MVNOってどういう仕組み? – 料金が安い理由とメリット・メリット、おすすめできる人を紹介!

2022.08.01

スマホの契約先について、「MVNO」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。なかには、「MVNOは月額料金が安い」といった情報に触れた人もいるかも知れません。

しかし、MVNOとは一体何なのでしょうか。また、スマホの月額利用料金が安くなるとしたら、それはなぜでしょうか。

本記事ではMVNOとは何か、その仕組みを解説しつつ、MVNOの月額料金が安い理由、MVNOへ乗り換えるメリットやデメリット、MVNOの選び方などを紹介します。

本記事を読めばMVNOがどのようなものかを理解し、自分に合っているのかどうか判断できるようになるでしょう。

※掲載している情報は2022年2月28日時点の情報です。

MVNOとは

そもそも「MVNO」とは一体何なのでしょうか。まずはMVNOの概要について、押さえていくことにしましょう。

「格安SIM」とも呼ばれる通信事業者

「MVNO」は「Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)」の略称です。簡単に言うと、自社の回線を持たず、他社の回線を借りることで通信サービスを提供している事業者のことです。

通常、4大キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)と区別され、「格安SIM」と呼ばれています。

代表的な国内のMVNOは、以下のとおりです。

・HISモバイル
・Y!mobile
・UQモバイル
・IIJmio
・BIGLOBEモバイル
・mineo
・OCN モバイル ONEなど

MNOとの違い

MVNOが自社回線を持たずに通信サービスを提供しているのに対し、自社回線で通信サービスを提供している事業者がMNOです。MNOは、「Mobile Network Operator(移動体通信事業者)」の略称です。

実はMNOというのは、いわゆる4大キャリアのことです。

・NTTドコモ
・au
・ソフトバンク
・楽天モバイル

これらのMNOは、MVNO各社と異なり、自社回線を持っています。そしてMNOは、MVNOに自社回線を貸しているのです。

MVNOの月額料金が安い理由

「MVNOは4大キャリアよりも月額料金が安い」と聞いたことがあるかもしれません。結論を言うと、実際に4大キャリアよりも安く使えます。

その理由は以下の2つです。

・自社回線を持っていないから
・ネット中心で運営しているから

1つずつ見ていきましょう。

自社回線を持っていないから

既述のとおり、MVNOは自社回線を持っておらず、回線をMNOから借りています。そのため、MNOほどのコストがかかっていません。

もちろん、MNOから回線を借りるためのコストはかかっていますが、自社で回線を持つことに比べれば少ないコストです。

自社で回線を持つとなると、多額の投資をして日本中に通信エリアを拡大させなくてはなりません。また、定期的なメンテナンスの必要も生じます。

MVNOは自社回線を持たないことでこれらのコストが削減できており、月額料金を安く設定しても採算がとれるようになっているのです。

ネット中心で運営しているから

MVNOは自社回線を持たないだけでなく、ネット中心の運営をすることでもコストを抑えています。

MNOは全国に多数の店舗を展開しており、スタッフの人件費や店舗の賃料、電気代といったコストが発生しています。

それに対してMVNOのほとんどは、店舗の数が少ないか、あるいは店舗がまったくありません。契約や申し込み、スマホの購入などはインターネットでできるようになっています。

ネット中心の運営でコストを削りつつ、公式サイトの利便性を高めることなどに注力しています。

ここまでの内容をまとめると、MVNOとMNOの違いは大まかに以下のとおりになります。

事業者の種類 MVNO MNO
事業者 HISモバイル
Y!mobile
UQモバイル
IIJmio
BIGLOBEモバイル
mineo
OCN モバイル ONEなど
NTTドコモ
au
ソフトバンク
楽天モバイル
回線 MNOから借用 自社回線
窓口 ネット中心 店舗・ネット
月額料金 MNOに比べて安い MVNOに比べて高い


MVNOに乗り換えるメリット

ここまでで、MVNOに興味を持った人や、実際にMVNOへの乗り換えを考え始めている人がいるかも知れません。それではMVNOにはどんなメリットがあるのか見ていくことにしましょう。

