Google Pixelが前年対比500%超!Pixelがシェアを急拡大した理由とは

今回はGoogle Pixelをピックアップします。

Google Pixelは、Apple iPhoneと並ぶ世界的に人気の高いスマートフォンで、高画質な写真撮影や、写真の加工などで人気が高まっています。
実際に2023年の国内でのPixelの出荷台数は、前年対比で500%超と大きな伸びを見せており、近年のPixel人気を如実に表しています(詳細は後述)。

今回は、そんな人気が高まりつつあるGoogle Pixelにスポットをあててみたいと思います。

Google Pixelの基本情報

PixelはGoogleが企画・開発・製造・販売を行うAndroid-OSを搭載した、いわゆる「Androidスマホ」です。

まず最初にGoogle Pixelの基本情報についてまとめておきましょう。

PixelはGoogle製のAndroidスマホ

「Google Pixel」は名称にGoogleが付いていることからGoogle製であることは想像できますが、ではなぜAndroidスマホなのでしょうか?

Androidスマホは、Android-OSを搭載したスマホの総称です。

つまり「Android」とは、スマホのOS(オペレーティングシステム)の名称であり、スマホの機種名ではないのですが、そのAndroid-OSの生みの親こそGoogleだから…なのです。

つまり、PixelはAndroid-OSの生みの親にして、最もAndoroidを分かっているGoogleが企画開発から製造、販売まで関わっている生粋のAndroidスマホというわけです。

よく「最近はiPhoneの出荷台数が減少してAndroidスマホが肉薄している」なんて記事を見かけることがありますが、実はこれ、とても不公平な比較です。
というのも、iPhoneはApple社だけが製造販売するスマホの1機種に過ぎませんが、Androidスマホは、GoogleやSony、Samsung、SHARP、OPPOなど様々なメーカーが製造販売するAndroid-OSを搭載したスマホの総称なんです。
つまり、iPhone対Androidスマホとは、「Apple社のスマホ対Androidスマホ全社」の数を比較していることになるのですが、そんな比較にならない比較においてさえ、iPhoneだけでAndroid全体とトントンの出荷台数になってしまうのは、我が国においていかにiPhone人気が高いかを示していると言えます。

日本国内のGoogle Pixelの人気が急上昇

画像出典:IDC

そんなiPhone1強の我が国において、昨今、著しく出荷台数を伸ばしているのが「Google Pixel」です。

上のグラフは、IT専門の調査会社であるIDCが調査した日本国内の上位5社のスマホ出荷台数の推移です(「2023年第4四半期国内スマートフォン市場上位5社出荷台数シェア」)。

時期に関わらず、iPhoneが単一銘柄でダントツのシェアを保っていますが、2023年第1四半期までSHARP・Samsung・京セラに続く5位だったGoogleが、次の2023年第2四半期では一気に2位へ躍り出ています。

社名2022年市場シェア2023年市場シェア2023年前年比成長率
1. Apple49.00%51.90%-6%
2. Sharp10.60%10.90%-9%
3. Google1.50%10.70%527%
4. Samsung9.10%6.30%-39%
5. Kyocera Group*5.30%5.40%-9%
5. Lenovo*10.90%5.40%-56%
Others13.60%9.40%-39%
Total100%100%-11%

データソース:IDC

また、2022年度との対比では、2022年にわずか1.5%だったシェアは2023年通年では10.7%と10倍のシェアを獲得し、Appleを含めた他社のすべてがシェアを落としている中、Googleだけがシェアを10倍近くに伸ばしました。

2023年第一四半期が5位だったためか通年では3位に甘んじていますが、それでも他社が2023年度に失った分のシェアをGoogleが根こそぎ奪ったと言える状況です。

さらに2023年度の前年比成長率では驚異の527%を記録、このように2023年度におけるGoogle Pixelの出荷台数の伸びは素晴らしく、いよいよ、Apple iPhoneとの2強の争いに突入か…といった様相なのです。

