推測できます。
しかし、遅いのは格安SIMサービスの通信回線の問題であって、スマートフォン自体の性能によって通信速度が遅いわけではありません。
当然、格安スマホに大手キャリアのSIMを入れれば高速通信が可能です。
同様に、SIMフリーiPhoneに大手キャリアのSIMを入れれば高速通信が可能ですので、スマホが遅いのではなく、セット販売されるMVNOのSIMが遅いことが「格安スマホは遅い」と言われる原因と言えます。
つまり、もし遅いとすればそれは「SIM」が遅いのであって、スマホ端末自体が遅いわけではないので、「格安スマホは遅い」は必ずしも成り立ちません。
格安SIMの通信速度は今でも遅いのか
つい最近までMVNO各社は、いかに低料金のプランを提供するかによって競合他社と戦ってきました。
前述の通り、MVNOは接続料を支払いながら通信サービスを提供し、利益を上げなければならないため、どうしても、借り入れられる回線量が少なく、速度低下が顕著で恒常的に低速なサービスしか提供できない事業者があったことは事実です。
運悪く、そうした質の悪い通信サービスを提供するMVNOを選んでしまった方にとっては、「格安SIMは遅い、使えない」というイメージができあがってしまったと考えられます。
しかし、ある時期からMVNOも通信速度を含めた通信品質も重視する傾向が見えはじめ、昨今では、最も混雑する昼12時台でも、快適速度の下限目安である1Mbpsを割り込むようなサービスは少なくなっています。
少し前までは、昼時には1Mbpsを大きく下回る速度に低下してしまって、Webも閲覧できない、SNSを更新することもできないなど、実用性に欠けるようなMVNOサービスも存在しましたが、現在ではそうした「安かろう、悪かろう」のサービスは淘汰されつつあるといえるでしょう。
通信速度の数値に惑わされてはいけない
通信速度は、アプリやWeb上で自ら計測することができます。
アプリは、iPhoneでは「App Store」で、Androidスマホは「Google Play Store」で、スピードテストと検索すれば、さまざまな計測アプリを入手できます。
Web上でも、GoogleやUSENなどが提供するスピードテストサイトが利用可能です。
朝昼夕の混雑時間帯や、自分がよく利用する時間帯に継続して速度計測を行うことで、利用中の通信サービスの速度や、通信品質などを知ることができます。
例えば、よく利用する時間帯に1Mbpsを割り込むことが頻繁にあり、体感的にも遅いと感じるようなら、他社への乗り換えを検討してもよいかもしれません。
ただ注意したいのは数字にとらわれ過ぎないことです。
何度も速度計測を繰り返していると、1Mbpsを超えていれば「合格」だが、0.99Mbpsでは「不合格」のような、微視的な数値にとらわれがちになります。
実際のところ、1Mbpsと、0.99Mbpsは、0.01Mbpsの差しかなく、絶対に体感でその差を感じることはできない微々たる差です。
こうした数値を計測する怖さがあることも理解した上で、あくまで参考程度にとどめることが計測サービスの上手な利用方法といえます。
格安SIMは通信速度が遅いのか まとめ
ここまで、「格安SIMの通信速度は遅いのか」についてみてきました。
通信サービスとしての仕組み上、どうしても大手キャリアと同等の通信品質・通信速度でのサービス提供はできない側面がありますが、その得られない性能と料金のバランスで、MVNOをチョイスする選択肢も充分に「あり」ではないかと思います。
考えてみれば、まったく同等のサービス内容、サービスレベルで、価格や料金だけが特別に安いなどということは、常識的にあり得ません。
つまり、MVNOの料金が安いことには理由がありますし、その理由が、自分の利用方法において大きなデメリットにならないのであれば、MVNOはうまく活用するべきサービスだと思います。
昼休みに4K動画を見る人、朝の通勤時間にグラフィカルなオンラインゲームをプレイする人には、MVNOは確かにちょっと厳しいと感じられるかもしれませんが、ごく普通に、通勤通学時間帯にはメールやSNSをチェックし、ランチ探しのWebサイトを閲覧する程度であれば、MVNOは割安にその希望に答えてくれるはずです。
ご自身の利用方法や利用コンテンツをチェックして、MVNOを検討してみてください。
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