MVNOに乗り換える代表的なメリットは以下の4つです。

・月額料金が安くなる
・利用容量に応じたプランが豊富
・安いスマホを取り扱っている
・データ通信のみの契約ができる

1つずつ見ていくことにします。

月額料金が安くなる

最大のメリットは月額料金の安さです。実際にMVNOとMNOの月額料金を比べてみましょう。

通信事業者の種類 MVNO MNO
事業者 HISモバイル NTTドコモ au ソフトバンク
最低月額料金※1 ※2 590円
(1GB)
1,815円
(1GB)
2.178円
(1GB)
2,178円
(3GB)
月額利用料金(20GB) 2,178円(格安弐拾プラン) 2,970円(ahamo)
7,315円(5Gギガホプレミア:無制限)
2,700円(povo)
※37,238円(使い放題MAX:上限30GB)
2,728円(LINEMO)
7,238円(メリハリ無制限:無制限)

※1 MNOが提供している低料金の別ブランド(ahamo、povo、LINEMO)の料金プランは除く。また、スマートフォン以外の料金プランも除く。HISモバイルが提供しているデータ専用プランも除く。

※2 従量課金制プランで利用量が最も少なかった場合の料金を含む。各種割引は含まない。

※3 データ追加20GBのトッピングで計算。

最低月額料金も20GBを利用する場合の月額料金も、MVNOであるHISモバイルが最も安いことがわかります。

利用容量に応じたプランが豊富

MNOの多くは、以下のような3パターンのプランを提供しています。

・格安プラン(ahamo、povo、LINEMO)
・利用量無制限(使い放題)プラン
・従量課金制プラン(1〜7GB、0〜3Gなど)
・初心者向けプラン

それに対して、MVNOは利用容量に細かく応じたプランを提供していることが多いです。HISモバイルの提供プランを見てみましょう。データ通信専用プランは除き、音声通話ができるプランのみを紹介します。

プラン名 回線 容量 月額料金
格安ステップ NTTドコモ 1〜10GB 590円〜1,790円
格安弐拾プラン NTTドコモ 20GB 2,178円
格安かけ放題プラン NTTドコモ 3〜30GB 2,728円〜 ※4
ビタッ!プラン ソフトバンク 100MB〜30GB 1,078円〜6,567円

※4 従量課金制

プランの種類自体が多いですが、各プランの月額料金は、利用できる容量によってさらに細分化されています。

MNOの場合、20GB以上使う場合には無制限プランを契約しなければならないケースが多いですが、そうすると利用料金が割高になってしまいます。

実際に使うデータ量に合わせて細かく料金設定されている点も、MVNOのメリットと言えるでしょう。

HISモバイルの詳しい料金体系はこちらをご覧ください。

安いスマホを取り扱っている

MVNOも、MNOと同じようにスマホの販売をおこなっている事業者が多いです。ただしMVNOには、安いスマホを取り扱っているところが多いという特徴があります。

MNOの場合、取り扱っているスマホは最新機種が中心です。そのため、「古い機種でもいいから安く購入する」という選択は難しいでしょう。

一方MVNOのなかには、古い機種や中古スマホを扱っている事業者が多いです。月額利用料金だけでなく、機種の料金も節約したい人におすすめです。

HISモバイルで販売している機種について、詳しくはこちらをご覧ください。

データ通信のみの契約ができる

MVNOには、データ通信のみの契約ができるというメリットもあります。MVNOで提供されているプランは、以下の3種類です。

・音声通話付きSIMプラン:データ通信・SMS・通話が利用可能なプラン ・データ通信専用SIMプラン:データ通信のみ利用可能な低額プラン ・データ通信専用SIMプラン(SMS付き):データ通信・SMSのみ利用可能な低額プラン それに対してMNOの場合、基本的に提供されているプランは音声通話付きのプランのみです。

例えば以下のような場合、MVNOでデータ通信専用プランを選んだほうが、月額料金を安く抑えることができます。

・通話はほとんど使わないので電話番号は不要(通話が必要なときにはIP電話やSNSの音声通話を利用) ・すでにメインで使うスマホを持っており、サブでデータ通信のみに利用するため電話番号は不要 HISモバイルの詳しい料金体系はこちらをご覧ください。

