オクタコア採用格安スマホ~大きく重いゲームやアプリもサクサク快適

今回のテーマは『オクタコア・スマートフォン』です。
この「オクタコア」という言葉を最近よく見聞きするようになり、「なんだか高性能っぽい」「なにやらスゴイらしい」という印象はあるものの、具体的には何がスゴくて、どこが高性能なのかよく分かりません。
そこで今回は、この「オクタコア」の意味や、「オクタコア」を採用したスマホがどうスゴいのか、どこが高性能なのか解説していきます。

オクタコアとは?オクタコアの意味

まずは「オクタコア」という言葉の意味から理解していきましょう。
「オクタコア」は「オクタ」という言葉と、「コア」という言葉から成っていて、「オクタ」は「蛸(オクトパス)」を連想すればわかります。

オクタは「8」を表すギリシャ数字

実はこの「オクタ(8)」はギリシャ数字なんです。ギリシャ数字は意外と日常で使われているので以下に、1~10の数え(読み)方と用例を示します。

1.シングル(mono モノ)… モノクローム、モノリス、モノラル
2.デュアル(di ジ)… ジレンマ(2者を選べない)
3.トリ(tri トリ)… トリプル、トリケラトプス(角が3本)、トライアングル
4.テトラ(tetra テトラ)… テトラポット、テトラパック
5.ペンタ(penta ペンタ)… ペンタゴン(五画形、米国防総省)、ペンタグラム(五芒星)
6.ヘキサ(hexa ヘキサ)… ヘキサゴン(六角形)
7.ヘプタ(hepta ヘプタ)… ヘプタゴン(七角形)、ヘプタスロン(七種競技)
8.オクタ(octa オクタ)… オクトパス、オクターブ(8音)
9.ノナ(nona ノナ)… nonagon(9角形)
10.デカ(deca デカ)… decade(10年)、decahedron(十面体)

コアはCPUの中核を成すもの

本来「コア」とは、中心、中核を成すものを表す言葉ですが、「オクタコア」といったスマホ用語として使われる場合には、スマホの頭脳「CPU」の性能を表す言葉として使われます。

コアとは、指示された命令を読み込んだり実行したりする「演算装置」です。

コンピュータは、乱暴に言ってしまえば「計算機」なので、「演算」がCPUの仕事というわけです。

スマホの頭脳としてのCPUの性能が良いと言われるためには、「処理速度」と「処理能力(量)」が求められますが、CPUの処理速度は「クロック数」、CPUの処理能力は「コア」で表します。

クロック数が速く、コア数が多ければ多いほど「賢いCPU」ということになるわけです。

※CPUとは:Central Processing Unitの略

オクタコアは8つのコアを持つ最新鋭CPU

それでは「オクタ」と「コア」を合体した「オクタコア」はどういう意味になるか、もうお分かりですね。

コアが1つなら「シングルコア」。2つ以上=複数のコアを持つCPUを『マルチコア』と総称しますが、個別にも名前がついていて、2つなら「デュアルコア」、4つなら「クアッドコア」になります。そしてコアを8つも備えた高性能CPUが「オクタコア」というわけです。
スマートフォンは、当初の電話ができてちょっとしたWEB閲覧ができればよい時代から、現在は、ゲームやアプリ、動画視聴や編集など高性能CPUを搭載しなくては処理しきれない大きく重い処理がどんどん増加しています。

そうした、いわば時代の要請に対してスマホCPUもどんどん進化してきたのです。

マルチコア化する理由

CPUは処理するデータの増加に応じて、デュアル、トリプル、クアッド…とコア数を増やしてきたわけですが、コア数を増やすことの目的は以下の3点です。

(1)作業量の増加 (2)役割の分担 (3)発熱の問題

マルチコア化によって作業量増加

コア数は、多ければ多いほど多くの情報を一度に処理できます。
ちょうど「仕分け(演算)」の作業ロボットに似ていて、「情報」という荷物が流れてくる1つのライン上に1台あるのが「シングルコア」、2台あるのが「デュアルコア」と考えると分かりやすいでしょう。
作業ロボットが1台より2台、2台より4台の方がより多くの情報の仕分け(演算)が可能です。
「オクタコア」は作業用ロボットが8台も設置されているので、流れてくる商品が多くても楽々処理してしまう…といったイメージです。

