MVNOとは?大手キャリアからの乗り換えによるメリットや注意点を解説!
2022.08.05
格安SIMの普及によって、よく目にするようになった「MVNO」という言葉。
「そもそもMVNOってなに?」「大手キャリアとの違いは?」「今より月額料金は安くなるのかな」
MVNOの利用に関するこのような疑問や不安にお答えします。
現在、スマホ利用者にとっての選択肢は大手キャリアだけではありません。スマホの利用における選択肢が増えるようになった今では、MVNOの知識は必須といえます。
実は毎年、MVNO(格安SIM事業者)の参入は増加しています。記事を読んでMVNOを理解すると、今後のスマホの利用に選択肢の幅が広がるでしょう。
結果として、これまでのスマホ利用と変わらず月額料金を節約できますよ! MVNOについて知りたい人や賢くスマホ利用をしたい人はぜひ最後までご覧ください。
MVNOとは
MVNOとは「Mobile Virtual Network Operator」が正式名称で、日本語に訳すと「仮想移動体通信事業者」という意味です。
MVNOをわかりやすくいうと、「格安SIMを提供している事業者」を指します。MVNOは自社の通信設備(=回線)を持たず、MNO(=大手キャリア)から回線を借りて、音声通信やデータ通信のサービスを提供しています。
MVNOの特徴は、大手キャリアから通信設備を借りることで設備に関する費用が発生せず、オンラインに特化したサービスの提供によりコストを削減。月額料金の安さや幅広いプランの選択、契約期間の縛りを緩和するなどさまざまなメリットをユーザーに提供しています。
ところで「格安SIM」「格安スマホ」などの文言は、MVNOが提供するサービスにあたるので、「格安SIM・格安スマホの月額料金は安い」は「MVNOの月額料金は安い」と、同様の意味と捉えて差し支えないでしょう。
格安SIM・格安スマホを提供するMVNOは、2015年の総務省によるMVNO規制緩和方針によって現在も増え続けています。
たとえば、大手キャリアと聞かれると、NTTドコモ・au・ソフトバンクなど複数の有名企業が浮かびますよね。一方、MVNOは数社にとどまらず、なんと100社以上もあるのです。
今後もMVNOは増え続けるといわれ、市場規模が拡大していくのは間違いありません。
そんなMVNOをさらに深く知るために、次の2つの項目を詳しくみていきましょう。
よく似た「MNO」「MVNE」ってなに?
MVNOには、よく似た「MNO」「MVNE」という言葉があります。アルファベットが似ていてややこしいですが、MVNOと大きく意味が違うので注意しましょう。
MNOとは「Mobile Network Operator」が正式名称で、日本語に訳すと「移動体通信事業者」という意味です。また、MNOは「大手キャリア」を指し示す言葉でもあります。
移動体通信事業者は、大手キャリアとして馴染みの深い「NTTドコモ」「au」「ソフトバンク」の3社に加え、2020年より第4のキャリアとして「楽天」もMNOに参入しました。
MNOは、「携帯電話基地局」という独自の設備を所有。鉄塔・ビル・屋内などに基地局があることで、私たちユーザーはどこでもスマホを利用できます。
また、MNOはスマホ利用者への自社サービスの提供のみならず、MVNO(格安SIM事業者)への回線貸し出しなどのサービス提供も行っています。
次にMVNEとは、「Mobile Virtual Network Enabler」が正式名称で、日本語に訳すと「仮想移動体サービス提供者」という意味です。
MVNEは、MNO(大手キャリア)とMVNO(格安SIM事業者)をつなぐ役割を担います。具体的には、MVNOがMNOから設備を借りるための交渉・ユーザーサポート・システム運用などです。
よってMVNO(格安SIM事業者)は、MNO(大手キャリア)とMVNEがあることで私たちユーザーにサービスを提供することができます。
MVNOでもMNPすることで大手キャリアからの乗り換え可能
結論からいうと、MVNOもMNPすることで大手キャリアからの乗り換えは可能です。
まず、MNPとは「Mobile Number Portability」が正式名称で、日本語に訳すと「携帯電話番号ポータビリティ」という意味です。
MNPすると、電話番号はそのままで乗り換え先の携帯電話会社のサービスを利用できます。
電話番号を引き継いだまま携帯電話会社を移転するには、必ずMNPの手続きを踏まなければいけません。
MNPにおいて注意すべきポイントは、キャリアで使用していたメールアドレスが使えません。また、SIMロックがかかっている場合、次に利用する携帯電話会社によってはSIMロックを解除する手続きが必要です。
また、MNPには「MNP転出手数料」といって、移転の際にかかる手続き費用が3,300円ほど発生するケースが多いです。
MVNOの回線環境は?
