デュアルSIM~1台のスマホで2回線を使い分けられるDSDAとは
2023.10.11
今回のテーマは「デュアルSIM」です。
デュアルSIMとは、読んだままの意味で、2枚のSIMカードを挿入することができることで、2枚のSIMカードを挿入して利用することができるスマートフォンを「デュアルSIMスマホ」や「デュアルSIM仕様(スマホ)」といいます。
2枚のSIMカードを挿入できるスマホといっても、2枚同時に使用できる・できない、SIMカードが2枚挿入できる、あるいは片方はeSIMを利用できる等々、色々なパターンがあります。
今回は、デュアルSIMスマホを徹底解説し、そのメリットや活用方法なども紹介します。
デュアルSIMスマホのメリットや活用方法
1台のスマホで2枚のSIM、つまり2回線の通信契約が利用できるメリットは何でしょうか。
簡単に言うと、「SIMカード1枚では得られない利便性」ということになります。例えば、
・電話番号を2つ持てる
仕事用×プライベート用、国内用×海外用など、別々の電話番号や通信契約を使い分ける場合など。
・通話用、通信用を分けることができる
通話と通信を別契約にした方が料金が安くできる場合や、カウントフリーなど特定の通信サービスを使用したい場合など。
仕事用とプライベート用を分離して携帯電話を2台持つような、いわゆる「2台持ち」はデュアルSIMスマホが登場するずっと前から行われてきました。
また、海外出張が多い ビジネスマンは、出張先の現地で使えるプリペイドSIMを挿入した端末を国内用とは別に持つようなことも日常的に行われてきました。
昨今では、格安SIMと呼ばれる月額基本料を抑えた割安なデータ通信サービスが広く認知されるようになり、従来からの電話番号付き回線の他に、データ専用SIMを契約するケースも増えています。
こうしたスマホを2台持つような2回線保有の状況を、1台のスマホで実現することができるのが「デュアルSIMスマホ」というわけです。
デュアルSIMスマホに挿入するSIMの組み合わせ
デュアルSIMスマホは、1台のスマホに2回線の通信SIMを挿入できますが、挿入可能なSIMは機種によって2通りあります。
SIMは、実体のある「SIMカード」と、実体のない「eSIM」があります。
「SIMカード」は「物理SIM」とも呼ばれ、スマホ利用者がSIMカードを実際に抜き差しできるSIMです。
これに対して「eSIM」(Embedded SIM)は、すでにスマホ本体に格納されているSIMカードに、オンラインからデータをインストールすることから「実体のないSIM」と呼ばれる場合があります。
SIMカードが2枚挿入の場合
単純にSIMカードを2枚挿入できるタイプのスマホで、SIMトレーに2枚分のスペースが設けられています。
【SIMカード×2枚の特徴】
・設定方法は従来通りでわかりやすい
・オンラインでSIM契約した場合、即日利用開始ができない(SIMカードの配送)
・2枚以上のSIMを登録しておくことができない ・SIMカードの紛失・破損・汚損が生じる場合がある
SIMカード+eSIMの場合
デュアルSIMのうち、1枚がSIMカード、もう1枚はeSIMとなるタイプで、SIMカードトレーには1枚分のスペースしかありません。
【SIMカード+eSIMの特徴】
・eSIMの設定に慣れていない
・オンライン契約でも申込当日から利用可能
・同時に利用できるのは2枚だが、eSIMは制限なく登録しておくことができる
・eSIMは、紛失・破損・汚損の恐れはないが、設定ミスで無効になる恐れあり
デュアルSIMのデメリット
デュアルSIMであることのデメリットは特に大きな問題はありませんが、一部の端末では以下のような状況や症状が出る場合があります。
・SDカードが挿入できなくなる(Android)
初期の頃のデュアルSIMはこのタイプが多く、さらに、SDカードとSIMをカードスロットを共有していたため、デュアルSIMを使用するとSDカードが入れられなくなるデメリットがありました。 現在の多くのSIMカード2枚タイプのデュアルSIMスマホは、SIMカード2枚とSDカードを挿入できるようになっています。
・消費電力が多くなる(バッテリーの持ちが悪くなる)(Android)
2枚のSIMカードが常に通信状態のよい基地局を探すため、SIM1枚よりも消費電力が大きくなります。スマホは通信状態の良い基地局を探すために電池容量を使ってしまう「セルスタンバイ」という状態です。
デュアルSIMの機能による違い
デュアルSIMは、SIMの動作や機能によって以下の4つのタイプがあります。
1.DSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)
2.DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)
