SIMフリー格安スマホでおサイフケータイは使える?GooglePayとの違いは

今回のテーマは、おサイフケータイです。
おサイフケータイは、文字通り「携帯電話がお財布代わりになってお金を支払える機能」を指します。おサイフケータイはガラケー時代に生まれた決済方法で、現在はAndroidスマホで利用することができます。
似たような仕組みに、iPhoneの「Apple Pay」(アップルペイ)や、同じAndroidスマホで利用する「Google Pay」(グーグルペイ)があります。
今回は、おサイフケータイの仕組みや、同じAndroidスマホで使えるGoogle Payとの違いなどを解説します。

おサイフケータイの基礎知識を知っておこう



画像出展:Google Play

実は、おサイフケータイも、Apple PayもGoogle Payも大枠では「NFC」という仕組みで動作しています。
「NFC」は、Near Field Communicationの略で、ソニーとフィリップスが共同で開発した『近距離無線通信規格』です。
簡単に言えば、端末を近づけると通信できる仕組みです。これを簡単に言い表しているのが「かざす」です。まさに端末を「かざす」ことで無線通信が行われます。
ひとくちにNFCと言っても「Type A」「Type B」など色々な種類があり、上記3つの決済システムのうち、Apple PayとGoogle PayはNFCの近距離無線通信を使用していますが、おサイフケータイは、「Felica」(フェリカ)を使用しています。
「Felica」は、NFCを元にソニーが独自開発した「Type F」を使って国内向けにICカードのデータ管理やセキュリティ機能を盛り込んだ非接触型IC技術です。
日本の「電子マネー」などの近距離無線通信のほとんどはこの「Felica」を利用して開発されたため、日本国内ではNFCよりもFelicaの普及が進んだ経緯があります。
「Felica」は海外ではほとんど普及しておらず、日本の電子マネーはNFCでは動作せず、必ず「Felica」が必用になるため、いわゆる「ガラパゴス」機能の一つと言われています。

おサイフケータイは国内電子マネー専用

こうして日本独自に進化・普及したFelicaは、おサイフケータイとしてNTTドコモの携帯電話に採用され、のちにauやSoftbankにも採用され、さらにスマホ時代になると国産のAndroidスマホに搭載されました。
iPhoneにはFelica機能は搭載されておらず、よりグローバルなNFCによるクレジットカード決済が標準でしたが、iPhone 7/7Plusの日本向け製品にはFelica機能を持たせ、日本独自の電子マネーであるSuicaに対応したことは当時ちょっとしたニュースになりました。
おサイフケータイでは、NFCによるクレジットカード決済機能はなく、あくまでプリペイド(事前チャージ)の電子マネー(6種)と、NTTドコモと三井住友カードが開発したあと払い電子マネー「iD」、JCBカードのあと払い電子マネー「QUICPAY」が利用できるに留まります。
おサイフケータイで使用可能な主な電子マネーやポイント、会員証等は以下の通りです。

電子マネーモバイルSuica
モバイルPASMO
楽天Edy
WAON
nanaco
モバイルスターバックスカード
iD
QUICPay
航空会社JAL タッチ&ゴーサービス
ANA SkiPサービス
ポイント
会員証
dポイント
Ponta
Tポイント
ゴールドポイント
ビックポイント
FeliCaポケット
チケットticket board

※ただし、おサイフケータイの場合には、使用する電子マネー個々のアプリをインストールする必要があります。

おサイフケータイはSIMフリースマホで使えるのか



よくこういう質問を頂きますが、おサイフケータイとSIMロック・SIMフリーはまったく関係ありません。
SIMロックやSIMフリーは、端末を販売した通信会社が他社回線で使用できないようにするためのロックがかかっている、あるいはかかっていない状態を指す言葉で、直接おサイフケータイが使える・使えないとは無関係です。
SIMロックであろうが、SIMフリーであろうが、その端末が「Felica」機能を搭載していれば、おサイフケータイは使えるということです(※)。

※SIMロック端末に他社の通信SIMを入れても通信できないために、決済時に通信を使用するおサイフケータイが決済不能になるといった間接的な影響はあります。しかし、通信できない端末を持ち歩いておサイフケータイだけを使おうとすることは現実にはあり得ない事例です。