MVNOの利用にあたって「MVNOの回線環境はどうなの?」という声がよくあります。
MVNOよりも大手キャリアの方が回線環境が良いのは間違いないでしょう。ただし、MVNOでは、一部の時間帯や場所において気をつけて利用すれば、大手キャリアとの使用感は変わらずスマホを利用できます。
実際、「大手キャリアと同じ使い方をしてもストレスなく月額料金を節約できた!」という声もあります。
この項では、MVNOのつながりやすさ・エリア対応や通信速度について詳しくお伝えします。
MVNOのつながりやすさ・エリア対応
MVNOのつながりやすさ・エリア対応は、回線を借りている事業者によって変わります。
回線を借りている事業者は大手キャリアからなので、つながりやすさ・エリア対応については心配しなくてもいいでしょう。
たとえば、契約しているMVNOがNTTドコモから回線を借りていれば、NTTドコモと同じつながりやすさ・エリア対応です。
また、契約しているMVNOがソフトバンクから回線を借りていれば、ソフトバンクと同じつながりやすさ・エリア対応になります。
「MVNOはつながりづらくて、エリアは狭い」ということはないので、安心して利用できますよ。
MVNOの通信速度
「MVNOのつながりやすさ・エリア対応は、回線を借りている大手キャリアと同じつながりやすさ・エリア対応なので安心して利用できます」とお伝えしてきました。
一方、気になるMVNOの通信速度はどうでしょうか。
実は、MVNOの通信速度は大手キャリアほど速くありません。
なぜなら、MVNOが提供する格安SIMのデータ通信は、大手キャリアから回線の一部を借りて、MVNOの利用者が分け合って使っているからです。
借りてきた一部の回線をMVNOの利用者が分け合って使う分、大手キャリアと比べて通信速度も遅くなってしまいます。
通信速度が大手キャリアほど速くなくても、大手キャリアと同じように高画質で動画視聴したり、音楽を楽しんだりと普段の利用にストレスを感じることは、ほとんどないでしょう。
ただし、一部の時間帯や場所によっては、利用者が多くなり回線が混雑するため、通信速度が遅くなってしまいます。
通信速度が遅くなりやすい時間帯や場所は、以下の通りです。
・平日の昼間、12時~13時頃
・プライベートでの通信が増える夕方から深夜
・都市部の駅周辺のように人口が極端に集中する場所
通信速度が遅くなるといっても、比較的データ通信量の少ない「WebサイトやSNSの閲覧」や「スマホ決済」などは問題なく行えるでしょう。
ただし、上記のような環境において「高画質な動画視聴」や「アプリのダウンロード」などは、スムーズに進まず途中で止まったりする可能性が高いです。
「高画質な動画視聴」や「アプリのダウンロード」はデータ通信量も大きく消費するため、WiFiのある環境での利用をおすすめします。
MVNOにおけるSIMの種類
MVNOからサービスを受けるには、自身の所有するスマートフォンに合うSIMサイズと、希望に沿ったプランに対応するSIMを選択する必要があります。
SIMとは、SIMカードのことで「個人情報が蓄積されているICカード」を指します。SIMカードが自身のスマホと適合しないと、スマホを利用できません。
また、プランに対応するSIMの選択を間違えると当初の利用目的と大きく異なり、せっかく月額料金を抑えてもストレスを感じてしまいます。
MVNOでは、プラン変更も柔軟に対応していますが、変更に関して手続き費用の発生や手間がかかることもあるため、なるべく間違えずに選択しましょう。
この項では、SIMサイズの規格とプランに対応するSIMの種類について紹介します。
SIMサイズ「標準」「マイクロ」「ナノ」「eSIM」
SIMサイズには「標準」「マイクロ」「ナノ」「eSIM」の4つの規格があります。大きく分類するとSIMの大きさによる違いか、SIMがスマホ本体に内蔵されているかによる違いです。
標準SIM | ・サイズ:25mm×15mmと最も大きい ・対応機種:ガラケーやiPhone 3G・3GSなど(現在はほとんど使われていない) |
マイクロSIM | ・サイズ:15mm×12mm ・対応機種:iPhone 4、ZenFone 3など |
ナノSIM | ・サイズ:12.3mm×8.8mm ・対応機種:iPhone 5以降、AQUOS sense6、Xperia 5 II など(現在はナノSIMが主流となっている) |
eSIM | ・サイズ:サイズはなく、スマホの端末にSIMが内蔵されている「本体一体型のSIM」 ・対応機種:iPhone 13、AQUOS zero6など |
標準SIMやマイクロSIMは過去のものとなりつつあり、現在のSIMサイズの主流は「ナノSIM」か本体一体型の「eSIM」です。
SIMサイズについては、「スマートフォン端末の公式サイト」または「SIMカードスロット」を確認しましょう。
