格安スマホでハイレゾを聞ける?ハイレゾを最も安価に聞く方法とは
2022.12.01
今回は「格安スマホでハイレゾ音源をできるだけ安価に聴く方法」について考えます。
CD以上の解像度を持つ「超いい音」のハイレゾ音源を、身近で安価な格安スマホで聞くことができたらいいのに…。
そんなことを考えたことがある音楽ファンも少なくないことでしょう。
今回は、「格安スマホで」という部分にこだわって、ハイレゾを安価に手軽に聴く方法を探ります。
そもそもハイレゾとは何なのか
『ハイレゾという言葉は聞いたことがある』
『ハイレゾはCDよりいい音で音楽が聴ける』
等々、ハイレゾについて耳にしたことがある方は少なからずいると思いますが、そもそも「ハイレゾ」って何なのでしょうか。
まずは、「ハイレゾ」の基本的なところから分かりやすく解説します。
ハイレゾとは、ハイ・レゾリューションのこと
ハイレゾは、High-Resolutionの略語です。
Resolution(レゾリューション)とは「解像度」のことですので、ハイレゾとは「高解像度」を意味します。
「音」なのに「解像度」というのは少々違和感があるかもしれませんが、上記のように音の波形を図に描くと分かりやすくなります。
CDも、ハイレゾ音源も『原音』をデジタル化する点では同じですが、ハイレゾではCDよりもさらに緻密で原音に近い形でデジタル化されています。
図のように、原音(実際の音)を方眼紙に書き写す場合に、方眼の目が細かい方が元の波形に近い図形を描くことができます。
これと同様に、ハイレゾではCDのデジタル化の際に失われてしまった情報も含め、対CD比で約6.5倍の情報量を収録でき、原音に近い形でデジタル化が可能なのです。
ハイレゾ対応の機器で聞く音楽は、コンサートやスタジオで生で音楽を聴くようなリアルなサウンドを再現することができるのです。
ハイレゾを聴くには投資が必要
ハイレゾは非常に解像度の高い「よい音」で音楽を聴くことができると分かりましたが、ハイレゾ音源を聴くためにはハイレゾ対応機器が必要です。
従来のオーディオ機器やスマホではハイレゾの真価を発揮できないため、新たにハイレゾ対応の機器を用意する必要があります。
まず、ハイレゾ音源そのものを入手した上で、音楽を再生する機器(プレーヤー)、実際に音を鳴らす機器(イヤホン、ヘッドホン)など、ハイレゾ音源を聴くために用意しなくてはならないものがいくつかあります。これを用意しなければハイレゾ音源を聴くことができません。
一口にハイレゾ対応と言っても機器の価格は千差万別でピンキリですが、必ず「Hi-Res AUDIO」の記載のある製品であることが必要です。
プレーヤーとスピーカー、イヤホン(ヘッドホン)など一通りのセットで「数十万円」も珍しくありませんが、本稿では、タイトルに掲げているように、身近な機器でできるだけコストをかけずに安価にハイレゾ音源を聴く方法を探してみようと思います。
スマホでハイレゾ音源は聴けるのか
結論から言って「聴けます」。
スマホはハイレゾ音源を聴くための機器としては、かなりリーズナブルで手軽な方法です。
ただし、すべての端末がハイレゾ対応ではないので、数あるスマホの中からハイレゾ対応スマホを探す必要があります。
また、ハイレゾ対応スマホというとAndroidスマホが一般的で、ハイエンドクラス、ミドルクラスはもちろん、最近では2万円台のエントリークラスでもハイレゾ対応スマホが登場しています。
一方のiPhoneは、ハイレゾ非対応と思われている場合がありますが、ハイレゾ音源を再生可能なアプリをインストールすることで、iPhoneでもハイレゾ音源を聴くことが可能です。
スマホでハイレゾ音源を聴くには
スマホでハイレゾ音源を聴くことができるといっても、スマホに搭載のスピーカーや、付属のイヤホンではハイレゾの解像度を再現できません。
それでは、スマホでハイレゾ音源を聴くためには何を用意する必要があるのでしょうか。
大まかに言って、必要なのは以下の3つです。
(1)音源(音源購入またはサブスク配信)
(2)再生機(本稿ではスマホに絞ります)
(3)音を鳴らす機器(イヤホン、ヘッドホンなど)
ハイレゾ音源を入手する
ハイレゾ音源は専用のダウンロード購入サービスや、ハイレゾ対応のサブスク配信サービスを利用する必要があります。
曲単位・アルバム単位などで音源を購入する方法や、Apple MusicやAmazon Musicなどのサブスク配信サービスを利用する方法があります。
サービス名 | 種別 | 曲数 | ジャンル | フォーマット |
e-onkyo music | 購入 | 約70万曲 | 全ジャンル | FLAC/DSD/WAV/MQA |
mora | 購入 | 約50万曲 | 全ジャンル | FLAC/DSD |
レコチョク | 購入 | 非公開 | 邦楽・アニメ | FLAC |
