スマホの歴史~最初のスマホはiPhone?スマホとガラケーの違いは?

今回はスマホの歴史を紐解いてみます。
現代はスマホなしには1日たりとも生活が成り立たないほど深く広く浸透しているスマホですが、スマホについて知らないことも少なくありません。
例えば、スマホの定義をご存知ですか?
最初のスマホはどのメーカーの何という機種なのかご存じですか?
フィーチャーフォンとスマートフォンの違いは?
今回はそんなスマホの歴史を覗いてみましょう。

なお本稿では、スマートフォンを特別の事情がない限りすべて「スマホ」と表記しています。

スマホの定義

スマホとはどのような端末を指すのでしょうか。

スマホの「定義」については、「これ!」という定まったものはなく、何を基準に考えるか、どのような視点で見るかによって、いくつもの定義が存在します。

スマホの定義の代表的事例を挙げてみます。

  • スマホの定義① 携帯電話機にPDA機能を持たせた端末
  • スマホの定義② 携帯電話機にPC(パーソナルコンピュータ)機能を持たせた端末
  • スマホの定義③ オペレーティングシステムの上にユーザーが任意のアプリをインストールして利用できるよりパーソナルな端末

スマホとフィーチャーフォン(ガラケー)の違い

「通話」もスマホの重要な機能の一つです。

その「通話」の視点で見た場合に引き合いに出されるのが「フィーチャーフォン」です。

日本国内ではガラケー(※)と言われています。

ガラケー項目スマホ
基本機能機能統合機能
物理キーボード操作タッチパネル
専用カスタムOSOS高性能多機能OS
固定・インストール不可アプリ任意でインストール可能
【ガラケーとは】
「ガラケー」とは「ガラパゴス携帯」を表す略語で日本国内のみで通用する言葉です。
語源となっているガラパゴス諸島は、エクアドル領の火山島群で南アメリカ大陸から約1,000km離れた太平洋上の絶海の孤島です。 他地域との生物的な交流・交配が行われずガラパゴスだけの固有種が独自の進化を遂げた様子を引用して、日本国内向けに特化した携帯電話を揶揄する言葉です。 具体的には、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信などがガラパゴス機能とされていました。

機能の違い

ガラケーでは「通話・メール送受信・簡易的なブラウジング(※1)」の基本機能のみ可能で、複雑な作業やマルチタスクはできません。

一方スマホでは、通話・メール送受信の基本機能に加え、高速大容量インターネットブラウジング、PIM機能、マルチメディア再生、ゲーム、ビジネスアプリケーション等の機能を統合的に利用可能です。

タッチパネルで直感的な操作

ガラケーはディスプレイとは別に設置されたキーボードによってしか操作できませんでした。ボタン一つ押すにも、「上下左右ボタン」で操作してカーソルを動かして、「決定ボタン」で指定していました。

スマホでは、タッチパネルを指で触れることで直感的に操作が可能です。タップのみならず、スワイプやフリック、ロングタッチあるいはピンチなど複数の指を使った複雑な操作も可能になっています。

高性能オペレーティングシステム

ガラケーではその端末専用にカスタマイズされたOS(オペレーティングシステム)を採用していました。

スマホでは、iPhoneに搭載される「iOS(Apple)」、Androidスマホに搭載される「Android(Google)」以外にもOSが存在します。「Windows Mobile(Microsoft)」や「BlackBerry OS(Blackberry)」「HarmonyOS(Huawei)」等がありますが、iOSとAndroid-OSでスマホ全体の90%を占めています。

ユーザーが任意で好きなアプリケーション(アプリ)をインストールして、スマホを自由にカスタマイズして利用できるよう、パワフルで多機能なOSとなっています。

自由にアプリをインストール可能

ガラケーでは端末購入後にユーザーが任意で新たなアプリをインストールすることはできませんでした。購入時にメーカーが選んだ機能のみが利用可能でした。

スマホでは、それぞれのOS向けに開発されたアプリを、ユーザーの任意でインストール可能で、目的や好みに応じてスマホを自由にカスタマイズできます。

スマホとは、スマート・フォーン(賢い電話)の略語ですが、こうして比べてみると、たしかにガラケーに比べてはるかに賢い端末に進化していることがよくわかります。

スマホとPDAの違い

スマホを見る際のまた別の視点として「PIM機能」があります。

PIM機能とは、スケジュール管理、住所録、メール、メモなどの個人情報管理の機能で、スマホが普及するまでは、PDA(Personal Digital Assistant)端末が使用されていました。

