格安SIMでGPSを使う時の注意点~通信料やバッテリーへの影響は?

2022.08.01

今回のテーマはGPS機能です。
スマホを使用する際に特に意識せずに使っている「GPS」。
マップや各アプリの位置情報は気づきやすいですし、撮影した写真にもGPSを利用した撮影場所が記録されています。

普段から何気なく使っている「GPS」ですが、あまり知られていないことがあるのも事実。
(1)GPSを使うと通信量が大幅に増えて月間容量がなくなってしまうかも
(2)GPSを使うとどこからか「使用料」を請求されるかも
(3)GPSを使うとバッテリーが急に減る感じなんだけど実際はどうなの?
(4)GPSを使うとスマホの中の個人情報が抜き取られるんじゃない?
今回はそんなGPSの疑問について分かりやすく解説します。

そもそもGPSってなんだろう?

そもそもGPSがどんなもので、誰が提供しているのかなど、その辺りの基本的な部分を理解しておきましょう。

「GPS」とは≪Global Positioning System≫の略で、日本語では「全地球測位システム」です。

物の位置を把握する際に、複数の地点から見ると正確に場所がわかりますよね?人間や動物の目や耳も左右一対になっているので物の位置・距離や音のする方向がわかります。

GPSも同じで、打ち上げられたGPS衛星からの電波を受信することで、総体的な位置関係が把握(三次元測位)できる仕組みです。

本来はアメリカが軍事目的で30個のGPS衛星を打ち上げたのが最初ですが、航空機事故をきっかけに時の米大統領レーガンによって民生利用に開放され現在に至ります。

世界にはいくつもの衛星測位システムがある

衛星を使って地上の物や場所を測位する方法はさまざまあり、アメリカ、ロシア、中国、EU(欧州連合)、そして日本も独自の衛星測位システムを運用しています。

中でも最も有名なのがアメリカが運用するGPSです。ちなみに各国のシステム名は以下の通りです。

GPS(アメリカ)測位誤差 約10m
GLONASS(ロシア)測位誤差 約50~70m
Galileo(EU)…測位誤差 約1m
BeiDou(中国)…測位誤差 約10m
NAVIC(インド)…測位誤差 約10~20m
みちびき(日本)※…相違誤差 数cm
※みちびき~準天頂衛星システム(QZSS)…1~4号機

(注)本記事でいう「GPS」とは、必ずしもアメリカが運用する衛星測位システムを指すものではなく、代表的な名称として衛星測位システム全体を指す用語として使用しています。

GPSにはアシスタントが存在する

本来の衛星測位システム「GPS」の精度をさらに上げるための「補助」を受けたGPSを、「A-GPS」といいます。

「A」は≪Assisted=補助された≫のAで、GPSを使用した際の最初の位置情報取得までの時間を短縮する役割を担っています。

簡単に言うと、宇宙から飛んでくる電波の広範囲のデータから現在地を割り出すには時間がかかるため、最寄りのデータ通信基地局から位置情報を受け取って測位を補助することで、素早く現在位置を測位することができる仕組みです。

A-GPSは、大手キャリアが提供するものと、Apple/Googleが提供するものがあります。

GPSに関する疑問を解消

ざっとGPS(衛星測位システム)の概要が理解できたところで、スマホによるGPS利用に関する疑問や不安を解消しておきましょう。

GPSはMVNOでも使える?

はい、原則的には問題なく使えます。

モバイルデータ通信は、大手キャリアとMVNOでは、通信品質や通信速度に差がありますが、GPSについては大手キャリアとMVNOで原則的には精度の違いはありません。

ただし、大手キャリアで販売された端末は、キャリアがデータ通信を使って提供する位置情報(前出「A-GPS」)も補助的に利用します。

MVNOは、独自の位置情報を提供していないので、大手キャリアのA-GPSを受け取ろうとする大手キャリア端末では、測位に時間がかかったり、正確に測位できない場合があります。

SIMフリースマホであれば、iPhoneはAppleの、AndroidスマホはGoogleのA-GPSを取得するので、大手キャリアのA-GPSがない場合でも測位の時間がかかることはありません(ここでいうSIMフリーにはキャリア版をSIMロック解除した端末は含みません)。

GPSはiPhone、Androidスマホ、格安スマホでも使える?

はい、端末メーカーや機種による違いはほとんどありません。

iPhoneでもAndroidでも、MVNOなどが販売する格安スマホ(これもAndroidスマホ)でも問題なくGPS機能を利用することができます。

ただし、地図アプリなどはメモリ(記憶領域)を多く消費するので、エントリークラスの格安スマホなどでは、メモリ不足で動作が緩慢になるなどの影響が出る場合があります。

GPSを使うと通信量が大幅に増加?容量不足になる?

