格安SIMの仕組みとは?料金の安さの理由とメリット・デメリット

2022.02.03

今回のテーマは格安SIMの料金が安い理由です。
格安SIMのプラン料金・通信料金の安さの理由を考えたことはありますか?
「きっとちゃんと通信できないから安いんじゃない」
「安いように見えて気づかないうちに高い料金が請求されるんじゃない」
そんな風に思う方もいるかもしれません。
でも安心してください。
格安SIMはそんな危ないサービスではありません。ちゃんと理由があって、なおかつ企業努力の上で割安料金を生み出しているのです。
今回は、格安SIMの料金の安さの理由がストンと腑に落ちる解説をしていきます。

格安SIMとは?言葉の意味や生まれた背景など

そもそも「格安SIM」とは何なのか。そこから始めましょう。

「格安」は何に対して格安なのか…ですが、これは「大手キャリアの料金プラン」に対してです。

では「SIM」は何なのかといえば、「通信サービス」を表します。

SIMは本来、契約者情報などが書き込まれたICチップを指し、スマートフォン本体内に挿入することで、そのスマホ端末を契約者のものとして動作させるものです。

ただ「格安SIM」として用いた場合には、ICチップと言う意味ではなく、ICチップに書き込まれた契約者情報に基づいた「電話」や「データ通信」などの「通信サービス」の意味で使われています。

つまり「格安SIM」とは、大手キャリアより割安料金の通信サービスというわけです。

格安SIMはMNOやMVNOが提供している

では、大手キャリアより割安料金の通信サービスはどこが提供しているのかというと、以下の通信会社が提供しています。

● MNO(Mobile Network Operator)… 自社通信網を持つ大手キャリアとサブブランド
● MVNO(Mobile Virtual Network Operator)… 自社通信網を持たない通信会社

MNOとサブブランド

「MNO」とは、自社通信網を敷設・保有・管理する通信会社で、一般的には大手キャリアと呼ばれるNTTドコモ・au(KDDI)・ソフトバンク・楽天モバイルのことです。

MNOは自社通信網をフルに利用することができるため、高品質・常時高速の通信が可能です。

また、au(KDDI)・ソフトバンクは自社内に、第2の通信ブランド「UQ mobile」「Y!mobile」を持っており、一般的にはサブブランドと呼ばれています。

さらに、2021年に登場した「ahamo(ドコモ)」「Povo(au)」「LINEMO(ソフトバンク)」は大手キャリア3社の格安通信プランです。

最後発の楽天モバイルは、先行する大手キャリア3社に対抗するために、自身で格安通信サービスを提供するMNOです。

つまり、大手キャリアは本来のサービスのほかに以下のような格安通信サービスを運営しています。

● NTTドコモ … ahamo
● au(KDDI)… UQ mobile、Povo
● ソフトバンク … Y!mobile、LINEMO
● 楽天モバイル … 楽天モバイル自身

MVNO

MVNOは、「MNO」に「V」が追加されています。

「V」はVirtualのことで、「仮想」を意味し、日本語に訳すと「仮想移動体通信事業者」となります。

「仮想」とは自社通信網を持たず、仮想的に大手キャリアから通信回線の一部を借り受けて、「あるもの」として通信サービスを提供する通信会社を指します。

つまりMVNOとは、莫大な費用がかかる自社通信網を敷設せず、既に敷設済みの通信回線を大手キャリアからまとめて借り受け、ユーザーに小分けにして提供することでコストを下げ、格安料金で提供している通信サービスです。

「格安SIM」が生まれた背景

ではなぜ「格安SIM」が生まれたか、その背景には、大手キャリアの料金が高すぎると感じるユーザーが増えたためです。

もっと割安な通信サービスがあればいいのに…というニーズに応えるかたちでMVNOが誕生(※)しました。

MVNOに利用者を奪われないように、大手キャリアが生み出したのがサブブランドであり、格安料金プランというわけです。

他にも後発の楽天モバイルの割安料金への対抗や、政府や総務省の値下げ圧力に応えるためといった理由もあり、現在では大手キャリア自身が格安SIMサービスを提供しています。

※HISモバイルもMVNOの1つです。また、日本初のMVNOは、HISモバイルに通信回線を提供している日本通信㈱です。

格安SIMの料金が安いのにはちゃんと理由がある

格安SIMに限らず、同じ品物で高いものと安いものがあれば、高いには高いなりの、安いには安いなりの理由があります。

スマートフォンだって高品質高性能高機能なモデルと、基本性能は押さえつつ余計な機能を省いた平均的な性能のモデルとでは価格が違います。

だからといって必ずしも高性能モデルだけが売れるわけではなく、人それぞれ使い方も違えば重視することも違うので、スマートフォンの何を評価するかで選ぶモデルも違ってきますよね?MVNOの「格安SIM」も同じなのです。

自社通信網を敷設・保有しない

先にも述べたように、MVNOは自社通信網を持っておらず、大手キャリアから借り受けることで通信サービスを利用者に提供している通信会社です。

莫大なコストがかかる自社通信網の敷設せず、保有しないことで管理やメンテナンスにかかる費用の負担もなくコストを下げられるため、その分で利用料金を安くしているため格安な料金で提供できるという訳です。

店舗を持たない(または少ない)

コスト削減は自社通信網を持たないことだけではありません。

MVNOでは、他にもお金がかかるサービスをカットすることでコストを下げていますが、その最も大きなものが「店舗」です。

大手キャリアは主要駅前の好立地に店舗を設けていますが、その地代家賃や必要経費は相当額になるため、MVNOでは直営店舗を持たないケースがほとんどです(あってもごく少数)。