そうした意味では、スマホとPDA端末もよく比較されます。

PDA端末項目スマホ
PIM機能機能統合機能
スタイラスペン操作タッチパネル
簡易的な通信通信高性能高機能

単一機能から多機能・高機能へ

PDA端末は、電話番号や住所、メールアドレスなどの住所録情報や、スケジュール管理やメモ帳機能など、もっぱら個人情報管理の機能に特化した端末です。ガラケーでは管理しきれない個人情報の保存と管理を担った端末と言えます。

スマホは前項でも触れたように、PIM機能も含めた様々な機能を持っているだけでなく、管理能力やアシスタント機能なども大きく進化しています。簡単な事例として、アドレス帳に保存している友人の電話番号は、わざわざ住所録アプリを開かずとも、音声アシストを使えば口頭で目的の電話番号を探すことが可能…といった具合です。

直感的な操作が可能なタッチパネル操作

PDA端末の多くではスタイラスペンによる操作が一般的で、当時はそれが恰好よいもの、先進的なものとして認識されていました。

スマホではディスプレイに直接触ることで直接的・直感的な操作が可能になっています。

簡易的な通信が可能なPDA端末もあった

一部のPDA端末では簡易的なデータ通信が可能なモデルも存在していましたが、スマホのような通話・SMSを含めた多機能性、高機能性は持ち合わせていませんでした。

ここまで見てきたように、どの項目も一定の視点から見た場合には「スマホの定義だ」と言うことは可能ですが、逆に、どれ一つとしてすべての視点でのスマホの全体像を言い尽くせていません。それほどスマホは多様で多彩な機能や能力を持った端末だと言えるのです。

日本におけるスマホの定義

日本国内における「スマホの定義」はどのようになっているのでしょうか。

日本国内であっても、視点によって定義が一定ではないのは同じですが、例えば、通信を所管する総務省で表記されている「定義」が、我が国のスマホの定義と言えるかもしれません。

総務省では、「国民のためのサイバーセキュリティ」サイト内の用語集において『(スマートフォンとは)アプリケーションを追加することで、いろいろな機能を使うことができる携帯電話。音声通話のほか、WebブラウザによるWebサイトの閲覧や、電子メールの送受信、文書ファイルの作成・閲覧、写真や音楽、動画の再生、内蔵カメラのある機種では写真や動画の撮影などができます。』と解説しています。

内閣官房など、他の省庁でもほぼ同様の内容の定義となっており、これをもって、日本国内のスマホの定義とすることができそうです。

スマホからスマデへ

通信機器としてのスマートデバイスとは本来、スマホやタブレットのみならず、スマートウォッチやスマートグラスといったウェアラブル端末なども含め、既存の枠にとらわれない情報機器を総称する言葉です。

余談ですが、賢い電話機スマートフォンを略すと「スマホ」なのであれば、SNSの発展・普及によって年々「通話」機能の利用が減少している状況では、近年中に「賢い電話」ではなく「賢い端末」を呼んだ方が妥当と言える時が来るかもしれません。

そうなると、スマホ(スマートフォン)ではなく、スマデ(スマートデバイス)に略語も変わるのかもしれません。

スマホの起源

世界で最初のスマホはどこの何という機種なんでしょうか。

現在に脈々と続くスマホの系譜の「始点」はどこなのか非常に興味深いところです。

少なくとも、2007年登場の初代iPhoneが最初のスマホではないことだけは確かなのですが…。

最初のスマホはどれ?

実は、「最初のスマホ」についても諸説あります。

  • 最初のスマホ諸説① IBM「SimonPersonal Communicator」(1992年)
  • 最初のスマホ諸説② AT&T「PhoneWriter Communicator」(1995年)
  • 最初のスマホ諸説③ Nokia「Nokia 9000 Communicator」(1996年)

 IBM「SimonPersonal Communicator」

諸説①の IBM「SimonPersonal Communicator」は、通話機能に加え、メール送受信やファックス送信、携帯電話向けWEBサイトの閲覧機能など、携帯電話とPDAの機能を有していたため、後年になって「最初のスマホ」ではないかと言われています。

しかし、「SimonPersonal Communicator」が発売された当時はまだ「スマートフォン」という言葉は生まれておらず、明確に最初のスマートフォンであると主張し切れないところがあります。

AT&T「PhoneWriter Communicator」

1995年にAT&Tがリリースした「PhoneWriter Communicator」も携帯電話とPDA端末を合体したようなデバイスで、当時は「Communicator(コミュニケーター)」と総称されていましたが、初めて「スマートフォン」というワードを用いて紹介された端末とされています。

 Nokia「Nokia 9000 Communicator」

1995年の「PhoneWriter Communicator」リリース以降、徐々にスマートフォンという名称が用いられるようになってゆきますが、「Nokia 9000 Communicator」も「初めてのスマートフォン」とする説もあります。

「Nokia 9000 Communicator」は、個人用デジタルアシスタント(PDA)機能と携帯電話機能を組み合わせた画期的なデバイスで、折りたたみ式を採用していました。

最初に「スマホ」と言ったのはだれ?

