eSIMとは?SIMカードとの違いやメリット・デメリット、注意点等を解説!

2022.11.30

国が主導して携帯料金を下げる機運が高まり、大手キャリアがahamo、povo、LINEMOなどを発売したことにより、格安スマホ(格安SIM)に注目が集まりました。
そのため、格安スマホに乗り換えた人が増加しましたが、その中には初めてSIMカードの存在を知ったという方もいるのではないでしょうか。
そんな中、新たに登場したのが、最新のSIM規格である「eSIM」を利用した通信プランです。
そこで、この記事では「eSIMとは何か?」を、eSIMについて、SIMカードとの違いやメリット・デメリット、注意点、利用までの流れなどを解説することによって、明らかにします。

eSIMとは

eSIM(イーシム)とは、「Embedded SIM」(埋め込まれたSIM)の略で、文字どおり、あらかじめスマートフォンなどの端末に内蔵されたSIMのことです。

いわば、3種類のSIMカード(「標準SIM(miniSIM(ミニシム)」「microSIM(マイクロシム)」「nanoSIM(ナノシム)」)に続く、4種類目のSIM規格が「eSIM」になります。

SIMカードと同じく、eSIMにも、電話番号や契約者情報が記録されています。

3種類のSIMカードと「eSIM」の最大の違いは、SIMカードは差し替える必要があるのに対し、eSIMは差し替える必要がないところです。

そのため、インターネット上で通信プランを契約後、すぐにスマホの電話やデータ通信を利用することができるというメリットがあります。

eSIMに対応している端末は少ないものの、大手キャリアや一部の格安スマホにおいて、徐々にeSIMに対応する動きが出てきています。

eSIMとSIMカードの違い

eSIMとSIMカードには、どのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、eSIMとSIMカードの違いについて解説します。

eSIMとSIMカードの違いをまとめると、次のようになります。

eSIMとSIMカードの違い

eSIMSIMカード
埋め込み型(差し替え不要)差し替え可能
紛失・破損しにくい紛失・破損しやすい
郵送が不要
(オンライン上の手続きでスマホ等の開通が可能)
郵送が必要



この表を見ると、eSIMとSIMカードの違いは、eSIMは埋め込み型であるのに対して、SIMカードは差し替え可能であるということがわかります。

eSIMのメリット・デメリット

eSIMは、従来のSIMカードと違う埋め込み型のSIMで、新たなSIM規格となりますが、メリットだけでなく、デメリットもあります。

ここでは、eSIMのメリット・デメリットについて、解説します。

eSIMのメリット

eSIMには、4つのメリットがあります。

① eSIMは差し替えが不要

既に解説したように、eSIMとSIMカードの最大の違いは、SIMの差し替えが必要か不要かという点です。

SIMカードは差し替える必要があるのに対し、eSIMは差し替え不要になりますが、これはeSIMのメリットになります。

というのは、SIMはデリケートな電子部品であるため、SIMカードの差し替えの際、取扱いを誤ると故障するリスクがあるからです。

この点、eSIMは差し替えが不要であるため、故障リスクがないというメリットがあります。

② オンラインで契約や設定ができるため、時間や場所を問わない

eSIMは差し替えが不要であるというメリットに関連して、eSIMにはオンラインで契約や各種設定ができるため、時間や場所を問わないというメリットがあります。

つまり、eSIMが内蔵されたスマホ端末を使えば、いつでも、どこでもオンラインで通信プランの契約や設定が可能であることから、すぐにスマホの電話やデータ通信を利用することができます。

一方、SIMカードで乗り換えなど新たな契約をする場合は、SIMカードの発行を申し込んでから、自宅にSIMカードが郵送されるのを待つ必要があります。

そのため、SIMカードよりeSIMのほうが、早く利用できるというメリットがあるのです。

③ eSIMとSIMカードを使えば、1台のスマホで複数のネットワークの利用が可能

スマホの中には、1台で2つのSIMカードを使用できる「デュアルSIM」という仕様になっている機種があり、その中にはeSIMとSIMカードに対応した「デュアルSIM」を利用できる機種もあります。