MVNOに乗り換えるデメリット

MVNOに乗り換えることには、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットだけに注目して乗り換え、後悔しないために、デメリットも押さえておきましょう。

次の見出しでは、デメリットを抑えて使う方法も紹介します。

・通信速度が遅くなることがある ・キャリアメールのサービスがない ・実店舗が少ないか、そもそも存在しない ・LINEのID検索ができない

通信速度が遅くなることがある

MVNOは、MNOに比べて通信速度が遅くなることが多いです。それはMVNOが自社回線を持っておらず、MNOから借用していることが原因です。

MVNOはMNOの回線の一部だけを借りているので、より回線が混雑し、通信速度が落ちやすいという特徴があります。

キャリアメールのサービスがない

楽天モバイル以外のMNOでは、メールアドレスが支給されています。

MNO メールアドレス
NTTドコモ 〜〜@docomo.ne.jp
au 〜〜@ezweb.ne.jp、〜〜@au.com
ソフトバンク 〜〜@i.softbank.jp、〜〜@softbank.ne.jp

しかし、MVNOでメールアドレスを支給している事業者はほとんどありません。スマホ用にメールアドレスが欲しいと考えている人にとってはデメリットと言えるでしょう。

実店舗が少ないか、そもそも存在しない

既述のとおりMVNOは、ネット中心の運営をすることでコストを抑え、月額料金を安く設定しています。

そのため実店舗をほとんど持たないか、全く持たない事業者が多いです。

実店舗で直接スタッフと話して申し込みたい人、ネットの利用に不慣れで不安を感じやすい人などにとってはデメリットと言えるでしょう。

LINEのID検索ができない

LINEにはID検索という機能がありますが、これを利用するには事前に「年齢確認」しておく必要があります。

MNOは年齢確認に対応していますが、MVNOのほとんどは年齢確認に対応していません。

そのため、LINEでID検索を使いたい人にとってはデメリットになってしまいます。なお、すでにMNOで年齢確認を済ませている場合には乗り換えてもID検索が利用可能です。

MVNOのデメリットを抑えて使う方法

ここからは、MVNOのデメリットを抑え、快適に使うための方法を紹介します。

・混雑時間帯を避けて使う
・Wi-Fiを使う
・通話オプションを利用する
・フリーメールサービスや持ち運びサービスを使う
・ID検索以外の方法でLINEの友達を追加する

1つずつ見ていきましょう。

混雑時間帯を避けて使う

MVNOはMNOに比べて通信速度が遅くなりがちですが、そのほとんどは混雑が原因です。そのため、混雑する時間帯をなるべく避けて使うのが良いでしょう。平日に、特に回線が混雑しやすい時間帯は以下のとおりです。

・お昼休みの時間(12時〜13時)
・終業後の時間(18時〜22時)

例えば動画の視聴であれば、混雑時間帯以外の時間にダウンロードしておき、視聴したいときにオフラインで見るといった工夫も可能です。

Wi-Fiを使う

MVNOは通信速度が遅くなることがあるため、ネットはWi-Fiを中心にするというのもおすすめです。

自宅や職場にWi-Fiがある場合、なるべくWi-Fiに接続して使いましょう。自宅などにWi-Fiがなくても、回線が混雑したときだけ近くの公共Wi-Fi(コンビニなど)に接続するというのも良い方法です。

自宅でスマホだけでなく、タブレットやPCも使う場合、自宅にWi-Fiを導入することも検討してみてください。

フリーメールサービスや持ち運びサービスを使う

ほとんどのMVNOではメールアドレスを支給していませんが、「持ち運びサービス」を利用すれば、乗り換え前のMNOのメールアドレスをそのまま利用できます。ただし、持ち運びサービスは有料です。

キャリア サービス名 料金
NTTドコモ ドコモメール持ち運び 330円/月
au auメール持ち運び 330円/月
ソフトバンク メールアドレス持ち運び 3,300円/年 ※5

