なぜ「指紋認証」が再評価されているのか~指紋認証のメリットを解説
2022.05.26
今回のテーマは「指紋認証」です。
『なぜ今また「指紋認証」なの?』
『顔認証より旧式の指紋認証は必要ないんじゃない?』
と思われるかもしれませんが、実は、Appleは次期iPhoneで指紋認証を復活させるという情報もありますし、メーカー各社が指紋認証付きのニューモデルを発表するなど、指紋認証が再評価されています。
その理由は「コロナ」と「技術革新」です。
感染・蔓延防止のためにマスク着用が義務付けられている状況下では、認証のたびにマスクをはずす必要がある「顔認証」はあまり便利とは言えず、再び指紋認証に注目が集まっているというわけです。
また、新技術によって、物理的なセンサーを使わずディスプレイ内で指紋認証が可能となり、全画面モデルでも指紋認証を採用しやすくなったことも大きな要因といえます。
今回は、指紋認証の良さやメリットを再検証してみたいと思います。
生体認証の違いに着目~顔認証と指紋認証を比べてみる
現在のスマホの認証の主流は「顔認証」です。
登場した順番から、どうしても顔認証が優れていて、指紋認証は1世代前の認証システムのように感じてしまいますが、実は、機能的にはいずれにもメリット・デメリットがあり、どちらかが優れていると明確には言い切れないのです。
生体認証 | |
高レベルのセキュリティを構築しやすいユーザーの利便性を向上させられる | |
顔認証 | 指紋認証 |
【メリット】 認証システムとして使いやすい 非接触のため衛生的装置がシンプル 顔から年齢や性別などの情報もわかる 就寝時にも盗まれにくい |
【メリット】 認証システムとして正確 マスクをしていても認証可能 導入コストが割安 画面埋め込みが可能になった スマホを置いたままで認証できる |
【デメリット】 マスクをしていると認証しにくい カメラを見ないと認証されない 認証に不確定要素が多い 双子を認識できなかった事例あり |
【デメリット】 手袋や指の怪我等で認証できない 接触型なので衛生面で不安 指紋以外の情報を読み取れない 就寝時に盗まれる可能性 |
生体認証を導入するメリットは、言うまでもなく、パスワードやカードなどによるセキュリティよりも利用者側の取扱いが簡単で、パスワードやカードなどの失念・紛失などによる認証不能に陥りにくいことも大きなメリットです。 また、パスワードやカード等の記憶や保管などの必要がないことは、利用者の利便性の向上に繋がります。
顔認証のメリット・デメリット
顔認証は、カメラの前に立つだけで認証でき、直接、認証機器に触れる必要がないため、利用者の心理的な負担を軽減し、気軽に利用できる特徴があります。 また、顔を撮影するカメラとデータベースさえあれば認証が可能で、複雑な機器が不要でシンプルなシステムで認証が可能です。
さらに、カメラで撮影した顔画像から、性別や年齢層などの情報も読み取ることができ、また目を開けていないと認証しない設定にすれば、眠っている際の本人の意思によらない認証が行われにくい点もメリットです。
反面、コロナ下で明らかとなったマスクとの相性の悪さは想像以上に使い勝手を悪化させましたし、マスク以外にも、眼鏡や化粧、変装などで認証できないケースがあるなど、不確定要素が多い点もデメリットといえます。
一部には、双子の顔を識別できなかった等の報告もあり、認証システムとしては強固さに欠ける部分があるように感じます。
指紋認証のメリット・デメリット
一方の指紋認証は、顔認証のような不確定要素がなく、指紋がデータベースと「一致か不一致か」の結果しかでないことは、セキュリティとして強固だといえます。
コロナ禍のマスク着用でも認証に影響がないことで、スマホ決済利用時には顔認証よりも圧倒的に利便性が高いことがわかりました。
システム的にも安価に構築できることや、最近ではスマホのディスプレイ内に埋め込む事が可能になり、物理的なセンサーを必要としないため全画面スマホでも導入が可能となりました。
さらに、スマホをデスクなどに置いたままの状態で認証できるのも使い勝手の良さにつながります。
一方、登録した指先全てを怪我してしまったり、薬品で指紋が消えてしまった場合など、まったく認証できなくなる恐れもあります。寒い時期や指紋が薄い場合にも認証精度が影響を受けるケースなどのデメリットがあります。
また、指紋との「一致・不一致」の結果しか出ないことでセキュリティ面では強固な反面、指紋以外の情報が読み取れません(指紋自体では性別や年齢がわかるそうですが、指紋認証ではそこまでの認証をしていないという意味です)。
また、眠っていたり、酔って前後不覚に陥っている間などに、指紋をスマホに当てられて解除されてしまう危険性もないとは言えません。
適材適所~顔認証と指紋認証併用スマホが増えている
上記の通り、顔認証・指紋認証ともにメリット、デメリットがあり、いずれが優れている、どちらかが搭載されていれば認証は完璧というわけにはいかない状況です。
スーパーやコンビニなどで、スマホ決済を利用する際には明らかに指紋認証が便利ですが、マスクを着用していない時には、画面を見るだけで認証される顔認証の方が簡単で早い認証が可能です。
そのため昨今では、顔認証と指紋認証のいずれも利用できるスマホが増えてきています。
指紋認証可能でおサイフケータイが利用可能なおすすめ格安スマホ
以下で、指紋認証が可能な格安スマホをご紹介しますが、日本国内で利用することを勘案した場合、スマホのロック解除以外で認証機会が多いのは「スマホ決済」だと考えられるため、指紋認証に加えて、FeliCa対応の格安スマホをご紹介します。
紹介するスマホはこちら。
機種 | AQUOS wish | Reno3 A | Redmi Note 10T | iPhone SE2 |
メーカー | SHARP | OPPO | Xiaomi | Apple |
価格帯 | 2万円台 | 2万円台 | 3万円台 | 3万円台 |
