スマホは音声通話SIMを選ぶべき?メリットやデメリット、おすすめな方などを紹介
2023.04.28
月額利用料金が安いことから、格安SIM(格安スマホ)でスマートフォンを使う方が増えてきています。
格安SIMの場合、「音声通話付きSIM」と「データ通信専用SIM」の2種類からプランを選べることが多いです。
この選択について、「違いがよくわからない」「両者のメリット・デメリットを知りたい」「選んだあとで後悔したくない」と思っている方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、音声通話付きSIMとデータ通信専用SIMの違いや両者のメリット・デメリットを整理し、それぞれをおすすめできる方の特徴などを紹介します。
どちらを契約するべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事では「音声通話付きSIM」「データ通信専用SIM」という言葉を使っていますが、格安SIMによって「音声SIM」「データSIM」など、表現に違いがあります。
※本記事で紹介している金額は全て税込です。
音声通話付きSIMとデータ通信専用SIMの違い
大手通信キャリアの場合でも格安SIMの場合でも、契約後、契約者の情報が記録されているSIMカードをスマートフォンにセットすることで、それぞれの通信サービスが利用可能になります。
このSIMカードには大きく「音声通話付きSIM」と「データ通信専用SIM」の2種類があり、それぞれ利用できる通信サービスの種類が異なります。
まずは両者の違いを確認してみましょう。
音声通話付きSIMとは
音声通話付きSIMとはその名称のとおり、音声通話機能が付いたSIMカードです。具体的には、以下の3種類の通信サービスが利用できます。
・音声通話(電話回線を使った通話サービス)
・SMS(ショートメッセージサービス)
・データ通信(インターネット回線を使った通信サービス)
音声通話サービスとは、電話回線を使った通話サービスです。通常、「電話をかける」という場合、このサービスが使われます。090や080、070といった数字から始まる電話番号が割り当てられます。
SMS(ショートメッセージサービス)は、電話番号を使って短いメッセージがやり取りできるサービスです。全角で670文字、半角で1,530文字まで送受信が可能です。
セキュリティのため、利用する際に本人確認が必要なアプリやサービスがあります。この本人確認を、SMSを使っておこなっているものが多いです。
データ通信とは、インターネット回線を使った通信です。ブラウザでWebサイトを閲覧したりアプリや動画などをダウンロードする、SNSを利用したりするといったことが可能になります。
これら3つの通信サービスが全て利用できるのが、音声通話付きSIMの特徴です。
データ通信専用SIMとは
データ通信専用SIMは、データ通信だけに特化したSIMです。逆にいうと、電話回線を使った音声通話やSMSが利用できません。
しかし、音声通話やメッセージのやり取りが完全にできないかというと、そうではありません。現在では多くの人が、インターネット回線を使った音声通話やメッセージの送受信などを利用しています。
例えば以下のようなサービス・アプリを利用している方は多いでしょう。
・LINE
・Facebookメッセンジャー
・WhatsApp
・zoom
・Skypeなど
これらはいずれも、インターネット回線を使って通話やメッセージ交換(チャット)ができるサービスです。
またこれらのサービスのほか、インターネット回線を使ったIP電話(050から始まる電話番号を利用)によっても通話は可能です。
データ通信専用SIMでもこれらは利用できるため、通話やメッセージ交換自体が完全にできないわけではありません。
SMS機能が利用できるデータ通信専用SIMもある
SIMカードには「音声通話付きSIM」と「データ通信専用SIM」の2種類がありますが、格安SIMによっては、「SMS機能付きのデータ通信専用SIM」を取り扱っているところもあります。
その場合、利用できる通信サービスは以下のとおりです。
・SMS(ショートメッセージサービス)
・データ通信(インターネット回線を使ったデータ通信サービス)
「音声通話は不要だけど、SMSを使った認証が使えないと不便」と考える方などは、こちらも選択肢に入れるのが良いでしょう。
※HISモバイルでも、データ通信専用SIMにオプションとしてSMS機能を追加できるプランを用意しております。HISモバイルのプランについて、詳しくはこちらをご覧ください。
ここまで紹介してきたSIMカードの種類と利用可能な通信サービスをまとめると、下表のとおりになります。
SIMカードの種類 | 音声通話(電話回線利用) | SMS | データ通信 |
音声通話付きSIM | ○ | ○ | ○ |
データ通信専用SIM | × | × | ○ |
データ通信専用SIM(SMS機能付き) | × | ○ | ○ |
音声通話付きSIMのメリット
ここからは、音声通話付きSIMのメリットを確認していくことにします。代表的なメリットは、以下のとおりです。