プランに対応するSIMの種類「音声付きSIM」「SMS付きSIM」「データ通信専用SIM」
自身の所有するスマホとSIMのサイズを確認したら、次は希望に沿ったプランに対応するSIMを間違えないように選択しましょう。
プランに対応するSIMの種類は、「音声付きSIM」「SMS付きSIM」「データ通信専用SIM」の3つがあります。
音声付きSIM | 電話番号による通話とデータ通信を行う一般的なSIM |
SMS付きSIM | 電話番号による電話はできないが、SMS(ショートメール)とデータ通信を行えるSIM |
データ通信専用SIM | データ通信のみ行えるSIM |
一般的なスマホの利用に欠かせないのが、電話番号による通話およびSMS(ショートメール)とデータ通信によるインターネットの利用。音声付きSIMを選ぶと、一般的なスマホ利用が可能です。
SMS付きSIMは、「電話番号による通話はしないが、ショートメールは利用したい」そんな人に向けたSIMとなっています。アプリの認証コードや2段階認証に使う際にも、SMS付きSIMは活躍します。電話番号による通話は利用できませんが、電話番号は付与される仕組みです。
データ通信専用SIMは、データ通信のみ行えます。電話番号による通話もSMS(ショートメール)も利用しない人に向けたSIMです。
データ通信のみの利用となるので、音声付きSIMやSMS付きSIMに比べて月額料金は安いです。2台目のスマホやタブレット、小さい子ども用にデータ通信専用SIMは活躍します。
メインのスマホには音声付きSIM、サブのスマホやタブレットにはSMS付きSIMやデータ通信専用SIMなどを組み合わせた使い方もいいでしょう。
MVNOで月額料金がお得になるのはなぜ?
MVNOによるスマホ利用で月額料金がお得に! 「なんか怪しい」と思う人もいるかもしれませんが、ちゃんとした理由があります。
特に大手キャリアからMVNOに乗り換えると、大幅に月額料金を節約できるでしょう。
この項では、MVNOの利用によって月額料金がお得になる理由を解説します。
通信設備を持たないから
MVNOは、回線を大手キャリアから借りてユーザーにサービスを提供するため、自社で基地局を建てたり、通信設備を点検する必要がありません。
通信設備の投資や維持には、莫大な費用がかかるためコストが高くなり、その分ユーザーから料金を支払ってもらう必要があります。
MVNOは設備を持たない利点を活かして、安価にサービスを提供することができます。
店舗数を限定してオンラインに特化しているから
MVNOの多くは、「店舗を持たずに運営」または「店舗数を少なくして運営」という業務形態をとっています。
店舗数を持たない、または店舗数が少ないのはそれだけ店舗にかかるテナント料や人件費がかかりません。
オンラインに特化してコストカットをした分が、スマホ利用者の月額料金に反映されているため、安い金額でスマホ利用を可能にしています。
MVNOで月額料金が5000円以上もお得に!
「大手キャリアからMVNO(格安SIM事業者)に乗り換えて月額料金が5,000円以上も安くなった!」という事例もあります。
月額料金が5,000円も安くなるということは、年間60,000円も節約できることに! また、大手キャリアからMVNO(格安SIM事業社)への乗り換えといっても、使用するスマホは変わらず(新規購入は別)、SIMだけの取り替えとなります。
そのため「使用感は変わらないのに安くなった!」というユーザーからの声もよくあるようです。
MVNOのメリット
大手キャリアからMVNOに乗り換えることで、多くのメリットを享受できます。
この項では、大手キャリアからMVNOに乗り換えたら、どのようなメリットがあるのかを紹介します。
月額料金を節約できる
前項でもお伝えした通り、大手キャリアからMVNOに乗り換えることで月額料金を節約できます。
人によっては、月額料金が5,000円以上も安くなることもあり、年間60,000円も節約が可能! もし月額料金が5,000円ほど安くなることはなくても、大手キャリアからMVNOに乗り換えると、月額料金が1,000円以上安くなるのはよくある話です。
仮に月額料金が1,000円安くなったとすれば、年間12,000円も安くなります。10年間で見ると12万円も月額料金を節約できますね。
さまざまなプランがある
MVNOは、ユーザーが利用したいデータ量によってさまざまな料金プランを提供しています。
MVNOによって料金プランは違いますが、HISモバイルでは手頃な1GBから大容量の30GBまで、さまざまなプランに対応しています。ユーザーにとって、利用するプランに合わせて数多くの選択肢があるのは嬉しいですね。
また、データ量が上限に達したら追加でデータ量を購入できます。