「スマホ」は「スマートフォンの略語」であることは誰でもわかりますが、この「スマホ」という言葉を最初に用いたのはどこの誰だかご存知でしょうか。

「スマホ」という表現は、2007年に「週刊アスキー」が初代iPhoneを紹介した際に、スマートフォンを「スマホ」と表記したのが最初とされています。

「スマホ」は確実に日本語なので、海外で通じないことはもちろんですが、スマフォではなくスマホになったのは、略すのであれば1文字でも少ない方がよかろう…ということで「スマホ」になったそうです。

革命的な進化とその後の方向性を明示した初代iPhone

「最初のスマホ」の栄誉はIBMやNokiaにさらわれましたが、だからと言って、2007年に登場した初代iPhoneの重要性はいささかも色褪せることはありません。

初代iPhoneは、2007年1月9日にスティーブ・ジョブズによって「本日、Appleは電話を再発明する」としてお披露目された新世代スマートフォンです。

スティーブ・ジョブズによれば初代iPhoneは、3つの端末を統合したとのことです。

  • タッチ操作のできるワイドスクリーンのiPod(小型端末)
  • 革命的な携帯電話(フィーチャーフォン)
  • インターネットコミュニケーター(PDA)

端的に言って初代iPhone以前のスマホは、指先で操作するのが困難なような(だからスタイラスペン操作)ボタン(キーボード)がぎっしり並んだ超小型PCのような外観・形状でした。

スティーブ・ジョブズは、「タッチパネル操作」を「iPod並みの小型端末」に与える発想によって、初代iPhone以降のスマホの形状や操作性はもちろん、方向性まで明示したという点で、当時の他のどのデバイスより画期的で革新的でした。

そういう意味では、初代iPhoneなくして現在のスマホはなかったとも言えるかもしれません。

現在では小さなキーボードを持ったスマホなんてありませんし、あっても欲しいと思いません。ましてや、それを指先で操作したいとも思いません。そういった意味において、初代iPhoneは「初めてのスマホ」ではありませんが、「現在のスマホの祖」と言えるのではないでしょうか。

スマホを安価に広く普及させたAndroid-OS

革新性とスマホの将来を明示して見せた初代iPhoneから続くiPhoneシリーズに対して、翌2008年にGoogleは、HTCとの共同開発による初の「Android-OS搭載スマホ」を発売しました。

Android-OSの功績は、何と言ってもオープンソース化です。

GoogleがAndorid-OSのソースを公開したことによって、多くのメーカーが独自のカスタムが可能となり、さらにアプリ開発も活発化し、多種多様なアプリやサービスが登場するといったメリットが生じました。

つまり、世界中のスマホメーカーは、Android-OSをカスタマイズして自社製スマホに搭載できるオープンソース化によって、各社それぞれが独自OSを開発しなくてもGoogle製OSをスマホに搭載することができることでスマホの普及に大きく貢献しています。

これにより、Google製OSを搭載していながら様々なメーカー製のAndroidスマホが存在することとなりました。

日本国内でもソニー製、京セラ製、富士通製、SHARP製など、複数のメーカーのAndroidスマホが存在しますし、グローバルに目を向ければ、Samsung製、OPPO製、Nokia製などに加えて、Google製の「Pixel」シリーズもAndrod-OS搭載スマホです。

ちなみにiOSはオープンソース化していないためApple社製以外のiPhoneは存在しません。

OSアップデートの側面から見た場合には、オープンソース化は必ずしも良い面だけとは言い切れません。 iOSはAppleが一元管理するため常に最新のソフトウエアやセキュリティ対策のアップデート版が提供されます。これに対して、メーカーの任意に任されているAndroidは、メーカー各社で機能や仕様が異なり互換性に乏しく、アップデートもメーカー任せというマイナスの影響があることも否めません。

スマホの歴史

最初のスマホとされるIBM「SimonPersonal Communicator」の登場から現在まで30年超の月日が流れていますが、その間には、いくつかの大きな潮流や、エポックメイキングなデバイスの登場などがありました。

スマホは、テクノロジーの進化によって次々に生まれる新技術や、ユーザーのあくなき要求によって飛躍的な進化・発展を遂げてきたと言えます。

スマホ黎明の時代

現在、主流となっているタッチパネルを備え、多機能で高性能でありながらユーザーインターフェースに優れたスマホの原型が生まれる前夜の時代です。

1993年には、一般的に「世界最初のスマホ」と言われる「Simon Personal Communicator」(IBM)が登場しました。このデバイスは、通話機能を備えた小型無線機で、ファックス機能、電子メール等の機能を有していました。