・品質の良い音声通話ができる
・通話やSMSによる認証ができる
・緊急通報(110番、118番、119番)が利用可能
それでは1つずつ見ていきましょう。
品質の良い音声通話ができる
音声通話付きSIMの最大のメリットは、品質の良い音声通話ができる点です。
既述のとおり、データ通信専用SIMの場合でも、LINEやFacebookメッセンジャー、IP電話などを使えば、音声通話が可能です。
ただし、インターネット回線を使ったこれらの通話と電話回線を使った通話を比較すると、電話回線を使った通話のほうが品質は高いです。
「聞き取りにくい」「途中で切れてしまう」「繋がりにくい場所がある」といったことが、インターネット回線の場合ほど発生しません。
ストレスなく安心して通話ができるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
通話やSMSによる認証ができる
さまざまなサービスを利用する際、セキュリティのために本人確認が必要になることがあります。
その際、通話やSMSでパスコードが伝えられ、それを入力することで認証が完了するサービスが少なくありません。
音声通話付きSIMであれば、これらの認証方法全てに対応できるため、安心して利用できます。
緊急通報(110番、118番、119番)が利用可能
電話回線を使った場合に利用できるのが、緊急通報です。
・110番(警察機関)
・118番(海上保安機関)
・119番(消防機関)
これらの緊急通報は、何かあった際にとても役立ちますが、電話回線からしか利用できません。
音声通話付きSIMであればこれらの緊急通報が利用できるため、もしものときにも安心です。
音声通話付きSIMのデメリット
続いて音声通話付きSIMのデメリットを紹介します。とはいっても、実は音声通話付きSIMにはほとんどデメリットがありません。
なぜなら音声通話付きSIMはデータ通信専用SIMの全機能を持っており、いわゆる上位互換だからです。
ただし、その分月額利用料金が高額になるという1点だけはデメリットと言えるでしょう。
例えばHISモバイルの場合、基本プランの月額利用料金は以下のとおりです(実際にはより多くのプランがあります)。
プラン名 | SIMの種類 | 1GB | 3GB | 50GB |
自由自在290プラン | 音声通話付き | 550円(100MB未満の月は290円) | 770円 | 5,990円 |
データ定額440プラン | データ通信専用 | 440円(SMS付きは490円) | 580円(SMS付きは630円) | 5,880円(SMS月は5,930円) |
1ヶ月ごとの金額差はわずかであっても、1年間、2年間・・・と利用していくにつれて大きな金額差になっていきます。
少しでも月額利用料金を抑えたいと考えるなら、音声通話付きSIMを選択するのはデメリットと言えます。
※上表で紹介しているプランはほんの一部です。HISモバイルのプランについて、詳しくはこちらをご覧ください。
音声通話付きSIMがおすすめの方
ここまで紹介してきた音声通話付きSIMの特徴を踏まえたうえで、音声通話付きSIMをおすすめできるのは、以下のような方々です。
・スマホを1台しか持たない or メインのスマホとして利用する方
・通話品質を大切にしたい方
・スマホを初めて利用する方
・緊急通報が使えないと不安な方
それでは1つずつ見ていきましょう。
スマホを1台しか持たない or メインのスマホとして利用する方
スマホを1台しか持たない方の場合、音声通話付きSIMを選択するのが無難です。また、複数台スマホを持つ場合でも、メインのスマホは音声通話付きSIMにしておいた方が良いでしょう。
インターネット回線を使った通話も可能ではありますが、以下のようなデメリットがあります。
・LINEやFacebookメッセンジャーなどの場合、通話したい相手がそれらを利用していない場合には通話できない
・慣れていない方にとっては設定が面倒だったり難しかったりする
・月のデータ利用量を超えてしまっている場合、快適に通話できない可能性がある など
電話回線を使った通話が突然必要になる可能性もあるため、音声通話付きSIMをセットしたスマホを1台は持っておくことをおすすめします。
通話品質を大切にしたい方
通話品質を大切にしたい方の場合、音声通話付きSIMを選ぶべきでしょう。
インターネット回線を利用した通話の場合、電話回線に比べ、通話の品質が下がって聞き取りにくくなったり、突然通話が切れてしまったりする可能性が高いです。
電話で重要なやり取りをする方の場合、そのような事態になれば自分にとっても相手にとっても大きなストレスになりますし、聞き間違えなどが大きなトラブルにつながるリスクもあります。
通話を多く利用する方、通話品質を重視したい方は、音声通話付きSIMを選択するのがおすすめです。
スマホを初めて利用する方
スマホを初めて利用する方にも、音声通話付きSIMの利用がおすすめです。代表的な理由は以下のとおりです。
・スマホの操作方法などがわからない場合にすぐ電話で問い合わせできる
・インターネット回線を使った通話はアプリの操作や設定がややこしいものもある