データ通信量は増加しません。

よって、一部の例外を除き通信料金もGPS利用によって増えることはありません。

GPSは、GPSからの電波を直接受信していて、通常のデータ通信は使用していないため、通信料金には影響を与えません。

ただし、大手キャリアで販売されたAndroid端末は、キャリアがデータ通信を使って提供している位置情報も利用するため、GPS利用でデータ量が増える場合があります。

MVNOは、独自の位置情報を提供していないので、GPS利用でデータ通信が増えることはありませんが、大手キャリアの位置情報を受信する仕様のスマホを使うと、測位に時間がかかったり、正確に測位できない場合があります。

GPSを使うと利用料金を請求される?

いいえ請求されません。

GPSは、元々が米国の軍事目的から開発され、それが民間にも開放されていますが米国は利用に対する対価を得ていません。

したがって、スマートフォンの各種機能にGPSを利用した場合でもどこかに利用料を支払う必要はなく、もちろんスマホ利用者もGPS利用に関するコストは一切かかりません。

GPSを使うとバッテリーを消耗する?

はい、これは事実です。

GPSは受信した電波を解析して位置を特定しますので常にバッテリーに蓄えた電気を消耗し続けるため、GPSを使わない場合と比べると消耗が激しい傾向があります。

さらに移動しながら地図アプリを使用する場合には、移動するごとに位置情報を更新しなければならないため、電池消耗はより大きくなります。

スマートフォンの地図アプリ(Google MapやApple Map、Yahooカーナビなど)を使用する際には、バッテリーの消耗に充分注意し、モバイルバッテリーなど補充充電方法を確保しておくことをおすすめします。

ただし、アプリを使用しながら充電を行うのはスマホにとってあまり芳しくないため、充電を行う際にはアプリ使用は中断することをおすすめします。

GPSを使うとスマホの中の個人情報が漏れない?

はい、一部で漏洩の可能性が皆無ではありません。

自分がいる場所、行ったことのある場所も個人情報の一つですので、状況によっては他者に自分の位置情報を把握される可能性はあります。

また、位置情報付きでのSNS投稿や、位置情報が記録された写真の取り扱いにも注意が必要です。

さらに、スマホがハッキングされた場合にも位置情報などから個人情報が漏洩する可能性があります。

つまり、GPSそのものから情報が漏洩することはなくても、GPSの情報の利用方法によっては漏洩の可能性も否定できないので要注意ということになります。

多くのアプリで利用されている位置情報は設定をチェック

位置情報の利用は、地図アプリばかりでなく非常に多くのアプリで利用されています。

このアプリによる位置情報の利用設定によって、バッテリーの消耗をある程度抑えることが可能です。

こちらはiPhoneの設定内の「位置情報」に関する設定画面です。

画面トップに、端末全体として位置情報を使用する・使用しないの設定があり、下方ではアプリごとの位置情報の利用方法を設定することができます。

画像でも分かるように、多くのアプリが「使用中のみ」に設定されています。

アプリの位置情報利用を常時許可していると、そのアプリを使用していなくても常にバックグランドで動作し続けるのでバッテリーの消耗が激しくなります。

こちらは、某スマホ決済アプリの位置情報の利用設定です。

スマホ決済に位置情報なんて関係ないと思うかもしれませんが、例えば「この近くで使えるお店」を表示させようと思えば、位置情報なしでは現在地が特定できないため「近くの店」がどこなのかが分かりません。

とは言え、必ずしも「使用中のみ許可」がおすすめというわけではなく、例えばヘルスアプリのように歩数などを計測・記録しているアプリなどでは「常時」にしておかないと、アプリを閉じている間は計測してくれず正しいデータとなりません。

アプリの特性や使途によって、「使用中のみ許可」または「常時許可」を選んで設定するようにしてください。

時々「プライバシー」を開いて、位置情報の利用設定をチェックしてみることをおすすめします。

MVNOでGPSを使う際の注意点 まとめ

GPSは、スマホで無料で誰でも特に意識することなく利用できることがわかりました。

そして、スマホアプリの多くは位置情報を利用して、ユーザーにとってより有益な情報を提供しようとしますが、便利な反面、バッテリーの消耗に関しては避けられないデメリットでもあります。

スマホでGPSを使用する際には、補充充電の方法を確保した上で、個人情報の漏洩に配慮した使用をこころがけてください。

サムネイル画像出展:Photo by Maxim Hopman on Unsplash

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