この質問の本質は「海外製格安スマホでおサイフケータイが使えるか」です。
MVNOなどで購入可能な格安スマホの多くが『海外製SIMフリーAndroidスマホ』なので、混同して「SIMフリースマホで使えるか」という質問になりがちですが、本来の質問の意図は「海外製格安スマホでおサイフケータイは使えるのか?」です。
つまり、日本独自に進化・普及した「Felica」を使用するおサイフケータイは、海外製の格安スマホでも使えるのか…ということを聞きたいわけです。

おサイフケータイ当初は国産スマホでしか使えなかった

海外製の格安スマホは、グローバルな市場で大量に販売することで1台ごとの単価を安くできているため、当然日本市場にもグローバルモデルをそのまま投入することが、格安スマホの価格を維持する方法です。
ところが前述の通り、おサイフケータイを動作するためには日本独自に進化・普及した「Felica」が必要です。
日本市場のためだけに「Felica」を搭載してコストが増えることは、格安スマホとしての競争力を弱めることになるので、当初は海外メーカーのモデルに「Felica」は搭載されておらず、必然的におサイフケータイも使えませんでした。
当初は、ソニー、SHARP、富士通、京セラといった国内メーカーのスマホのみがおサイフケータイに対応していました。

iPhone 7を契機に海外メーカーの日本仕様モデルが多くなった

こうした状況の中、AppleがiPhone 7を日本市場に投入する際に、Felicaを搭載しApple PayでSuicaの利用を可能にしましたが、それが日本国内で歓迎されたことで状況に変化が起こりました。
格安スマホを製造販売する海外メーカーどうしの競争も激しくなったことも相まって、他社との差別化を図るため日本市場の要求を盛り込んだ日本仕様モデルを投入する海外メーカーが増加しています。
防水防塵機能などと共に、おサイフケータイの利用を可能にするFelicaを搭載する海外製のAndroid端末スマホが増えてきています。
現在のスマホ市場では、格安スマホといえば海外製のエントリーモデルが広く普及していますが、OPPO、Xiaomiなどメーカーは、NFCに加えてFelicaも積極的に搭載することで、日本市場での自社製品のシェア拡大を図っています。

おサイフケータイ vs Google Pay



画像出展:Google Play

同じAndroidスマホで使える決済システム「おサイフケータイ」と「Google Pay」は何が違うのでしょうか。
どちらか一方があれば事足りるのでしょうか、あるいは両方あった方がよいのでしょうか。

Google Payはほとんどの海外製格安スマホで利用可能

海外製スマホでは、NFCには対応しているがFelicaには非対応というケースがあります。
NFCを搭載していれば、グローバルモデル同様にGoogle Payを使用することができ、クレジットカード決済が利用可能になります。
しかし、Felicaを搭載していなければ日本の電子マネーは使用できないため、Google Payで電子マネーを使いたい場合には、NFCの他にFelicaにも対応していなければなりません。
この点が誤解されやすいのですが、Felicaに対応していればGoogle Payが使えるのではなく、クレジットカード決済だけならNFCのみでGoogle Payの利用は可能です(※)。

※もし、Felicaが搭載されていなくてGoogle Payが使えないのであれば、海外メーカー製のグローバルモデルもすべてFelica対応になっているはずです。
しかし、実際にはグローバルモデルはFelica非対応ですが、NFCのみでGoogle Payのクレジットカード決済が可能です。
つまり、元々NFCによるGoogle Pay利用可能なモデルに、追加でFelica対応とすることで日本独自の電子マネーをGoogle Pay上で利用可能にしているというわけです。

おサイフケータイはクレジットカード決済ができない

おサイフケータイとGoogle Payを比較する際に、最も端的に違いを表しているのはクレジットカード決済の可否です。
おサイフケータイで利用できるのはあくまで電子マネーです。
Suica、楽天Edy、nanaco、Waonは事前チャージが必要な電子マネーです。
「iD」と「QUICPAY」はクレジットカードから支払われるためクレジットカード決済のように見えますが、厳密には直接クレジットカードから決済しているわけではありません。
さらに、クレジットカード決済が可能なため、オンラインでの決済も可能です。