「誰かに連絡を取りたい」タイミングで、すぐに連絡が取れるのが音声通話付きSIMのメリットです。
スマホの操作に慣れていない方にとっても、通常の電話発信であれば操作しやすいため、安心して利用開始できるでしょう。
緊急通報が使えないと不安な方
既述のとおり、緊急通報(110番、118番、119番)は電話回線からしか利用できません。
もし緊急でこれらへの連絡が必要になった場合、音声通話付きSIMでない場合には、ほかの連絡手段を探さなくてはなりません。
緊急通報が必要になった際、すぐに連絡できる方が安心という方は多いでしょう。そのような方の場合には、音声通話付きSIMを選択するのが無難です。
データ通信専用SIMのメリット
続いて、データ通信専用SIMの代表的なメリットを確認しましょう。
・月額利用料金が安い
・外出先で安くインターネットが利用できる
それでは1つずつ確認していきます。
月額利用料金が安い
既述のとおり、音声通話付きSIMに比べ、データ通信専用SIMは月額利用料金が安いです。
プラン名 | SIMの種類 | 1GB | 3GB | 50GB |
自由自在290プラン | 音声通話付き | 550円(100MB未満の月は290円) | 770円 | 5,990円 |
データ定額440プラン | データ通信専用 | 440円(SMS付きは490円) | 580円(SMS付きは630円) | 5,880円(SMS月は5,930円) |
利用料金を抑えたい方にとって、月額料金の安いデータ通信専用SIMにはメリットがあると言えます。
※上表で紹介しているプランはほんの一部です。HISモバイルのプランについて、詳しくはこちらをご覧ください。
外出先で安くインターネットが利用できる
データ通信専用SIMは、スマホ以外のデバイスでも利用可能です。例えばタブレットやモバイルWi-Fiルーターに挿入し、外出先でインターネットに接続するといった使い方も可能です。タブレットやモバイルWi-Fiの場合、音声通話機能が必要ないケースがほとんどでしょう。また、タブレットやモバイルWi-Fiでインターネットを利用するために専用の通信サービスなどに申し込む場合、利用料金が高額になる可能性があります。
プランにもよりますが、データ通信専用SIMを契約し、タブレットやモバイルWi-Fiルーターに挿入することで、外出先で安くインターネットが利用できる可能性があります。
固定回線や通常のWi-Fiがない環境でもインターネットが安く利用できるため、便利です。
データ通信専用SIMのデメリット
続いて、データ通信専用SIMのデメリットも確認しておきましょう。主なデメリットは以下の3点です。
・通話品質が悪い
・緊急通報が使えない
・認証が利用できない場合がある
それでは1つずつ見ていくことにします。
通話品質が悪い
データ通信専用SIMの場合は電話回線を使った通話が利用できません。そのため、通話する場合には以下の方法を使うことになります。
・アプリやサービスを利用(LINE、Facebookメッセンジャー、zoom、Skypeなど)
・IP電話を利用
いずれの方法を使うにせよ、インターネット回線を使った通話となります。そのため、どうしても電話回線を使った通話に比べて品質が劣ってしまいます。
大切なやり取りを通話でする場合に、通話品質が悪いことは大きなデメリットになってしまう方は多いでしょう。
緊急通報が使えない
既述のとおり、電話回線が利用できないため、緊急通報(110番、118番、119番)を使うことができません。
いざ緊急通報が必要になった場合、ほかの連絡手段を探さなくてはならなくなるため、不便と言えます。
認証が利用できない場合がある
多くのサービスでは、本人確認のためにSMSを使った認証をおこなっています。もちろん、SMS以外に通話やメール、SNSアカウントを使った認証などが選択できる場合もあります。
しかし、もし利用したいサービスで、本人確認の方法が通話とSMSしか選択できない場合、そのサービスで本人確認をするのは困難です。
※「音声通話は不要だけどSMSの認証は必要」という方は、データ通信専用SIMにSMSの機能を付けるという選択肢を検討するのも良いでしょう。HISモバイルでも、データ通信専用SIMにオプションとしてSMS機能を追加できるプランを用意しております。HISモバイルのプランについて、詳しくはこちらをご覧ください。
データ通信専用SIMがおすすめの方
ここまで、データ通信専用SIMの特徴を見てきました。これらを踏まえたうえで、データ通信専用SIMがおすすめできるのは次のような方々です。
・月額利用料金を少しでも安くしたい方
・2台目としてスマホを持つ方
・タブレットやWi-Fiルーター用に契約する方
・通話をほとんど利用しない方
・通話に品質を求めない方
1つずつ確認していきましょう。
月額利用料金を少しでも安くしたい方
通話品質や機能よりも、とにかく月額利用料金の安さを重視したい方には、データ通信専用SIMがおすすめです。
格安SIMは大手通信キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)に比べてもともと月額利用料金が低めですが、データ通信専用SIMを選択すればさらに月額利用料金を抑えることができます。