店舗を持たないと言うことは、地代家賃がかからない上、店舗の照明や冷暖房、充電サービスやドリックサーバーなどの電気、トイレや洗面所の水道など「光熱費」を使わずに済むということでもあります。

さらに大手キャリアショップでは何人ものスタッフを配置していますが、サービスを向上させればさせるほど人件費が高騰するため、店舗を持たないことは人件費の節減にもつながります。

店舗を持たない、最小限にすることで節減できるコストはかなりの額になるので、非常に大きなコストカットとなるわけです。

MVNOのメリット

料金の安さ以外にもMVNOのメリットはあるのでしょうか。

実は大手キャリアにはないMVNOだけのメリットもあるので、ぜひ注目してみてください。

通話料金が安い

料金が割安な通話回線を経由することで、通話料金が通常の半額(11円/30秒)になる「半額通話サービス」を多くのMVNOで提供しています。

また、「5分(10分)かけ放題」などの通話定額と半額通話サービスを組み合わせて利用することで、通話料金を低く抑えることが可能です。

特定のコンテンツの通信料が無料になる

MVNOでは、音楽や動画サービスを利用する際の通信が、プランに付属のデータ容量を消費しないカウントフリーサービスを提供している場合があります。

MVNOが指定する特定のコンテンツをいくら利用しても通信容量が減らないため、実質的に無料通信で利用していることになります。

複数の回線サービスを選ぶことができる

MVNOでは複数の大手キャリア回線のサービスを提供している(マルチ・キャリア)場合が多く、自分の好みで回線を選ぶことができます。

また、SIMフリー端末はもちろん、SIMロック端末であってもロックキャリアと同じ回線であればSIMロック解除不要で利用することができます。

手持ちの端末を利用する場合には、格安料金のままでSIMカードのみをレンタルすることも可能です(MVNOのSIMカードは貸与品なので返却が必要です)。

HISモバイルも、NTTドコモ回線とソフトバンク回線のサービスを提供するマルチ・キャリアです。

MVNOのデメリット

MVNOの最大の特徴・メリットは料金の安さですが、その安さと引き換えに失うものはないのか、デメリットがないのかが気になるところです。

混雑時の速度低下は避けられない

MVNOの通信サービスは、朝夕の通勤通学時間(各1~2時間)、昼12時台(約1時間)、夜20~22時台(約2時間)など、速度が低下して使いにくくなる場合があります。

なぜ速度が低下するのでしょうか。

通信速度の低下は、高速道路と交通量に置き換えると分かりやすいでしょう。

片道2車線の道路が渋滞せずに流れる自動車の数が1000台だとした場合、道路の車線が同じなら、自動車が2000台になったら渋滞してしまいます。

同じ1000台の交通量でも、道幅が1車線になったら渋滞してしまいますし、逆に2000台が通行しても3車線なら渋滞しないかもしれません。

話を通信に戻すと、MVNOは大手キャリアから回線を借りて自社の契約者に通信サービスを提供していますが、借りている回線の太さ(車線)に対して、通信量(交通量)が多すぎると速度低下(渋滞)を起こしやすくなります。

本来なら、最も速度が低下する時間帯の通信量に合わせて回線を借りておけば、1日中速度低下を起こすことはありません。

イメージとしてはガラガラの高速道路を数台の車がスイスイ走っている感じです。

しかし、MVNOも営利企業である以上そうはいきません。最も混雑する時間帯に併せて回線を借りてしまうと、混雑する5時間のために、そうでない19時間は回線がガラガラとなってしまい無駄が多すぎます。

そこで、混雑時もそこそこの速度を維持しつつ、あまり無駄にならないような回線量を借りるので、どうしても混雑のピークには速度低下を起こしてしまう…というわけです。

サポートがないためある程度のリテラシーが求められる

例えば、

● パソコンやスマートフォンでMVNOのWEBを開き、
● プラン内容を読んで理解し、
● 申込ページを開いて必要事項を記入~送信し、
● 本人確認書類の写真を撮って、
● アップロードする
● 通信会社から届いたSIMカードをスマートフォンに挿入して
● 初期設定を行い、開通手続きを行う

これらの作業を自分でできるリテラシーやスキルが求められるため、ネットが苦手で全然ダメ、スマートフォンの設定なんて無理…という方の場合、MVNOを利用するのは少々ハードルが高い場合があります。

大手キャリアの場合にはショップに出向けば相対で親切に説明してくれて、場合によっては設定を代行してくれる場合もあります。そうしたサポートが必要な方は大手キャリアの利用を検討されるべきでしょう。

格安SIMの仕組みと安さの理由まとめ

格安SIMの料金が安い理由と、MVNOのメリット・デメリットについて解説しました。安いのにはやはり訳がありました。

MVNOはその構造上、どうしても混雑時には通信速度が低下しますが、それが必ずしもすべてのユーザーにマイナスであるとは限りません。

例えば、スマートフォンの利用はメールやSNSだけで、WEB閲覧や動画視聴をしない方であれば、低下した速度であっても十分実用的に使えますし、速度低下の時間帯にはスマートフォンを使わない方にも速度低下は関係ありません。

ある限られた時間帯に速度低下するMVNOですが、速度低下がデメリットにならない方にとっては料金が安い非常に良いサービスとなり得ます。

あなたの使い方を考えて、MVNOも検討してみてはいかがでしょう。

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