Google Pixelが日本で人気を高めた魔法

ではなぜ2023年にGoogle Pixelは出荷台数を大きく伸ばし、10倍近いシェアを獲得できたのでしょうか。実はある時期からPixelには「魔法(マジック)」が搭載されるようになったためです。

そのマジックとは、「画像編集機能」を指します。

これまで難しかった画像の加工が可能になったことで、Pixelのユーザーは従来ではあり得なかったような体験や思い出を簡単に手に入れられるようになりました。

様々なマジックにより、画像加工の多彩さ、楽しさをより簡単にユーザーが使いこなすことができるようになり、2023年以降のPixelの爆発的な人気を獲得したと言えます。

編集マジック

編集マジックはGoogle Pixelの画像を編集する機能のことです。

動画のように、空の色を変えたり、背景に写り込んだ他人を削除したり、被写体の位置を移動させることが可能で、元のオリジナル写真とは全く異なる写真に加工することが可能です。

編集マジックを使えば、自分以外には誰もいない人気観光地での記念撮影も可能ですし、その場にいなかった家族を加えて、家族全員の集合写真を作ることも可能です。

アイデア次第で様々な「あり得ない」写真を作り出すことが可能です。

消しゴムマジック

「消しゴムマジック」は、撮影した写真の背景に移り込んだ不要な部分を消してしまう、まさに消しゴム的な画像編集機能です。


こちらは「消しゴムマジック」を生かすことで、いつでも2ショットマジックを発動できる…という動画ですが、大切な人と二人きりの思い出をいつでもどこでも残せるとあって、大きな話題となりました。

前述のように、Google Pixelが急激に出荷台数を伸ばしたのは2023年第1四半期〜第2四半期にかけてです。この当時のPixelの最新モデルは、前年発売のPixel 7の派生機「Pixel 7a」です。

とはいえPixel 7がスマホ機種として人気が高まったというよりは、搭載から3年目を迎え、広告等に力を入れていた「消しゴムマジック」が若年層を中心に大きな人気を得たということだと思われます。

消しゴムマジックの機能自体は、2021年発売のPixel 6」から搭載されていましたが、翌2022年10月からは、フワちゃんを起用したTVCMを放映し大きな話題となりました。

特にフワちゃん本人発とされる「消しゴムマジックで消してやるのさ」は、SNSで大きな話題となり、TVCMにも採用されていました。

2023年10月発売のPixel 8シリーズでもフワちゃんは継続起用されていましたが、2024年の不祥事によってCM降板はもちろん、過去のすべての画像・映像は削除されてしまいました。
欧米企業の多くは人権に対して非常に厳しく臨みます。Googleも、差別や誹謗中傷に対して厳格に対応する企業です。フワちゃんの奔放な言動は、これまでも日本国内で物議を醸してきた部分がありましたが、今回は広告対象のPixel(=スマホ)にとって、今回の誹謗中傷発言が行われたX(=SNS)は非常に親和性の高いコンテンツであることもGoogleの商品価値の棄損という意味でGoogleとしても見過ごせない事象として問題視したものと思われます。
ちなみに「Google Pixelを使っています」というCMは他の著名人を起用して継続しています。

ベストテイク


「ベストテイク」は、集合写真を撮影した際に、写っている全員がベストな表情をした写真を簡単に作成することができる機能です。

集合写真では、目を瞑ってしまった、風で髪型が乱れた、レンズから視線を外してしまった等々、なかなか全員が良い表情をした写真を撮影するのは難しいものです。

しかし「ベストテイク」機能を使えば、被写体の人物一人一人の最も良い表情を集めて完璧な集合写真を残すことができます。

実は米本国ではシェアの拡大は見られない

社名2023年第1四半期2023年第2四半期2023年第3四半期2023年第4四半期
1. Apple57.12%59.79%56.83%58.66%
2.Samsung29.21%26.29%26.55%24.59%
3.Motorola4.68%4.34%4.26%3.89%
4.Google2.11%2.11%2.48%2.56%
5.Xiaomi0.73%0.72%0.91%1.07%
6.LG1.74%1.47%1.14%0.87%
7.Others4.41%5.27%7.83%8.37%

