インターネット速度のテスト方法|速度の目安と遅いときの対処法

2025.02.28

ネット検索だけでなく、遠隔で操作できるIotデバイスなど、インターネットは現代の生活の一部になっています。そして、快適にインターネットを利用するには通信速度が大切です。とはいえ、インターネットの速度が速いか遅いかを決める基準はなんでしょうか?それを知らなければ、この質問には答えられないでしょう。

インターネットの速度を適切に評価するためには、速度の目安や測定方法を理解しておく必要があります。この記事では、インターネット速度のテスト方法やインターネット速度の目安を用途別に解説します。

利用するインターネット環境を適切に整えれば、通信の混雑を回避し、より安定した速度を確保することも可能です。速度が遅いときの改善策も取り上げますので、ぜひこの記事を読んで役立てください。

インターネット速度のテスト方法

Fast.comはシンプルにインターネットの速度をテストできるサイトです。インターネット速度を確認したいデバイスからFast.comにアクセスするとすぐに測定が始まり、数秒で完了します。最初の画面に大きく表示されている数字がダウンロード速度です。

「詳細を表示」をクリックすると、アップロード速度やレイテンシ(Ping値)も確認できます。

測定時に知っておきたい「下り」と「上り」「Ping値」とは?

インターネットの通信速度を測定する際には、「上り」と「下り」、そして「Ping値」の3つの項目をしっかり押さえておきましょう。「上り」と「下り」はデータの流れる方向を示していて、アップロード(送信)が「上り」、ダウンロード(受信)が「下り」に該当します。「Ping値」は応答速度のことです。

「下り」の速度とは?

インターネットを利用する際、多くの人にとって最も重要なのが「下り」の速度です。これは、ネット上のデータを自分の端末で受信する速度を意味します。

下り速度が影響する主な用途

  • Webサイトの閲覧
  • 動画のストリーミング再生(YouTube、Netflixなど)
  • クラウドストレージサービスからのデータダウンロード

下り速度が速いほど、ページの読み込みや動画の再生がスムーズになり、快適にインターネットを利用できます。速度が遅いと読み込みも遅かったり、動画が途中で中断したりする場合があります。

「上り」の速度とは?

動画の投稿やライブ配信をする方にとって重要なのが「上り」の速度です。「上り」速度は、パソコンやスマートフォンからインターネット上にデータを送信する際の速度を示します。これは、SNSへの投稿やクラウドサービスへのアップロードなどにも関係する速度です。

上り速度が影響する主な用途

  • メールの送信(添付ファイル付き)
  • SNSへの画像・動画の投稿(Instagram、TikTokなど)
  • クラウドストレージへのデータ保存(Google Drive、iCloudなど)
  • オンライン会議(Zoom、Teamsなど)
  • ライブ配信(YouTube Live、など)

特に大容量の動画をアップロードする場合や、オンライン会議をスムーズに行うためには、一定以上の上り速度が必要です。

快適なインターネット利用に重要な「Ping値」とは?

インターネットの快適さは、速度だけでなく「Ping値」も重要な指標になります。Ping値とは、データの送信受信にかかる応答時間(レイテンシ)を示し、単位はミリ(ms)です。

Ping値が影響する主な用途

  • オンラインゲーム(FPSなど)
  • ビデオ通話(Zoom、Skypeなど)
Ping値の目安
10ms以下超高速、オンラインゲームでもラグなし
20~50msほぼ問題なく利用可能
50~100ms遅延を感じることがある
100ms以上ラグが発生しやすく、ストレスを感じる可能性あり

特にオンラインゲームでは、Ping値が高いと「ラグ」が発生して操作の反応も遅くなるため、快適なプレイが難しくなります。

必要な下りの実行速度利用シーン
200 kbps~テキストだけのメール、LINEの受信・音声通話
600 kbps~Zoom(高品質ビデオ)
700 kbps~YouTube(360p)
1 Mbps~LINEの受信・ビデオ通話、ネットサーフィン
1.1 Mbps~YouTube(480p)
1.8 MbpsZoom(720p HD)
3 Mbps~写真のダウンロード、Zoom(1080p HD)
2.5 Mbps~YouTube(720p)
5 Mbps~YouTube(1080p)、SNSの閲覧(Instagram・Tiktokなど)
10 Mbps~動画のダウンロード(サイズによる)
20 Mbps~YouTube(4K)
30~100 Mbps以上オンラインゲーム