OTOTOY | 購入 | 約5万曲 | インディーズ | FLAC/ALAC/DSD/WAV |
music.jp | 購入 | 非公開 | 全ジャンル | FLAC |
オリコン | 購入 | 非公開 | 邦楽・アニメ | FLAC |
mysound | 購入 | 非公開 | 邦楽 | FLAC |
HDtracks | 購入 | 非公開 | 洋楽 | FLAC/ALAC/AIFF/WAV |
複数の販売サービスでハイレゾ音源を購入することができますが、ハイレゾ化された音源数はまだあまり多くありません。
国内最大規模の「e-onkyo music」でも洋楽・邦楽合わせて約70万曲、「mora」50万曲、「OTOTOY」5万曲といったところです。
サービス名 | 種別 | 曲数 | ビットレート | お試し無料 |
Amazon Music Unlimitd(HD) | サブスク | 9,000万曲 700万曲 |
最大92kHz/ 24bitロスレス |
30日間 |
Apple Music | サブスク | 9,000万曲 700万曲 |
最大192kHz/ 24bitロスレス |
1か月 |
Deezer HiFi | サブスク | 3,600万曲 | – | 30日間 |
曲数は、上段:全曲数、下段:ハイレゾ対応
「Apple Music」や「Amazon Music Unlimitd」などのサブスク配信サービスが曲数では700万曲と圧倒的で、スマホを再生機として利用する際には最もおすすめの音源入手先となります。
※注意点
サブスク配信によるハイレゾ音源の視聴については以下の2つの支出について注意が必要です。
(1)通信料
ハイレゾ音源のデータ量は大きいので、モバイル通信での利用には注意が必要です。
月額固定料金のWiFi通信か、モバイル通信では定額(データ使い放題)プランでないと月間容量は「あっ」という間に使い果たしてしまいます。
そのため、外出中は外部メモリにダウンロード保存したものを聴くことになるため、大きめの容量のSDカードも必需品となります。
(2)月額利用料
サブスク音楽配信は、プランにもよりますが通常、月額900~1,000円前後の利用料金がかかります。毎月の継続なので、年間で1万円前後の出費となりますので注意が必要です。
ハイレゾ対応のスマホを入手する
少し前まではハイレゾ対応スマホは、ミドルクラス以上のモデルばかりでしたが、最近は2万円台のエントリーモデルでもハイレゾ対応端末が増えてきました。
以下に、5万円以内で購入可能なエントリー~ミドルクラスの価格帯のハイレゾ対応スマホを紹介します。
メーカー | 機種名 | 画面 | RAM | ROM | 価格 |
OPPO | Reno7 A | 6.4インチ | 6GB | 128GB | 36,162円 |
OPPO | Reno5 A | 6.5インチ | 6GB | 128GB | 30,101円 |
OPPO | A55s 5G | 6.5インチ | 4GB | 64GB | 29,800円 |
Xiaomi | 11T | 6.6インチ | 8GB | 128GB | 54,252円 |
Xiaomi | Redmi Note 10 Pro | 6.67インチ | 6GB | 128GB | 44,400円 |
Xiaomi | Redmi Note 11 | 6.43インチ | 4GB | 64GB | 23,700円 |
Xiaomi | Redmi 9T | 6.53インチ | 4GB | 64GB | 22,400円 |
Huawei | P30 lite | 6.15インチ | 4GB | 64GB | 13,980円 |
Samsung | Gallaxy A53 | 6.5インチ | 6GB | 128GB | 44,900円 |
SHARP | AQUOS sense 6 | 6.1インチ | 4GB | 64GB | 36,000円 |
SHARP | AQUOS sense 4 | 5.8インチ | 4GB | 64GB | 31,500円 |
SHARP | AQUOS sense 4 Plus | 6.7インチ | 8GB | 128GB | 30,500円 |
Sony | Xperia 10 Ⅲ lite | 6.0インチ | 6GB | 64GB | 30,800円 |
Rakuten | Hand 5G | 5.1インチ | 4GB | 128GB | 13,450円 |
※価格は全て税込金額
ハイレゾ対応のイヤホン、ヘッドホンを入手する
具体的にはスピーカー、イヤホン、ヘッドホンなどです。
以下はAmazonで3万円以内で購入可能な、ハイレゾ対応イヤホンです。
メーカー | 品名・型番 | タイプ | 形状 | 価格 |
Sony | WF-1000XM4 | イヤホン | カナル式 | 26,100円 |