iPhone XS以降の機種は、eSIMとSIMカードを利用できる「デュアルSIM」に対応しています。

この「デュアルSIM」を利用すれば、eSIMとSIMカードの2つのネットワーク(携帯電話会社)を使い分けることができます。

そのため、通話やデータ通信(インターネットやアプリ、メールなど)を使い分けることが可能になります。

例えば、「仕事とプライベート」「通話とデータ通信」などを使い分けたり、データ通信を格安SIMにして、通信料を節約したりすることができます。

④ 従来のSIMカードと比べ、海外での利用が便利

スマホを海外で使う場合、事前にECサイトや日本の空港内でSIMカードを購入するか、現地でSIMカードを購入して、スマホ端末に挿入した上で設定する必要があります。

さらに、SIMカードを取り寄せる手間がかかったり、SIMカードの対象国が限定されているなどのリスクがあったりもします。

しかし、eSIM対応のスマホを利用すれば、インターネット環境さえあれば、ECサイトなどからeSIM向け通信プランを購入することができます。

そのため、従来のSIMカードと比べると、eSIMのほうが海外での利用が便利になります。

eSIMのデメリット

一方、eSIMには、4つのデメリットがあります。

① スマホ(eSIM、格安SIMなど)について、ある程度の理解(ITリテラシー)が必要

eSIMが内蔵されたスマホを使いこなすには、スマホ(eSIMや格安SIMなど)やパソコンなどについて、ある程度の理解(ITリテラシー)が必要になります。

というのは、eSIM内蔵のスマホを利用するためには、少なくともオンラインによる手続きを理解できる程度のITリテラシーが必要になるからです。

そのため、これまでスマホの契約や設定を携帯電話会社の店舗のスタッフに任せていた方にとって、eSIMの利用は難しいかもしれません。

それでも、eSIMを使ってみたいという方は、事前にeSIMをはじめとするスマホについての知識を調べて、よく理解してから申し込むことをおすすめします。

② 機種変更する際に手間がかかる

eSIMを内蔵したスマホを利用している場合、機種変更する際に手間がかかるというデメリットがあります。

eSIM対応のスマホの場合、機種変更の前にオンライン上で「eSIMの再発行手続き」をする必要があるため、SIMカードを差し替えるだけの従来のスマホの機種変更手続きよりも手間がかかるのです。

ただし、eSIMをよく理解し、ITリテラシーが高ければ、それほど手間がかかる手続きではありません。

③ 契約などの手続きはオンライン上で行う

①のeSIMを使いこなすには、ある程度のITリテラシーが必要というデメリットにも関係しているのですが、eSIMの契約はオンライン上で行う必要があります。

これは、eSIMのメリットとしても挙げたのですが、要はeSIMのオンラインによる手続きを理解していなければ、オンライン上の手続きはデメリットにもなるということです。

例えば、これまで携帯電話会社の店舗でしかスマホの契約や機種変更の手続きをしたことがない方にとっては、eSIMのオンライン上の手続きはハードルが高いため、デメリットになります。

④ eSIMに対応する端末や携帯電話会社が少ない

このようにさまざまなメリットがあるeSIMですが、eSIMに対応する端末や携帯電話会社が少ないというデメリットがあります。

携帯電話会社については、大手3大キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)と楽天モバイルは、導入していますが、格安スマホ会社では一部で導入されているにすぎません。

一方、eSIMに対応する端末についても、決して多くはないのが現状です。

導入されている端末といえば、比較的新しいiPhoneやGoogle Pixelなど一部の機種にすぎません。

世界的に見ると、日本の携帯電話会社はeSIMの導入について、かなり消極的な傾向があります。

というのは、eSIMに対応したスマホは、簡単に乗り換えできることから、他社への乗り換えが増加するというリスクがあるからです。

eSIMを利用する際の注意点

eSIMを利用する際の注意点としては、eSIMが内蔵されたスマホであっても、原則としてSIMロック解除が必要であることが挙げられます。

というのは、購入した携帯電話会社のeSIMしか利用できないという「SIMロック」という制限が掛けられているからです。

例えば、大手キャリアでeSIMに対応したiPhoneを購入して、一定期間利用後、他の携帯電話会社に乗り換える場合、SIMロック解除が必要になります。

SIMロック解除の手続きは、各携帯電話会社で受け付けているため、それぞれの公式サイトで条件等を確認してください。

eSIMの申込みから利用までの流れ

携帯電話会社でeSIMを申し込む場合、オンラインで通信プランの契約が可能なことから、すぐにスマホ端末を利用することができます。

そのため、SIMカードの自宅への郵送が不要になるため、申込み手続きの一部が省略されます。

そこで、ここではeSIMの申込みから利用までの流れについて、解説します。

▼eSIMの申込みから利用までの流れ

1 eSIMの対応製品かを確認

2 SIMロックが解除されているかを確認

SIMロックが解除されていない場合は、契約中の携帯電話会社へSIMロック解除を申し込む必要があります。

3 オンライン上で本人確認(eKYC)を行う

オンライン上の本人確認のことを「eKYC」と言います。

具体的には、スマホで本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)と自分自身の顔を撮影した画像を提出し、入力フォームに必要事項を入力します。