快適に使えるインターネット速度の目安|用途別の推奨速度

インターネットを快適に使うために、用途ごとに必要な回線速度の目安を知っておきましょう。

下り速度の目安

必要な下りの実行速度利用シーン
200 kbps~テキストだけのメール、LINEの受信・音声通話
600 kbps~Zoom(高品質ビデオ)
700 kbps~YouTube(360p)
1 Mbps~LINEの受信・ビデオ通話、ネットサーフィン
1.1 Mbps~YouTube(480p)
1.8 MbpsZoom(720p HD)
3 Mbps~写真のダウンロード、Zoom(1080p HD)
2.5 Mbps~YouTube(720p)
5 Mbps~YouTube(1080p)、SNSの閲覧(Instagram・Tiktokなど)
10 Mbps~動画のダウンロード(サイズによる)
20 Mbps~YouTube(4K)
30~100 Mbps以上オンラインゲーム

YouTubeを見るのに必要な速度は何Mbps?

YouTubeを快適に視聴するために、YouTube公式サイトでは以下の回線速度が推奨されています。

動画の解像度持続的な推奨速度
4K20 Mbps
1080p5 Mbps
720p2.5 Mbps
480p1.1 Mbps
360p0.7 Mbps

引用元:YouTubeヘルプ「動画再生に関する問題のトラブルシューティング」

4Kの高画質動画をスムーズに見るためには、常に20 Mbps以上の速度が求められますが、スマートフォンで動画を視聴する場合には480pでも十分な画質です。YouTubeの再生が途中で止まる場合は、画質を下げるとスムーズに視聴できることがあります。通信速度と画質の関係については下記の記事を参考になさってください。

関連記事:YouTubeを安定して見られる通信速度って何Mbps?

上り速度の目安

必要な上りの実行速度利用シーン
200 kbps~テキストだけのメール、LINEの送信・音声通話
1 Mbps~LINE・メールの送信・ビデオ通話、Zoom(高品質ビデオ)、ネットサーフィン
2.6 Mbps~Zoom(720p HDの場合)
3 Mbps~InstagramなどSNSアプリの写真投稿
3.8 Mbps~Zoom(1080p HDの場合)
10 Mbps~TikTokなどSNSアプリの動画投稿(サイズによる)
30~100 Mbps以上オンラインゲーム

LINEのメッセージ送信程度であれば1Mbpsでも問題はありませんが、動画をアップロードする場合は10Mbps以上の速度が必要です。

インターネットの速度を左右する要素とは?

インターネットの速度は、利用環境によって大きく左右されます。以下に示すインターネットの速度に影響する要素をチェックして、速度が遅い場合の改善策を検討しましょう。

利用する回線の種類による速度の違い

回線の種類によってベースとなる通信速度が異なります。以下は、一般的な回線の直近3ヶ月のデータを基にした平均速度(下り/上り/Ping値)です。

各回線の平均速度|直近3ヶ月(2025年2月17日時点)

回線種別下り上りPing
光回線526.4Mbps437.3Mbps18.0ms
ケーブルテレビ回線266.1Mbps51.5Mbps23.9ms
ホームルーター196.4Mbps22.9Mbps43.8ms
モバイルルーター111.2Mbps19.8Mbps46.2ms
携帯キャリア159.6Mbps25.0Mbps48.3ms
格安SIM78.5Mbps13.6Mbps53.4ms

上記の表を見ると、光回線のインターネット速度が最も速いのは明白です。光回線は速度が安定しており、大容量のデータ通信でも快適に利用できます。インターネット環境が適切に整備されていれば、不便に感じることは基本的にないでしょう。

現在利用している回線の速度が、平均的な速度を大幅に下回っているなら、ネット環境のどこに問題があるかチェックしましょう。

LANケーブルの種類と適切な選び方

インターネットの通信速度をテストする際、使用するLANケーブルの種類は重要な要素です。以下に、各カテゴリーのLANケーブルの性能をまとめた表を示します。

LANケーブルの種類と性能

カテゴリー最大通信速度伝送帯域規格
CAT.5100Mbps100MHz100 BASE-TX
CAT.5e1Gbps2.5G BASE-T
CAT.6250MHz5G BASE-T
CAT.6A10Gbps500MHz10G BASE-T
CAT.7600MHz 
CAT.7A1000MHz 
CAT.840Gbps2,000MHz25G BASE-T

一般的に、CAT.5e(カテゴリー5e)やCAT.6のケーブルが日常的なインターネット利用に適しています。ご自宅のインターネットが1Gbps対応の回線なら、CAT.5eのLANケーブルで十分対応できますが、より快適な速度を求める場合はCAT.6がおすすめです。