Panasonic | RP-HDE10 | イヤホン | カナル式 | 13,500円 |
JVC | HA-FW7 | イヤホン | カナル式 | 9,980円 |
JVC | HA-FD01 | イヤホン | カナル式 | 27,064円 |
audio-technica | ATH-CKS1100X | イヤホン | カナル式 | 14,409円 |
Anker | A32010F1 | イヤホン | カナル式 | 7,499円 |
Anker | A3952N11 | イヤホン | カナル式 | 17,800円 |
※価格は全て税込金額
以下は3万円以内で購入可能なハイレゾ対応ヘッドホンです。
メーカー | 品名・型番 | 形状 | 口径 | 価格 |
Sony | WH-H910N | 密閉型 | 40mm | 20,465円 |
Sony | WH-1000XM2 | 密閉型 | 40mm | 27,253円 |
Panasonic | RP-HD600N | 密閉型 | 40mm | 20,980円 |
Panasonic | RP-HD610N | 密閉型 | 40mm | 24,182円 |
audio-technica | ATH-WS1100 | 密閉型 | 53mm | 18,091円 |
audio-technica | ATH-A900Z | 密閉型 | 53mm | 22,609円 |
Denon | AH-D1200 | 密閉型 | 50mm | 16,464円 |
JVC | HA-SD7 | 密閉型 | 40mm | 10,000円 |
JVC | HA-MX100V | 密閉型 | – | 21,200円 |
※価格は全て税込金額
イヤホンとヘッドホンどちらがおすすめ?
形状や装着方法の面では、イヤホンとヘッドホンは見た目で分かるように『イヤホン:耳の中に挿入するタイプ』『ヘッドホン:耳を外から覆うタイプ』という違いがあります。
イヤホンには、耳の中に挿入するタイプ「カナル型」、耳に掛けて使うタイプ「インナーイヤー型」がありますが、いずれもヘッドホンに比べると小型・軽量で携帯性に優れる特徴を持っています。
ヘッドホンは装着方法によって、耳全体を覆うタイプ「オーバーイヤー型」、耳の上に乗せるタイプ「オンイヤー型」があります。
また、構造上の違いとして、ヘッドホンの内外の音を遮断して、中の音が漏れにくく外部の音が侵入しにくい「密閉型」、内外の音を遮断しない「開放型」といった区別もあります。
「密閉型」はノイズキャンセラーなどの仕組みを組み込むことができ、外部の音を遮断するので音楽などに集中したい場合、騒音を遮断したい場合などに向いていますが、外部の音が聞こえないと危険な状況での使用には向きません。
音質面で言えば、低音の効いた迫力あるサウンドが出しやすい特徴があります。
音楽ジャンルで言えば、クラシックやジャズ、インストルメント等が向いていると言えそうです。また、ベースラインやドラムを強調した音楽を楽しみたい場合にもおすすめと言えるでしょう。
「開放型」は、抜けが良く伸びのあるサウンドになりやすく、「ながら使用」に向いた構造と言えます。
ジャンルとしては、ポップス、ロックなどが向いていると言えそうです。
また外出時の携帯性では圧倒的にイヤホンが優れていますが、ファッション性の面ではヘッドホンは独特の雰囲気を持っています。
一番肝心な『イヤホンとヘッドホンではどちらが高音質か』という点については、同じ価格帯で比較した場合、大きなドライバーを使用できるヘッドホンの方が低音の迫力や臨場感では有利です。
しかし、細かな音質や中高音の解像度では「BAドライバー」を複数搭載したイヤホンが勝るケースもありますし、好みの問題もあるので、一概にどちらかが優れているとは断言しにくいところがあります。
スマホでハイレゾを聴くには まとめ
ここまで見てきたように、スマホでハイレゾ音源を聴くには、幾つか用意するものや、継続的な支出が伴う場合もあることが分かりました。
・ハイレゾ対応のスマホ端末が必要
・ 購入またはサブスクなどで音源を入手する
・イヤホンまたはヘッドホンなど音を鳴らす機器が必要
この3点を用意することでスマホでハイレゾ対応の高音質な音楽を手軽に聞くことができます。
実は近年、サブスク型の音楽配信サービスの利用者数は頭打ちだったところ、ハイレゾ音源の配信を開始したところ、利用者数が再び増加に転じた…といった報告もあり、多くの音楽ファンがハイレゾに興味を持っていることがわかります。
中でも再生機器が比較的リーズナブルに入手できるAndroidスマホは、中古端末を含めてハイレゾ対応機が人気となっています。
「どうせ聞くなら高音質で」と多くの方が考えているようですね。
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