3.DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)
4.DSDA(デュアルSIMデュアルアクティブ)
これは、前2文字が「何枚のSIMを挿入できるか」を表し、後ろ半分の2文字が「どのように動作するのか」を表しています。
また、下へいくほど多機能で進化している仕様といえます。
DSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)とは
DSSSは、1台のスマホに2枚のSIMを挿入することが可能で、そのうちの片方しか有効にできない仕様です。
2枚のうちいずれか、有効にしているSIMに紐づいた電話番号で通話着信を受けることができ、通話発信もデータ通信も有効な方のSIMのみで可能です。
有効にしていない方はスマホに入れておくことしかできず、手動で有効なSIMを切り替えない限り使用することができません。
有効にできるのは片方だけで、別の片方は「圏外」になってしまうため、例えば、仕事用と個人用の2つのSIMを挿入しても、有効にしている側にかかってきた電話しか受けることができないため、あまり実用的とは言えません。
DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)とは
DSDSは、1台のスマホに2枚のSIMを挿入することが可能で、そのどちらも有効にすることができる仕様です。
ただ、両方のSIMをスタンバイさせることができるだけで、両方を同時に使うことはできません。
例えば、待ち受け中や、片方のSIMでデータ通信中であればどちらのSIMに通話着信があっても受けることができますが、通話を開始するとデータ通信はできなくなります。
また、両方のSIMで同時に通話することもできません。
両方のSIMを有効にできるので、例えば、仕事用と個人用の2つのSIMを挿入しておけば、どちらにかかってきた電話でも受けることができます。
ただし、4G通信が可能なのはいずれか片方だけで、もう片方は3G通信となってしまうため、データ通信中にかかってきた電話は3G通話(※)となります。
※3G通話
3G通話は長らく国内のモバイル通信網の通話に利用されてきた通話回線で、いってみれば「普通の通話回線」で、特に品質が劣っている等ではないので誤解なきよう。4G回線を使用するVoLTEに比べれば、細密な品質の面で若干劣るというだけです。
また3G通信は、速度の速い4G通信よりも建物内や地下への電波が浸透しやすく通信可能エリアが広いため、インフラと考えた場合には3G通信の役割は決して侮れません。
DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)とは
DSDVは、DSDSの進化版で、1台のスマホに2枚のSIMを挿入することが可能で、そのどちらも有効にすることができる仕様はそのままに、いずれのSIMでも4G通信を可能とした仕様です。
通話を開始するとデータ通信できなくなる点や、両方のSIMで同時に通話できない点はDSDSと同様ですが、片方で4G通信を行っている場合でも、もう片方で4G通話(VoLTE)が可能です。
常に高音質通話を実現できます。
DSDA(デュアルSIMデュアルアクティブ)とは
現在のデュアルSIMの仕様の中で最も進化したタイプで、1台のスマホに2枚のSIMを挿入することが可能で、そのどちらも有効にすることができる仕様はそのままに、2枚のSIMを同時に使用可能としています。
従来のデュアルSIMの使用では、2枚のSIMを同時に利用することはできませんでしたが、DSDAの場合は、2枚のSIMを同時に利用できるため、WEB閲覧中に着信した電話を受けつつWEB閲覧を継続できますし、通話中に地図情報などを送信することも可能です。
まさに究極のデュアルSIMの仕様といえますが、まだ採用している端末が極端に少ないので、一般に普及するにはしばらく時間がかかりそうです。
おすすめのデュアルSIM(DSDS)スマホ
DSDV対応のデュアルSIM仕様のSIMフリースマホを3機種ご紹介します。
メーカー | OPPO | SHARP | APPLE |
機種名 | Reno 5A | AQUOS Sense4 | iPhone SE |
発売日 | 2021/06/11 | 2020/11/27 | 2020/04/24 |
サイズ | 74.6×162×8.2mm | 71×148×8.9mm | 67.3×138.4×7.3mm |
重量 | 182g | 177g | 144g |
CPU | Snapdragon765G | Snapdragon 720G | Apple A13 |
OS | ColorOS 11 | Android 10 | iOS13(※) |
ディスプレイ | 6.5インチ | 5.8インチ | 4.7インチ |
パネル | LTPS-LCD | IGZO液晶 | Retina HD |
