ASUSと主力スマートフォンZenFoneの最新機種をチェック
2022.08.05
今回のテーマは台湾のスマートフォンメーカー「ASUS」とその主力スマホである「ZenFone」です。
ASUSは、格安SIMはもちろん大手キャリアでもラインナップされている、認知度の高いスマートフォンメーカーです。
主力であるZenFone(ゼンフォン)は、エントリークラス、ミドルクラス、ハイエンドクラスまで幅広いバリエーションを展開しており、購入者の予算や必要な性能・機能によって多くの選択肢を提供しています。
本記事を読めば「ASUS」と「ZenFone」のことが丸わかりです。
ASUSってどんな企業?日本ではどんな活動をしている?
© Raimond Spekking少々余談気味ですが、まずはASUSという企業を少し深堀してみましょう
ASUSの正式な社名は『ASUSTeK Computer Inc.』、現地の言葉では『華碩電脳股份有限公司』(かせきでんのうこぶんゆうげんこうし)といいます。
ASUSのことを知るには、まずは社名の正しい読み方からですね。
ASUSは「エイスース」が現在の公式な読み方で、正式な社名の読み方は「エイスーステック・コンピューター・インク」です。
「現在の」というのは、実は、最初に日本に進出してきた当時のASUSは「アスース」が一般的で、自ら日本法人を「アスース・ジャパン株式会社」と登録していることからも「アスース」が正式な読み方としていました。
その後、2010年10月1日に日本法人の登録名を「ASUS JAPAN株式会社」に改め、同時に読み方を「エイスース」に統一して現在に至ります。
ちなみに、ASUSという社名は「Pegasus(ペガサス)」(後ろ4文字を採用)に由来しており、「すべての製品に高い品質と独創性を吹き込むことにより、機知に富むペガサスが象徴する強さ、創造性、純粋さを具体的に実現する」という意味が込められていると公式サイトで公開しています。
ASUSは元々はパソコンのパーツメーカーから始まった
ASUSははじめ、パソコン向けのマザーボードなどパソコンパーツを製造するメーカーでしたが、後にパソコン自体を開発するようになり、共通部品が多いことからスマホ分野にも事業を拡大しました。
ASUSの初期のスマートフォンのCPUには、インテル(Intel)製の「ATOM」が採用されていましたが、これは同社のノートパソコンにも採用されていたため、部品調達面で量的なメリットがあり、同社のスマホの低価格化に貢献したと言われています。
ASUSの心に残るエピソード
ASUSは親日の国、台湾のメーカーですが特に表立って親日を表明したことはありません。
しかし、ASUSは初期の頃のスマートフォンに日本語入力に優れる「ATOK」を採用するなど、日本向けのスマートフォンのローカライズ(現地仕様)に積極的な面を持っていました。
さらに、2011年に発生した東日本大震災から数か月後、同社のパソコンのマザーボードに「GOD BLESS JAPAN」の文字が刻印されているのを日本人ユーザーがたまたま見つけたことがありました。
この件に対しASUSは、「印字は同社の技術者が独断で行ったことで、誰かは特定できていないがたぶん日本の一日も早い復興を祈ってやったのだろう」とし、本件は黙認していると言われています。
「GOD BLESS JAPAN」は日本語に訳すと「日本に神のご加護を」ですが、マザーボードは一般の人が目にすることはほとんどないパソコンの主要部品です。
技術者か修理担当でもない限り目につかない場所にこのような刻印をする台湾の技術者がいて、それを咎めず黙認する企業がある。
安価で高性能、使い勝手のよいスマートフォンであることが人気の最大の理由であることは間違いないにしても、ASUSを語る時にはこうしたことも知って欲しいと思い付記しました。
ASUS主力スマートフォンZenFoneとは
Source video by Be!Tech, Extracted by 17jiangz1, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons前述の通り、ZenFoneは「ZEN=禅」に由来しており、研ぎ済まされたシンプルで洗練された精神性を表すデザイン性といった意匠を盛り込んだ、ASUSの主力スマホです。
エントリークラス、ミドルクラス、アッパークラスなど幅広い機種構成を採っていましたが、最近ではZenFone 8シリーズなどアッパーミドルクラスに重点を置いた戦略のように見えます。
ZenFone現行機種全モデルを比較
【ミドル~アッパーミドルクラス】機種名 | ZenFone 8 | ZenFone 8 FLIP |