Google Payはおサイフケータイにできることはほとんど可能

Google Payは、基本的にはNFCを使ったクレジットカード決済しか行うことができませんが、最近のNFC対応スマホは、同時にFelicaにも対応している機種が増えており、おサイフケータイ同様に電子マネーの使用も可能になってきています。
Felica対応スマホのGoogle Payで使用できる電子マネーは以下の通りです。

・Suica(JR東日本)
・楽天Edy(楽天)
・nanaco(セブンイレブン)
・Waon(イオン)
・iD(VISAカード)
・QUICPay(JCB)
・VISAタッチ(VISA)

PASMOを除いておサイフケータイで利用できる電子マネーはほぼ利用可能な上、おサイフケータイにはできないクレジットカードやデビットカードでの決済も可能です。
また、「Tポイント」「dポイント」のポイントカードとしても利用することが可能です。
こうした状況を考え合わせると、通常の決済方法はGoogle Payを使用し、Google Payで対応できない一部機能についてはおサイフケータイ…という使い方がおすすめと言えます。

AndroidスマホとiPhoneの違い

iPhoneは、Appleが開発から製造・販売まですべてを一貫して行っているため、Felicaの採用についても、iPhone 7移行のモデルでは例外なくすべてのモデルで採用されています。
iPhoneを購入する場合には、iPhone 7以降のモデルであれば機種ごとに確認しなくても、NFCにもFelicaにも対応しているため、クレジットカード決済+電子マネーSuica/PASMOが利用可能です。
しかし、Androidスマホの場合は、Googleが無償提供するAndroid-OSを使って製造メーカーがそれぞれに自社ブランドのスマホを開発・製造販売するためまったく統一性がありません。
そのため、NFCを採用する・しない、Felicaを採用する・しないは、各メーカーごとの判断に委ねられているため、『○○年以降に発売のすべてのモデルで』といった分かりやすい「括り」ができません。
『海外製の格安スマホでおサイフケータイが使えるか』という質問も、根本的にはこの分かりにくさや統一性のなさからきていますが、1機種1機種、NFCとFelicaの採用を確認するしかありません。

スマホ決済・バーコード決済の台頭

現在のAndroidスマホでの決済には「スマホ決済」「バーコード決済」と呼ばれる方法が加わりました。
PayPayや楽天ペイ、au Pay、d払いなどのスマホ決済は、NFCもFelicaも使用しません。
スマホアプリでバーコードを読み取るか、逆に、スマホアプリに表示されたバーコードを店舗の端末で読み取るか、いずれかの方法で決済が行われますが、そこには「近距離無線通信」の技術は使われていません。
店舗に専用端末や難しいオペレーションを要求しないため、店舗側の採用ハードルが低く急速に普及しています。

SIMフリー格安スマホでおサイフケータイは使えるのか まとめ

今回の記事の内容をまとめると以下のようになります。

・おサイフケータイは日本独特の電子マネー決済ツールである
・Suicaや電子マネーは日本独自のもので海外では普及していない
・おサイフケータイは当初日本メーカーのスマホでしか使えなかった
・おサイフケータイの利用にはスマホが「Felica」に対応している必要がある
・「Felica」は、ソニーが国内向けに開発したNFCの一部である
・Google PayはNFCのみでクレジットカード決済を利用可能
・Felicaにも対応したスマホはGoogle Pay上で電子マネーを利用できる
・SIMロック、SIMフリーはおサイフケータイの利用可否に無関係
・海外製グローバルモデルはFelicaに対応していない場合がある
・最近は海外メーカー製品でもFelicaに対応した日本仕様モデルが多くなっている
・MVNOの海外製格安スマホでもFelicaに対応していればおサイフケータイを使える

以上から結論はこのようになります。

結論:『海外製SIMフリー格安スマホでもおサイフケータイを使えるモデルがある』
補足:『ただし、Felicaに対応していることを確認する必要がある』
海外製格安スマホを選ぶ際は「おサイフケータイ対応」「Felica搭載」などの記載を探すようにしてください。

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