バッテリー容量 | 4000mAh | 4570mAh | – |
デュアルSIM | DSDV | DSDV | DSDV |
SIMサイズ | nano/eSIM | nano | nano/eSIM |
おサイフケータイ | 〇 | 〇 | Apple Pay |
防水防塵 | IPX68 | IP68 | IPX76 |
最安価格目安 | 35,000円 | 30,000円 | 40,000円 |
OPPO Reno 5A
OPPOは海外ブランド(中国)でありながら、グローバルモデルと並行して日本仕様の「Reno A」シリーズを展開しており、海外スマホには珍しくおサイフケータイなどの日本独自の機能にも対応しています。
デュアルSIMについては、導入は比較的早くからDSDS、DSDV機を投入しています。
今回紹介している「Reno 5A」は、某人気タレントさんのTVCMでも一躍有名になった「Reno A」シリーズの最新モデルの1つで、5G通信にも対応しており、基本性能を押さえ、日本仕様を適応した使いやすいモデルで、もちろんDSDV仕様です。
価格帯は幅がありますが、最安の目安は35,000円ほどミドルクラスの中の最安価格帯に位置する高コスパモデルです。
OPPOラインナップには、Reno 5Aの他にも、A73/A54 5G/A55s 5Gなど、DSDV対応でもリーズナブルなモデルがあります。
SHARP AQUOS Sense 4(SH-M15)
SHARPは、台湾の鴻海に買収されて以降も日本仕様のスマホを製造しているちょっと変わったスマホメーカーです。
長年、日本企業として「AQUOS」シリーズを製造・販売してきただけに、日本国内での使用には一日の長があるといえます。
何事も過度にならない「ちょうどよい」スマホは、初心者からベテラン、シニアまで誰が使っても使いやすく、価格も手ごろな日本のスマートフォンです。
今回紹介している「AQUOS Sense 4」も、きちんと必要な機能を備え、日常の使用に過不足ない基本性能を備えており、もちろんDSDVに対応しています。
「AQUOS Sense 4」はHISモバイルでも取り扱っており、一括・分割いずれでも購入可能です。SIMカードとのセットは割安価格で購入可能です。
格安SIMやMVNOのSIMカードを差せば利用できるSIMフリー端末でご提供しています。
AQUOS Senseシリーズでは、AQUOS zero2/Sense4 plus/sense5GはDSDV、sense3 lite/sense4 liteはDSDS仕様のモデルです。
Apple iPhone SE(第2世代)
iPhoneは、全画面モデルとなって2代目のiPhone XSからデュアルSIMに対応しており、最新モデルiPhone 13シリーズもすべてDSDV仕様となっています。
他の2機種と比べると、画面サイズが小さいわりに価格が割高に感じますが、iPhoneの長寿命を考えるとまだまだ充分に現役で使用できますし、iOSが長期間アップデートされることを勘案すれば、価格が手ごろな「SE」はねらい目です。
一覧にiOSは「iOS13」と記載していますが、現行最新の「iOS15」にiPhone SEをアップデートすることが可能です。こうした長期間のサポートもiPhoneの魅力です。
iPhoneのDSDVの特徴は、2枚のSIMが両方物理カードではなく、片方が「eSIM」であることで、DSDVとして有効にできるのは、nanoSIM×1+eSIM×1ですが、eSIMは無効のままなら何枚分でも保存しておけます。
iPhoneはSEの他にも、iPhone XS/XR/11/12/13など旧モデルから最新モデルまで多様な選択肢がありますので、性能・機能・予算などに合わせて選ぶとよいでしょう。
デュアルSIMスマホを活用して快適スマホライフを
通信会社にも、通話サービスが得意なところ、データ通信が得意なところ、追加容量が割安だったり、カウントフリーサービスを提供しているなど、サービス内容やコストは千差万別です。
そうした通信会社のサービスの中から、いかに自分に合ったものを探して契約するかがスマホ料金の節約や快適なスマホ利用のカギとなりますが、必ずしも1社の1サービスですべてに対応できるわけではありません。
そんな時に、それぞれのサービスの良いところ取りで2つのサービスを使い分けられるデュアルSIMは非常に重宝する存在です。
デュアルSIMスマホを使いこなして快適なスマホライフを実現してください。
SIMの入れ方や設定方法はこちらの動画もご参照ください。
※2023/10/11追記:動画内の「②プロファイルのダウンロード」「③プロファイルのインストール」部分ですが、参考ページのメニューが変更になっているため、プロファイル・APN設定のページをご参照ください。
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