ZenFone 7 PRO |
ZenFone 7 |
OS | Android 11 | Android 11 | Android 10 | Android 10 |
CPU | Snapdragon 888 5G オクタコア |
Snapdragon 888 5G オクタコア |
Snapdragon 865 PLUS オクタコア |
Snapdragon 865 オクタコア |
RAM メインメモリ |
8GB 16GB |
8GB | 8GB | 8GB |
ROM ストレージ |
128GB 256GB |
128GB 256GB |
256GB | 128GB |
ディスプレイ 有機EL |
5.9インチ 2400×1080 |
6.67インチ 2400×1080 |
6.67インチ 2400×1080 |
6.67インチ 2400×1080 |
メインカメラ | 2眼 6400万画素 1200万画素 |
3眼フリップ 6400万画素 1200万画素 800万画素 |
3眼フリップ 6400万画素 1200万画素 800万画素 |
3眼フリップ 6400万画素 1200万画素 800万画素 |
バッテリー | 4000mAh | 5000mAh | 5000mAh | 5000mAh |
SIM | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 |
DSDS | ○ | ○ | ○ | ○ |
5G | ○ | ○ | ○ | ○ |
認証 | 指紋・顔 | 指紋・顔 | 指紋・顔 | 指紋・顔 |
価格相場 | 6~8万円※ | 7~9万円※ | 6~8万円 | 6~8万円 |
機種名 | ZenFone MAX Pro M2 |
ZenFone MAX M2 |
ZenFone MAX Pro M1 |
ZenFone MAX M1 |
OS | Android 8.1 | Android 8.1 | Android 8.1 | Android 8.0 |
CPU | Snapdragon 660 オクタコア |
Snapdragon 632 オクタコア |
Snapdragon 636 オクタコア |
Snapdragon 430 オクタコア |
RAM | 6GB 4GB |
4GB | 3GB | 3GB |
ストレージ | 64GB | 64GB 32GB |
32GB | 32GB |
ディスプレイ | 6.3インチ 2280×1080 |
6.3インチ 1520×720 |
6.0インチ 2160×1080 |
5.5インチ 1440×720 |
メインカメラ | 2眼 1200万画素 500万画素 |
2眼 1300万画素 200万画素 |
2眼 1600万画素 500万画素 |
2眼 1300万画素 800万画素 |
バッテリー | 5000mAh | 4000mAh | 5000mAh | 4000mAh |
SIM | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 |
認証 | 指紋 | 指紋 | 指紋 | 指紋 |
価格相場 | 1万円前後 | 1万円以下 | – | – |
ZenFone 8 / ZenFone 8 Flip
ZenFone 8シリーズは、現在のASUSの最新モデルであり、主力機種でもあります。
CPUには現時点で世界最高クラスの最新CPU(Qualcomm Snapdragon 888 5G)を搭載しながら、2眼カメラに5.9インチ有機ELディスプレイを採用し、片手操作が可能なオーソドックスな高級機として開発されました。
また、ZenFone 8 Flipに搭載される「フリップカメラ」はASUSが独自に開発した回転するカメラで、アウト用カメラを回転させてインカメラとして利用するため、世界最強のセルフィーカメラとも言われています。
特にZenFone 8ではメインメモリに16GBモデルの設定がある点に注目です。シリーズ全体として決して格安ではありませんが、格安SIM各社で採用されており人気を博しています。
ZenFone 8シリーズは、MVNO各社で格安スマホとして販売されるだけでなく、ASUSの公式オンラインショップやAmazonなどのネット通販でも購入することが可能で、いずれも「SIMフリー端末」です。
ZenFone 7 / ZenFone 7 Pro
ZenFone 7/7 Proは、8シリーズが登場するまでのZenFoneの最上位モデルでした。
ZenFone 8シリーズは、メインモデルの「8」がフリップカメラを採用せず、あえて小型化され片手操作にこだわったモデルとなったため、フリップカメラを搭載したモデル名に「Flip」が付きますが、ZenFone 7/7Proはいずれも「Flip」の名がありませんがフリップカメラを採用しています。