画面 | 5.7inch | 6.4inch | 6.5inch | 4.7inch |
サイズ | 71×148×8.9mm | 74.1×160.9×8.2mm | 76×163×9.0mm | 138.4×67.3×7.3mm |
重量 | 162g | 175g | 198g | 148g |
SoC | Snapdragon480 5G | Snapdragon 665 | Snapdragon480 5G | A13 Bionic |
メモリ容量 | 4GB | 6GB | 4GB | 4GB |
ストレージ | 64GB | 128GB | 64GB | 64/128/256GB |
OS | Android11 | Android 10 | Android11 | iOS |
SIM | nanoSIM+eSIM(DSDV) | nanoSIM×2(DSDV) | nanoSIM+eSIM(DSDV) | nanoSIM |
通信 | 4G/5G | 4G | 4G/5G | 4G |
Felica | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
認証 | 指紋 | 指紋 | 顔/指紋 | 指紋 |
バッテリー容量 | 3,730mAh | 4,025mAH | 5,000mAh | – |
充電コネクタ | USB-C | USB-C | USB-C | Lightning |
HISモバイル | 利用可 | 利用可 | 利用可 | 利用可 |
各社から多種多様なスマホが発売されている中、「指紋認証」+「FeliCa(おサイフケータイ)」搭載のモデルから、2~3万円台の価格帯の4機種を選びました。
SHARP AQUOS wish SH-M20
通信キャリア各社でラインナップされているAQUOSのエントリークラスを担うモデルで、2022年2月に発売になったばかりのニューモデルです。
6インチクラスの製品が多い中、あえて5.7インチ液晶パネルを採用し、コンパクトにまとめた筐体は手に馴染み、指が届きやすく片手操作のしやすさがメリットとなっています。
「指紋認証」「FeliCa」はもちろん、しっかり基本を押さえた作りや、防水防塵、nanoSIM+eSIMのデュアルSIM仕様(DSDV)など日本国内での使用にマッチした初心者にも使いやすいモデルとなっています。
2万円台で購入できるエントリークラスでの注目モデルです。
OPPO Reno3 A
TVCMなどで日本でも広く認知されつつあるOPPOのエントリーモデルで、「指紋認証」「FeliCa」「デュアルSIM」「IP68クラスの防水防塵」など日本市場を意識した内容となっています。
2万円台で購入できるため、初心者におすすめのお手頃モデルですが、SoCは「Snapdragon665」を採用しており、現在の最新モデルと比べると若干見劣りする場合があります。
その場合には、Snapdragon765Gを採用した、後継モデル「Reno5 A」が価格差1万円ほどですので、視野に入れて検討するとよいでしょう。
Xiaomi Redmi Note 10T
Xiaomiは中国のスマホメーカーで、比較的安価でコスパの高いモデルをラインナップしています。
「Redmi Note 10T」は、「指紋認証」「FeliCa」搭載であることはもちろん、IP68クラスの防水防塵機能を持つなど、日本市場を強く意識した構成となっています。
5G対応スマホですが、エントリーユーザー~ミドルユーザーまで、幅広いユーザーが手にしやすい3万円台中盤の価格設定となっています。
ドコモのプラチナバンドB19帯域に対応していることも高評価ポイントで、ドコモ系格安SIMを使用するなら有力な選択肢となります。
SIMカードは、nanoサイズの物理SIMと、eSIMのデュアルSIM仕様で、DSDVでの利用が可能です。
Apple iPhone SE(第2世代)
最新のiPhone SEは、iPhone 13をベースにした第3世代へと進化していますが、iPhone 11ベースの第2世代も基本性能の高さでは、現時点でも充分現役として利用可能です。
Androidスマホではないので、他機種と単純には比較できませんが、エントリーモデルの価格帯でiPhoneを購入したいということであれば、第2世代がおすすめです。 もちろん、指紋認証対応でFeliCa搭載です。
価格は他モデルと競合できる3万円台後半ですが、Apple製品特有の高級感や精密感などは、同価格のAndoroidスマホにはないiPhoneの特徴です。
将来、最新モデルへ乗り換える場合でも、UI(ユーザーインターフェイス)が統一されているため、操作やメニューの場所などで迷うことなくすぐに取り扱えるので、iPhoneを始めるモデルとしてもおすすめです。
指紋認証と格安スマホまとめ
今回は、指紋認証について見てきました。
一世代前の認証方式と思われがちな指紋認証ですが、状況によっては顔認証と比べても使い勝手がよかったり、認証自体が正確であるなどメリットは少なくありません。 一方で、顔認証は顔認証の良さがあり、いずれかが優れている、どちらかが搭載されていれば良いというものではなく、使い勝手のよい状況や場面で使い分けられることが重要です。
また、指紋認証はシステム的に安価に搭載することができるため、価格を抑えたい格安スマホとの相性がよく、エントリー~ミドルクラスのスマホの中には、指紋認証のみ採用するモデルも少なくありません。
海外では、すでにマスクをしている人がほとんどいないという状況になりつつあるようですが、元々コロナ前からマスクを常用してきた日本では、この先も、多くの人がマスクを着用した日常を送ることと思われ、指紋認証スマホは一定の人気を博すのではないでしょうか。
その都度、マスクを外しての顔認証に面倒くささを感じている方は、指紋認証搭載のスマホを検討してみてはいかがでしょう。
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