マルチコア化によって役割分担

スマホで行う作業は、常に高速で大量の情報を演算し続けているわけではありません。

電話やメールを単に待ち受けている時などはCPUの能力のごくごく一部しか使用しま
せんし、使用する必要がありません。
そんな簡単な作業の時に高性能なコアを使う必要はないので、そういう場合には、能力は低いが定電力で動作するコアが向いています。

高性能なコアと、定電力なコアを組み合わせることもマルチコア化の目的の1つです。

マルチコア化によって発熱の問題をクリア

先に述べたように、CPUの性能を上げるには「クロック数」を上げるか、「コア数」を増やすことで実現できますが、「クロック数」を上げることは同時に発熱の問題を抱えることになります。

パソコンの場合にはファンを設置するなどの対策が可能ですが、小さく狭いスマホ本体内に納めるには発熱はできるだけ避けたい問題です。

そこで同じクロック数ならコアが多い方が演算能力があがるので、スマホでは特に「マルチコア化」が進められた背景があります。

スマホ購入の際にチェックすべき項目とは

CPUのコア数が多ければそれだけで高性能スマホになるのか…と言えば、コア数意外にも性能を左右するスペックはいくつもあります。スマホ購入時には以下の3つのスペックをチェックして総合的に判断しましょう。

(1)クロック数 (2)RAM・ROM (3)GPU

クロック数とは

簡単に言えばどれだけ速く動けるか…の性能です。

先にも少し述べていますが、CPUの性能を上げようとすれば「速く動ける(クロック数)」ことと、「処理能力の高さ(コア数)」によって決まります。

同じコア数でもクロック数が速い方が高性能であり、同じクロック数ならコア数が多い方が高性能です。クロック数が速くコア数が多いCPUが最も高性能であることは言うまでもありません。

RAM・ROMとは

RAMとROMはいずれも「メモリ」と呼ばれる記憶装置ですが、役割が異なります。

RAMは、Random Access Memory(ランダムアクセスメモリ)の略で、CPUが演算(処理)を行う際に使用する主記憶装置(メインメモリ)を指し、RAMはRead Only Memory(リードオンリーメモリ)の略で、写真や音楽、ゲームなどのデータを保管しておく内蔵ストレージを指します。

特にRAMは、CPUの作業の速さや量に影響するので重要で、RAMが足りないとアプリを複数立ち上げた際などにサクサク動作しなくなってしまうケースがあります。

GPUとは

CPUによく似た言葉に『GPU』があります。

GPUは画像や映像の処理をCPUの代わりに行いますが、現在の高精細な画像には欠かせません。

クロック数も速くマルチコアなのにどうも画像が美しくない、動作が鈍いと感じたら、もしかしたらGPUの性能をケチっている可能性が大です。クロック数、CPUとともにGPU性能の事前チェックが重要です。

有名スマホに採用されているCPUは?

iPhoneと言えば誰でも知っていて日本では特に人気の高いApple社製のスマートフォンです。

GalaxyはSamsung製、Xperiaはソニー製、RenoはOPPO製とスマホの機種名が広く知られているモデルも少なくありませんが、それらの有名スマホはどのようなCPUを使っているのでしょうか。

Apple iPhone

iPhoneに採用されているCPUは「Aシリーズ」と呼ばれるAppleが設計した独自CPUで、実際の製造は外部の製造メーカーに委託しています。

2013年発売のiPhone 5sに搭載された「A7」までは韓国サムスン電子、2014年のiPhone 6に搭載された「A8」以降は台湾TSMCが製造を担当しています。「A9」はサムスンとTSMCの両社が製造していますが、「A10 Fusion」以降はTSMC1社での製造となっています。