データソース:bankmycell.com 「2023年度米国内のスマホシェアの推移」

わが国では、2023年第1四半期以降のGoogle Pixelの出荷台数が大幅に伸長しているのに対して、米国内ではGoogle Pixelのシェアが大きく変化したことを示すデータはありません。

先の日本国内での出荷台数の増加やシェアの拡大といった減少は我が国特有のものということになります。

それだけ、「消しゴムマジックで消してやるのさ」に代表されるGoogleによるTVCMが、多くのユーザーにアピールすることに成功し、「Google Pixelを使っています」な人をふやしたということになりそうです。

そういえば、昨年末、APEC首脳会議のため渡米中の岸田総理をGoogleピチャイCEOが表敬訪問し、Google社の日本における取組みを紹介、Google社は今後も日本との協力を更に強化していきたい旨の発言がありました。

これだけのシェア拡大を実現した直後でもあり、Googleとしては日本市場を重視する姿勢を示したかったのかもしれませんね。

通信キャリアで購入できるGoogle Pixel

 NTTdocomoauSoftbank楽天mobile
 auUQmobileSoftbankY!mobile
Google Pixel 9×××
Google Pixel 9 Pro×××
Google Pixel 9 Pro XL×××
Google Pixel 9 Pro Fold×××
Google Pixel 8××
Google Pixel 8a×
Google Pixel 8 Pro×××
Google Pixel 7a××××

・NTTdocomo
・au(au/UQmobile)
・Softbank(Softbank/Y!mobile)
・楽天モバイル

の通信キャリア4社とサブブランドにおけるPixelのラインナップです。

国内キャリアでは、楽天モバイルを除くすべてのキャリアでGoogle Pixelの取扱いがあり、最新モデル「Pixel 9」では、9/9Pro/9Pro XL/9Pro Foldのすべてを3キャリアがラインアップしています。

auとSoftbankのサブブランドであるUQmobile/Y!mobileでは、1世代前のPixel 8を購入することができます。

最新モデルPixel 9では性能・機能が進化しているのはもちろんですが、サブブランド取扱いのPixel 8シリーズであっても「編集マジック」や「消しゴムマジック」「ベストショット」などの画像編集機能を利用することができます。

Google Pixel 9とPixel 9 Pro/Pro XLの違い

Pixel 9はいわゆるベーシックモデルで、シリーズの基本的なモデルです。Pixel 9 Proは、上位モデルに位置づけられ、外観やディスプレイサイズは同等ですが、様々なスペックでより高性能・高機能なモデルとなっています。

最も大きな違いはカメラ性能です。2眼レンズのPixel 9に対して、48MP望遠レンズを加えた3眼構成となっています。

またGoogle 9 Pro XLは、ディスプレイサイズを6.8インチに拡大したモデルです。

Google 9 Pro Foldは折りたたみ式

Google 9 Pro Foldは、ストレートタイプの他のモデルと異なり、折りたたみ方式を採用しています。

本体外側には、160mmのフルスクリーン・ディスプレイを備え、本体を折りたたんだ状態から伸ばせば、小型のタブレットともいえる204mmの大型ディスプレイを使用することが可能です。

Google Pixelが日本国内シェアを急拡大 まとめ

米本国では日本ほどのシェアの拡大は見られず、我が国特有のもののようです。

2023年以降のGoogle Pixelの日本国内でのシェアの拡大には「消しゴムマジック」に代表されるような写真加工の「魔法」と、TVCMを含めた広告宣伝の上手さにあったように思えます。

ただ、一部では「フェイク画像」をあまりに簡単に手軽に作れてしまうことに警鐘を鳴らす専門家もいるのもまた事実です。

今回は、Google Pixelのシェアが急拡大したことについて深掘りしてみました。

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