月額利用料金をとにかく安くしたい方は、格安SIMでデータ通信専用SIMを選択してみてください。
※HISモバイルのプランについて、詳しくはこちらをご覧ください。
2台目としてスマホを持つ方
2台目としてスマホを持つ方の場合、データ通信専用SIMがおすすめです。
仕事用とプライベート用など、どうしても2つ以上の電話番号を持たなくてはならない方は別ですが、多くの場合、電話回線での音声通話が可能なスマホは1台で十分でしょう。
緊急通話など、電話回線からしか利用できないサービスもありますが、持っているスマホのうち1台から利用できればそれ以上は必要のないケースがほとんどのはずです。
2台目のスマホを持つ場合、2台目をデータ通信専用SIMにし、通話は1台目(こちらは音声通話付きSIM)を使う方が利用料金を節約できます。
タブレットやモバイルWi-Fiルーター用に契約する方
タブレットやモバイルWi-Fiルーター用にSIMを契約する場合、基本的に音声通話の機能は不要です。
であるにもかかわらず、音声通話SIMを選択し、データ専用SIMよりも高額な利用料金を毎月支払うのは無駄と言えます。
タブレットやモバイルWi-FiルーターでSIMを利用する方も、データ通信専用SIMを選択するのがおすすめです。
通話をほとんど利用しない方
そもそも通話自体をほとんど利用しないという方もいるでしょう。
「チャットやメールなど、インターネット経由でテキストによる通信ができれば十分」という方の場合、無理に音声通話付きSIMを選択する必要はありません。
使う機能に合わせて最小限の利用料金を支払いたいのであれば、データ通信専用SIMを選択するのが良いでしょう。
通話に品質を求めない方
通話はするものの、通話に対してそこまで品質を求めないという方もいるかもしれません。
重要な連絡や間違う可能性がある連絡、重要性が高い連絡はテキスト(メールやチャットなど)でおこない、重要性の低い会話のみを通話でおこなうといったタイプの方々などです。
このように、通話の品質が低くてもそれが問題にならない方の場合、わざわざ音声通話付きSIMを選ぶ必要はありません。
LINEなどのサービスやIP電話などで十分でしょう。
音声通話付きSIMとデータ通信専用SIMに関してよくある質問
最後に、音声通話付きSIMとデータ通信専用SIMに関してよくある質問とその回答を紹介します。
・データ通信専用SIMの場合、音声通話やSMSは全く使えないのですか?
・音声通話付きSIMで月の利用データ量を超えた場合、通話に影響がありますか?
それでは1つずつ見ていくことにしましょう。
データ通信専用SIMの場合、音声通話やSMSは全く使えないのですか?
はい。データ通信専用SIMでは、電話回線を使った音声通話、SMSが利用できません。ただし、インターネット回線を使った別の方法での代用は可能です。
データ通信専用SIMの場合、利用できるのはインターネット回線を使ったデータ通信のみです。電話回線を使った通話やSMSは利用できません。
ただし、以下のような方法で音声通話・SMSの代用は可能です。
・LINEやFacebookメッセンジャー、IP電話などインターネット回線を使った通話
・メールやチャットアプリを使ったテキストメッセージの送受信
ただし、緊急通報(110番、118番、119番)やSMSを使った認証などについては代用できないため、これらを利用したい場合には注意が必要です。
※HISモバイルでは、データ通信専用SIMにオプションとしてSMS機能を追加できるプランを用意しております。HISモバイルのプランについて、詳しくはこちらをご覧ください。
音声通話付きSIMで月の利用データ量を超えた場合、通話に影響がありますか?
電話回線を使った通話の場合には、影響はありません。
月のデータ量を超えた場合、影響を受けるのはインターネット回線を使ったデータ通信だけです。電話回線を使った通話の場合、影響を受けることはありません。
しかし、LINEやFacebookメッセンジャー、IP電話など、インターネット回線を使った通話の場合には影響が発生するため注意が必要です。
まとめ
本記事では、音声通話付きSIMとデータ通信専用SIMの違いや両者のメリット・デメリットを整理し、それぞれをおすすめできる方の特徴などを紹介してきました。
現在はLINEなどのサービスやIP電話を使い、インターネット経由での通話が可能です。そのため、音声通話付きSIM(電話回線が利用可能なSIM)を契約しなかったとしても、全く通話ができないわけではありません。
しかしながら、電話回線を使った通話特有のメリットも確かに存在します。
・品質の高い通話が可能
・緊急通報(110番、118番、119番)が利用可能
・通話やSMSを使った認証が利用可能
この記事を参考に、音声通話付きSIMとデータ通信専用SIMそれぞれの特徴を把握し、ご自分にぴったりのSIMを見つけてください。
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