リモートワークやオンラインゲームなど、高速で安定した通信が求められる場合には、CAT.6AやCAT.7のケーブルが適しています。これらは最大10Gbpsの通信速度と500MHz以上の周波数帯域に対応しており、将来的にサービス拡大が予想される10Gbpsの光回線サービスを利用する際にも対応可能です。CAT.8は、今のところ一般家庭でその性能を活かせるサービスがありません。

LANケーブルの耐用年数

LANケーブルには耐用年数があり、一般的には約30年です。 ただし、直射日光にさらされたりLANケーブルを踏んだり引っかけたりするなど、使用環境によっては劣化を早める場合があります。厳しい使用環境で使っている場合は、早めの交換をおすすめします。

Wi-Fiルーターの性能が速度に与える影響

Wi-Fiルーターの性能も、インターネット速度に大きく影響します。現在、PCやスマホの主流はWi-Fi 6ですから、新たにルーターを購入する際は「Wi-Fi 6」または「Wi-Fi 6E」対応のモデルを選ぶといいでしょう。これらの規格は高速で安定した通信を提供し、複数のデバイス接続にも強い特徴があります。

基本的には2,402Mbps以上の性能を備えたモデルがおすすめです。特に、Wi-Fi 6Eは混雑していない6GHz帯を使えるので、高速通信を期待できます。

帯域幅とアンテナの数

ルーターの性能を判断する際には、帯域幅とアンテナの数(ストリーム数)が重要なポイントです。帯域幅はデータを転送する際の周波数の幅を示し、ストリーム数は同時に処理できるデータ通信の数を示します。ストリーム数が多いほど、複数のデバイスが同時に接続しても速度が低下しにくいです。

画像引用元:WNR-5400XE6P:Wi-Fiルーター | バッファロー

Wi-Fiルーターの主な通信速度

Wi-Fiルーターにはエントリーモデルからハイエンドモデルまでさまざまな速度の組み合わせがあります。Wi-Fi 6の場合は、以下のような速度を組み合わせたWi-Fiルーターが一般的です。

エントリーモデル:1,201Mbps+574Mbps

ミドルレンジモデル:2,402Mbps+574Mbps

ハイエンドモデル:4,804Mbps+1,147Mbps

※これらの数値は理論上の最大値(ベストエフォート)であり、実際の通信速度は利用環境や回線状況によって変動します。

Wi-Fiの電波を広げる「中継機」と「メッシュ」機能
広い家や鉄筋造りの壁など遮蔽物が多いマンションでは、Wi-Fiの電波が届きにくくなるケースがあります。そこで役立つのが「中継機」や「メッシュWi-Fi」 です。   中継機:Wi-Fiの電波を中継し、範囲を拡大する装置
メッシュWi-Fi:複数のWi-Fiルーターを連携させ、安定したネットワークを構築する仕組み

多くの最新ルーターは標準でメッシュWi-Fiに対応しているため、必要に応じて購入時に念のため確認する程度でよいでしょう。

IPv6とは?インターネット速度向上に関わる仕組みを解説

インターネットの通信をより安定させるためには、IPv6対応のWi-Fiルーターを選ぶことが重要です。国内メーカーのWi-Fiルーターは、既にほとんどがIPv6に対応しています。

IPv6とIPv4の違いとは?

IPv6とIPv4の大きな違いは使用できるIPアドレスの数です。IPv6のほうが圧倒的に多くのIPアドレスを利用できるため、より優れた規格といえます。IPv6によってアドレス枯渇の問題が解決されますが、IPv6だからといって通信速度が直接向上するわけではありません。実際に速度に影響するのは、インターネットの接続方式です。

インターネットの接続方式:PPPoEとIPoEの違い

インターネットの接続方式には、PPPoE方式とIPoE方式の2種類があります。

PPPoE方式(IPv4で主に利用される従来の接続方式)

  • 接続時に認証が必要
  • 利用者が多い時間帯に混雑しやすい

IPoE方式(IPv6に対応した次世代の接続方式)