CPUには現在でも高性能CPUとして数多くのスマートフォンに採用されている「Snapdragon 865」及び「同 865 Plus」が採用されています。
MVNOでは「8シリーズ」にラインナップが移行していますが、Amazonなどでは未だに人気があり、価格もあまり下降していないようです。
ZenFone MAX(M2) / ZenFone MAX Pro(M2)
ZenFoneのエントリークラス~ロアミドルクラスを支える普及モデルとして2019年3月15日に発売され、発売当時は大画面+大容量バッテリーが人気を博し、多くの格安SIMサービスで採用されました。
その後、ASUSは普及クラスのスマートフォン端末を積極的にリリースしなくなってしまったため、これ以降のエントリー~ロアミドルクラスのZenFoneは登場しておらず、ASUSが軸足をアッパーミドルクラスに移行したことがわかります。
ASUSのゲーミングスマホROG Phoneとは
Solomon203, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia CommonsASUSには、ZenFoneの他に「ROG Phone」というゲーム向けスマートフォンのブランドがあります。
ROG Phoneのキャラクターについては公式サイトの記載が最も端的に表しています。
▽以下引用▽
『常にゲーミングスマートフォンの最高峰に立ち続ける。 最強のハードウェアスペック、最新のテクノロジー、そして独自の拡張性。 全てはゲーマーの為に進化したスマートフォン。 ROG Phoneは他の追随を許さない。』
△引用ここまで△
ROG Phoneシリーズ
最高スペックを持つゲーミングスマホとしてデビューしたROG Phoneの現行機種は「5シリーズ」になります。
機種名 | ROG Phone 5S PRO |
ROG Phone 5S |
ROG Phone 5 Ultimate |
ROG Phone 5 |
OS | Android 11 | Android 11 | Android 11 | Android 11 |
CPU | Snapdragon 888 Plus 5G オクタコア |
Snapdragon 888 Plus 5G オクタコア |
Snapdragon 888 5G オクタコア |
Snapdragon 888 5G オクタコア |
メインメモリ | 18GB | 12GB 16GB |
18GB | 12GB 16GB |
ストレージ | 512GB | 256GB 512GB |
512GB | 256GB |
ディスプレイ | 6.78型ワイド | 6.78型ワイド | 6.78型ワイド | 6.78型ワイド |
メインカメラ (3眼) |
6400万画素 1300万画素 500万画素 |
6400万画素 1300万画素 500万画素 |
6400万画素 1300万画素 500万画素 |
6400万画素 1300万画素 500万画素 |
インカメラ | 2400万画素 | 2400万画素 | 2400万画素 | 2400万画素 |
バッテリー | 6000mAh | 6000mAh | 6000mAh | 6000mAh |
SIM | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 | nanoSIM×2 |
5G | ○ | ○ | ○ | ○ |
特にメモリとストレージに注目するとROG Phoneのスペックの高さがよく分かります。
ASUSスマートフォンまとめ
ASUSはパソコン向けマザーボードにおけるトップシェアを誇り、世界のパソコンの3台に1台はASUS製マザーボードを採用していることになります。
また、国際宇宙ステーション(MIR)に持ち込まれたASUSのノートパソコンが600日の任期中に不具合の発生がなかった、あるいは、北極・南極の極寒の中でも正常に動作したなどASUSのPCの話題にも事欠きません。
➡ https://www.asus.com/jp/About_ASUS/about_asus_history_MB/
➡ https://www.asus.com/jp/About_ASUS/about_asus_history_note/
そんなASUSが作り出すスマートフォンは価格以上の性能・機能に加え、日本の「禅」の意匠を取り入れたそのデザイン性も注目です。
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