MVNOを利用してから途中で「もっとデータ量がほしい」と思えば次の月からデータ通信量に合わせて料金プランを変更できますよ。
契約期間の縛りがないケースが多い
MVNOでは、契約期間の縛りがないケースが多いです。
これまで大手キャリアでは「2年縛り」などと呼ばれる年間契約の縛りがあり、契約期間途中で解約すると、10,450円も契約解除料が発生することもありました(※1)。
※1 NTTドコモは2021年10月に撤廃。ソフトバンクは2022年2月、auは2022年3月末に撤廃する予定。
MVNOでは、そもそも契約期間の縛りは設けていないケースが多く、いつ解約しても0円で解約することが可能です。
MVNOの注意点
月額料金が安かったり、契約期間の縛りがないケースが多かったりするMVNOですが、いくつか注意するポイントがあります。
注意するポイントを抑えることで、不安を取り除き安心してMVNOを利用できますよ。
自分でオンライン申し込みする必要がある
MVNO(格安SIM事業者)の利用にあたって、自分でオンライン申し込みする必要があります。
基本的にMVNOは、店舗を持たずオンラインに特化したサービスを提供しています。店舗を持たずオンラインに特化するからこそ、スマホ利用者に安価なサービスを提供できるのです。
一部のMVNOによっては、店舗を設けているので店舗契約も可能です。しかし、店舗契約だとキャンペーン受けることが難しいでしょう。
いくつかあるキャンペーンのうち「オンライン限定」のキャンペーンの恩恵は大きく、店舗契約だとせっかくの恩恵を受けられない可能性があります。
以上の解説を受けて、「自分でオンライン申し込みできるかな?」を不安に思う人でも大丈夫です! 公式サイトには、誰でもオンライン申し込みできるように丁寧な説明があります。
また、スマホ利用者のオンライン申し込みを含む質問などには、チャットでの対応やコールセンターでも対応しているので、不安な人でも安心して利用できますよ。
契約にはクレジットカードもしくは口座振替
MVNOでは、自分でオンライン申し込みする必要があるとお伝えしました。
オンライン申し込みの際に、決済の手段として多くのMVNOでは、クレジットカードが必要になります。
クレジットカードがない場合は、口座振替になりますが一部のMVNOでは利用できないことも。
また、口座振替だと手数料が発生することもあるので、MVNOの利用においてはクレジットカードを一枚持っておくといいでしょう。
よくある質問
MVNOの利用に関して、よくある質問をまとめました。
MVNOにも電話かけ放題プランはあるの?
MVNOにも電話かけ放題プランはありますよ。
大手キャリアのようにMVNOでも「通話料無料のプラン」を用意しています。
例えばHISモバイルでは、月70分の無料通話がセットされている「格安弐拾プラン(20GB、月2,178円)」、5分までの通話かけ放題が月700円で使える「格安ステップ」(1~10GB、月590円~)などいろいろな選択肢があります。通話品質も多くのMVNOと異なりキャリアと同等です。
参考:https://his-mobile.com/domestic/service
利用料金は定額なので、データ量と通話の用途に合わせてかけ放題プランの利用も検討してみるといいでしょう。
MVNOは複数回線の契約はできるの?
MVNOでも複数回線の契約はできます。
2回線目をタブレットなどのサブ機に使用したり、仕事とプライベートで分けることも可能です。
家族みんなで同じMVNOを利用することもできますよ。
MVNOの利用に関するメリットや注意点まとめ
ここまで、MVNOの意味やMVNOの利用に関するメリットや注意点について紹介してきました。
いくつかポイントをまとめると以下の通りです。
・MVNOとは、大手キャリア回線を借りて、音声通信やデータ通信のサービスを提供している通信事業者
・MVNOの回線環境は、大手キャリアと変わらず高画質で動画視聴など楽しめる。一方で、一部つながりにくい時間帯や場所があるが、ネットやSNSの閲覧などは問題なく行える
・MVNOの契約において、自分の所有するスマホのSIMサイズや希望に沿ったプランに対応するSIMを間違えないように選択しよう
・MVNOは、月額料金が安く契約期間の縛りもないケースが多く、料金プランの選択肢も幅広い
・MVNOでは、安価な料金プランを提供するために店舗を持たずオンラインに特化しているため、自分でオンライン申し込みをする必要がある MVNOでのスマホ利用における注意点をしっかりと把握することで、これまで利用していた大手キャリアと同じような使い方で大幅な月額料金の節約ができるでしょう。
記事を参考にして、今後のスマホ利用の選択肢を幅広く持ちましょう。
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