4 公式サイトやアプリでeSIMの開通手続き

オンライン上の本人確認(eKYC)終了後、完了通知が来たら、公式サイトやアプリでeSIMの開通手続きを行います。

5 eSIM対応端末の利用開始

eSIMに対応している大手キャリア及び格安スマホ、対応機種(2022年8月現在)

ここでは、2022年8月現在のeSIMに対応している大手キャリア及び格安スマホ、対応機種について、解説します。

eSIMに対応している大手キャリア・格安スマホ

eSIMについては、国内では楽天モバイルがサービスを開始するまで、大手3大キャリアは対応していませんでした。

しかし、国が主導して携帯料金を下げる機運が高まり、2021年3月に「LINEMO」「povo」が発売されたのを機に、eSIMのサービスが導入され始めました。

その後、2021年7月にはソフトバンク、8月にはau、9月にはNTTドコモ・「ahamo」が相次いで、eSIMに対応しました。

一方、格安スマホは、2021年3月に「Y!mobile」、9月に「UQ mobile」、10月に「LinksMate」がeSIMに対応しましたが、それ以前からeSIMに対応していたのが、「IIJmio(アイアイジェイミオ)」「BIC SIM」です。

その後、2022年8月に「mineo」と、「HISモバイル」もeSIMに対応しました。

しかし、eSIMに対応している格安スマホは、まだまだ少ないのが現状です。

eSIM対応機種

eSIM対応機種をまとめると、次のようになります。 わかりやすくするため、iPhoneとAndroidに分けています。
携帯電話会社により、eSIM対応の端末でもサービスを対応していない端末があることもありますので、ご契約前にその携帯電話会社の動作確認端末(対応端末)をご確認ください。

iPhoneのeSIM対応機種

iPhone 13 Pro Max
iPhone 13 Pro
iPhone 13
iPhone 13 mini
iPhone 12 Pro Max
iPhone 12 Pro
iPhone 12
iPhone 12 mini
iPhone SE(第2世代)
iPhone 11 Pro Max
iPhone 11 Pro
iPhone 11
iPhone XR
iPhone XS Max
iPhone XS

AndroidのeSIM対応機種

Google Pixel 6 Pro
Google Pixel 6
Google Pixel 5a (5G)
Google Pixel 5
Google Pixel 4a 5G
Google Pixel 4a
Google Pixel 4XL
Google Pixel 4

Galaxy Z Flip/Flip3 5G
Galaxy Z Fold/Fold2/Fold3 5G
Galaxy S21/S21+/S21 Ultra 5G
Galaxy S20/S20+/S20 Ultra
Galaxy Note20/Note20 Ultra

Rakuten BIG s
Rakuten Hand
Rakuten BIG
Rakuten Mini

AQUOS zero6
AQUOS sense6
AQUOS sense4 lite

OPPO Find X3 Pro
OPPO Reno5 A
OPPO A73

HUAWEI P40
HUAWEI P40 Pro
HUAWEI Mate 40 Pro

Xperia 10 III Lite

プリペイドSIMのeSIMプラン

プリペイドSIMとは、前払い式、すなわち現金で購入可能な格安SIMのことを言います。

本人確認書類やクレジットカードの登録、解約手続きが不要などのメリットがあるため、海外旅行など短期間の利用に向いています。

さらに家電量販店やコンビニで購入できるほか、ECサイトからも購入可能です。

家電量販店でパッケージ購入すれば、当日から使えるというメリットもあります。

もちろん、メリットだけでなく、デメリットもあり、通話(SMS(ショートメールサービス)を含む)は使えず、データ通信専用になります。

また、月額制の格安SIMより価格が高めに設定されています。

そんなプリペイドSIMには、eSIMを利用したプランがあります。 eSIMはオンラインで購入すれば、すぐに利用できるため、プリペイドSIMとは相性が良いのです。

まとめ

この記事では、「eSIMとは何か?」を、eSIMについて、SIMカードとの違いやメリット・デメリット、注意点、利用までの流れなどを解説することによって、明らかにしました。

大手3大キャリアの低価格プラン(ahamo、povo、LINEMO)の提供開始とともに、eSIMも大手3大キャリアを中心に導入され始めました。

そのため、今後eSIMの導入が本格化する可能性があるため、eSIMについての知識を高めておくことは重要です。

eSIMに興味がある方は、eSIMが採用された機種への変更や乗り換えをする際の参考にしてください。

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