  • 高速の通信方式
  • 認証が不要でスムーズに接続可能
  • 広い帯域幅を活用していて混雑しにくい

IPoE方式では、回線混雑を回避しながらスムーズな通信ができるため、結果的にインターネットの速度が向上します。

IPv6に切り替えれば本当に速度が速くなる?
インターネットの速度を安定させるためにはIPv6対応のWi-Fiルーターを選ぶのが基本です。国内メーカーの製品では、ほとんどのモデルがIPv6に対応しています。「IPv6にすればインターネットが速くなる」とよくいわれていますが、正確には「IPv6 IPoE方式」で接続することで速度向上を期待できます。

契約しているプロバイダーがIPoE方式に対応しているかどうかも確認しておきましょう。IPv6の初期設定も必要ですから、各メーカーの手順に従ってルーターの設定を行いましょう。海外メーカーのルーターはIPv6への対応状況がまちまちなので、購入時に仕様を確認しておくのが無難です。

IPv6に対応しているメーカー例

  • バッファロー
  • エレコム
  • NECプラットフォームズ
  • アイ・オー・データ機器

インターネットが遅く感じる原因はスマホのスペックかも?

Wi-Fi環境は問題ないのにインターネットが遅いと感じる場合、スマホのスペック不足が原因の可能性もあります。

スマホの動作が遅くなる主な原因

  • ストレージ・メモリ不足
  • OSが古い
  • 機種が古い
  • バッテリーの劣化

ストレージ・メモリ不足

ストレージの空き容量が少なくなると動作も不安定になり、フリーズや強制終了の原因になることがあります。メモリが少ないと複数のアプリを開くときに動作が重くなりますが、バックグラウンドで動いているアプリを停止するなどすると改善する場合があります。

OSが古い

OSをアップデートすると、不具合が改善されたり新機能が使えるようになったりします。一方でアップデートを怠ると、動作が遅くなりアプリが正常に動作しないことがあるので、常に最新のOSにアップデートしましょう。最新のセキュリティ対策を受けるためにも、定期的な更新を推奨します。

機種が古い

古いスマホは最新のOSや通信規格に対応できず、速度が低下することがあります。メーカーのサポート終了が迫っているスマホは買い替えを検討しましょう。

バッテリーの劣化

バッテリーが劣化すると処理速度が遅くなり、強制終了などの不具合も起きます。バッテリーの膨張や、電池の減りが異常に早いなどの症状が見受けられる場合は、スマホ本体の買い替えかバッテリー交換を検討しましょう。

時間帯や接続環境による速度の変動

インターネットの通信速度は、利用する時間帯や場所、周囲の環境によって大きく変動します。特に、多くの人がスマートフォンやPCを利用する時間帯や、人が密集するエリアでは回線が混雑しやすく、通信速度が低下します。

例えば、通勤・帰宅ラッシュ時や夜間の利用者が増える時間帯は、通信回線に負荷がかかりやすく、速度が落ちる傾向があります。これは、道路の渋滞と同じように、多くのデータが同時に送受信されて回線が混み合うためです。このため、都市部の駅周辺やイベント会場、商業施設などでは、通信の遅延や速度低下が発生しやすくなります。

また、5G対応エリアはまだ少ないため、エリア外では4Gに切り替わって速度が遅く感じられます。

速度制限の可能性

スマホが通信制限にかかっていないかも確認しましょう。契約プランによっては、 データ容量の上限を超えると極端に速度が低下します。データ容量を節約するために、スマホが低速モードに設定されていることもあるので確認しましょう。

毎月のようにスマホに速度制限がかかるのであれば、プラン変更や乗り換えを検討しましょう。「大容量プランに予算をかけられない」と思う場合には、格安SIMがおすすめです。大手キャリアの低容量プランで通信制限を受けながら我慢して使うより、格安SIMで大容量プランを使う方が快適です。

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Wi-Fiの速度が遅いときに試したい対処法

マンションでWi-Fiを利用していると、「なんだか通信が遅い…」と感じることはありませんか?光回線が導入されている建物であっても、接続方法や利用環境によって速度に大きな差が生じます。マンションでWi-Fiが遅くなる主な原因と、その対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:マンションWi-Fiの通信速度が遅い3つの根本原因と7つの改善策

まとめ:インターネット環境を整えて快適なインターネット体験を

この記事では、インターネット速度のテスト方法や、インターネット速度の目安を用途別に解説しました。インターネット速度の測定には「下り」と「上り」の速度、「Ping値」も大切な要素です。LANケーブルのカテゴリーやWi-Fiルーターのスペックなど、インターネット環境を適切に整えれば、より高速で快適なインターネット体験も可能です。速度が遅いときの対処法も試してみてくださいね。

※本記事は2025年2月17日時点の情報を基に執筆しています。

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