1996年にNokiaが携帯電話とPDAの機能を統合したデバイスとして「Nokia 9000 Communicator」を発売し、ビジネスシーンで高い人気を獲得しました。

2000年には Ericssonが「R380」を発売しましたが、これは商業的にスマートフォンを名乗って登場した初めてのデバイスです。

さらに、2002年にBlackBerry(旧Research In Motion)が初のBlackBerryスマートフォンを発表するに至りました。BlackBerryは、物理キーボードを持った独特の外観を持ち、ビジネスシーンでの活用を想定して電子メール機能を強化していました。

2003年には、電話、PDA、インターネットブラウジングの機能を統合した「Treo 600」がPalmから発売され、いよいよ現在のスマホの原型のような構成に近づいてきます。

スマホ革命と現代スマホの両輪登場の時代

そしてついに、2007年にAppleが初代iPhoneを発表、物理キーボードを持たない、それまでとは一線を画すマルチタッチスクリーンとシンプルなインターフェースにより、スマホ市場に大変革をもたらしました。

初代iPhoneが採用した「マルチタッチスクリーンによる操作方法」は、現代のスマホの基本的な仕様となりました。

そして2008年には、GoogleがAndroid-OSを搭載した初のAndroidスマホ「HTC Dream」を発表し、現在のスマホを牽引する両輪が揃いました。

Googleは、オープンソース化されたAndroidプラットフォームは、多くのスマホメーカーに採用され、安価で高性能なスマホの普及・多様化を促進しました。

スマホの普及と多様化の時代

iPhoneとAndroidスマホの両輪が揃ったことで、スマホの進化は一気に加速するとともに、バリエーションも豊富になり広く普及が進みました。

2010年にSamsungが発表した「Galaxy S」は、優れたハードウェアに高性能なAndroid-OSを搭載し大ヒットとなり、Samsungは、Apple-iPhoneに対抗するAndroidスマホのトップメーカーに躍り出ることとなりました。

Samsung以外のスマホメーカーも、独自のスマホを企画・製造し、それぞれに特徴を持ったユニークなスマホが続々登場し、さらにスマホの普及が進みました。

新技術の採用と進化の時代

2011年、AppleがiPhone 4Sで音声アシスタント「Siri」を導入、2013年にはGoogleがカスタマイズ性や音声操作に優れた「Moto X」を発表しました。

音声アシスタント機能は、スマホの操作性に革新的な進化を促し、新たなユーザー体験をしめすこととなりました。

また、2014年に登場したiPhone6/6 Plusはより大画面のディスプレイを採用したことにより、以降のスマホはさらなる大画面化へ向かうこととなります。

2016年にはついにGoogle自身がハードウエア市場に参入し「Pixel」シリーズをリリースしました。「Pixel」は、カメラの高性能化や「AI」の採用を重視していましたが、これは現在の「Pixel」にも受け継がれる伝統となっています。

2017年、Appleはホームボタンを廃した全画面モデルとして「iPhone X」を発表。顔認証(Face ID)技術や、エッジツーエッジディスプレイ(※)を採用していました。

2018年に登場したHuawei「P20 Pro」ではトリプルカメラシステムが採用され、他眼レンズによる高画質が一般的になってゆきました。

エッジツーエッジディスプレイ
エッジ(縁)からエッジ(縁)まですべての領域を表示領域にするディスプレイのことで、ステータスバーやナビゲーションバーを半透明にすることで、バーの背後も表示領域とすることができるようになり、表示領域の拡大が可能となりました。

次世代技術の導入の時代

VoLTE、ポートレートモード、5G通信、デュアルSIM、生成AIなど、現在から未来に欠けて続々と新技術や次世代技術の採用が実現されています。

生成AIなど、必ずしも希望的な観測だけではない新世代技術も含め、今後のスマホが何をどう取り入れてゆくのか、これまでとはまったく異なるデザインの採用はあるのか…等々、今後のスマホの進化・発展が楽しみでなりません。

スマホの歴史まとめ

 ここまで、駆け足でスマホの歴史を振り返ってきました。

世界最初のスマホは初代iPhoneではありませんでしたが_初代iPhoneの登場が現代のスマホの進化に与えた影響は小さくなく、現在のスマホのスタンダードとなっている仕様が初代iPhoneによって示されたことは疑いありません。

さらに、普及と言う側面でGoogleが果たした役割は大きく、オープンソース化されたAndroid-OSによって、多くのメーカーが独自OS開発に資金や開発期間を割くことなく、安価で高性能なスマホを量産できるようになったこともまた事実です。

そうした意味で言えば、Apple iPhoneと、Google Android-OSが生まれた2007年-2008年こそが、現在に脈々と受け継がれるスマホの「礎の年」と言えるのかもしれません。

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