ちなみに、TSMCは熊本県に大規模工場を建設し半導体製造を行う等のニュースで最近話題の企業で、国際的な半導体不足の折から、サプライチェーンの確保のみならず、経済安全保障の観点からも期待されています。

最新の「A16 Bionic」は、2022年発売のiPhone 14 Pro/Pro Maxに搭載されています。

Qualcomm Snapdragon

クアルコム社が製造する「Snapdragon(スナップドラゴン)」シリーズは、汎用CPUとしてSony、OPPO、サムスン、Xiaomi、SHARPなどAndroidスマホの製造メーカーに広く採用されています。

CPU単体の性能としては、iPhoneのAシリーズを凌ぐとも言われていますが、スマホの性能は単にCPU性能の高さだけで決まるものではないため、最高峰のSnapdragonを採用しているからといってスマホ性能が最高であるとは限りません。

ちなみに、2020年までのSnapdragonは3桁数字によるモデル番号がつけられていましたが、2021年からネーミングが変更となり「Snapdragon 8 Gen 1」となりました。現在のトップエンドは「Snapdragon 8 Gen 2」となっています(「8」シリーズがトップエンドシリーズであることは変わりません)。

HiSilicon Kirin

「Kirin」は、HuaweiASICデザインセンターを前身とするHiSiliconが製造するモバイル向けプロセッサーで、多くのHuawei製品に採用されてきました。

近年は米国による制裁により5G技術が制限されたことで採用は減少傾向です。

Samsung Exynos

「Exynos」(イクシノス)は、韓国サムスン電子のモバイル向けマイクロプロセッサーで、Galaxyなどの同社のスマホやタブレットなどに採用されていますが、SamsungではQualcomm「Snapdragon」を採用するモデルもあり、併用している状態です。

オクタコア搭載の格安スマホ

機種メーカープロセッサーRAMROM画面サイズ価格
AQUOS R6SHARPSnapdragon™ 888 5G12GB128GB6.6インチ145,970円
ZenFone 8ASUSSnapdragon™8888・16GB128・256GB5.9インチ77,929円
Reno5 AOPPOSnapdragon™765G6GB128GB6.5インチ31,839円
AQUOS sense6SHARPSnapdragon™ 690 5G4GB・6GB64GB・128GB6.1インチ32,964円
Xperia 10 ⅢSONYSnapdragon™690 5G6GB128GB6.0インチ44,980円
Redmi 9TXiaomiSnapdragon™ 6624GB64GB6.53インチ21,085円
AQUOS wishSHARPSnapdragon™480 5G4GB64GB5.7インチ20,900円
moto e32sMotorolaMediaTek Helio G374GB64GB6.5インチ21,800円

オクタコア採用の代表的な格安スマホを一覧にしました(プロセッサーの降順並び)。

昨今では格安スマホと呼ばれる低価格の端末でもオクタコアを採用するケースが増加しており、3~4万円のミドルクラスはもちろん、2万円台のエントリークラスにもオクタコア採用スマホがラインナップされています。

クロック数やRAM等との兼ね合いなどもあるので、オクタコアなら必ずしも高性能で快適に利用できるとは限りませんが、よほど重いゲームなどに使用しない限り使い勝手は悪くないものと推察できます。

なお、iPhoneは「A11 Bionic」以降、最新のA16までのすべてのCPUで6コアを採用しています。

オクタコア採用格安スマホまとめ

格安スマホと呼ばれる5万円以内のスマートフォンにも「オクタコア」を採用する端末が増えてきたので、ミドルクラス~エントリークラスのモデルでも、ゲームや動画視聴などで能力不足を感じることは少なくなりました。

機種によっては2万円台前半から購入できるモデルもあるので、今お使いのスマホの動作に物足りないと感じたら「オクタコア」採用のスマホに買い替えてみるとよいかもしれません。

その際は、併せてプロセッサーやRAMなどの他の要素も検討するようにしてください。

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