※5 2022年夏頃、330円/月で利用できるサービスが提供開始予定。

メールアドレスが変わっても大丈夫という場合は、フリーメールサービスの利用もおすすめです。

Gmail
Outlookメール
Yahoo!メール

フリーメールアドレスはMNO・MVNOに無関係に無料で使えるため、今後また乗り換えることがあったとしても、使い続けられます。

ID検索以外の方法でLINEの友達を追加する

LINEで友達を追加する方法は、ID検索以外にも複数あります。

・QRコードを使う
・自動追加の機能を使う
・トークの連絡先から追加する

最もよく使われているのは、QRコードによる追加でしょう。ID検索以外の方法を使えば、MVNOであっても不便はありません。

MVNOへの乗り換えがおすすめできる人

ここまで見てきたメリットとデメリットを踏まえると、MVNOへの乗り換えがおすすめできるのは下記のような人です。

・通信速度よりも月額料金の安さを重視する人
・ネットを使い慣れている人
・キャリア独自のサービスが使えなくても不便にならない人

1つずつ詳しく見ていきましょう。

通信速度よりも月額料金の安さを重視する人

通信速度よりも月額料金の安さを重視する人には、MVNOへの乗り換えがおすすめです。MVNOはMNOに比べて通信速度が遅くなりやすいですが、以下のような使い方であれば、そこまで不便ではありません。

・テキスト中心でネットを閲覧する
・メールやSNSでのやり取り

高画質での動画視聴やオンラインゲームをよくする人でなければ、大きなストレスを感じる場面は少ないでしょう。

速度をそこまで重視せず、月額料金が安いほうが良いという人には、MVNOをおすすめします。

ネットを使い慣れている人

MVNOはネット中心の運営となっているため、ネットに不慣れな人は不便と感じるかも知れません。

しかし、ネットを使い慣れている人であれば、特に不便を感じることはないでしょう。ネットを使い慣れている人にも、MVNOはおすすめできます。

キャリア独自のサービスが使えなくても不便にならない人

既述のとおり、MVNOのほとんどは、メールアドレスの支給をしていません。また、キャリアメール以外にも、MNOは独自サービスを提供しています。

例えばキャリア決済を利用している人は、乗り換え後に不便を感じるかも知れません。しかし逆に、普段からキャリア独自のサービスをあまり利用していない人は、ほとんど不便を感じないでしょう。

そのような人にもMVNOへの乗り換えはおすすめです。

MVNOの選び方

ここまでで、MVNOに魅力を感じた人がいるかも知れません。しかし、MVNOと一言でいっても、実際には非常に多くの事業者があります。

そこでここからは、自分に合ったMVNOを見つけるためのポイントを紹介します。

・自分が求める条件を整理する
・料金・プランで選ぶ
・通信速度で選ぶ
・回線の種類で選ぶ
・MVNOの独自性で選ぶ
・動作確認済みの機種は要チェック

自分が求める条件を整理する

まず大事なのは、自分が求める条件の整理です。MVNOは、それぞれが自社独自の魅力を公式サイトなどでアピールしています。どのMVNOも魅力的に見え、迷ってしまうかも知れません。

しかし大切なのは、そのMVNOが自分の求めていることを満たしてくれるかどうかです。あらかじめ自分が求める条件を整理し、優先順位を付けておけば、いたずらに迷わなくて済むでしょう。

料金・プランで選ぶ

月額料金が安いという理由でMVNOに魅力を感じている人は多いでしょう。であればもちろん、料金・プランについて十分に調べ、自分にとって最もお得なものを選択するのが良いでしょう。

料金・プランは、利用できるデータ容量によって変わります。そのため、自分が普段利用しているデータ量を把握しておくことも大切です。

自分が現実的に使うデータ量で、MVNOごとの料金を比較してみましょう。

通信速度で選ぶ

MVNOであっても、通信速度についてなるべく妥協したくない人もいるでしょう。ただし、MVNOの通信速度は、利用する場所や時間帯によって順位が変動しやすいです。

どのMVNOも、MNOから回線を借用しているため、速度が速いときもあれば遅いときもあるというのが一般的です。

もし速度が気になるのであれば、気になるMVNOについて、事前に実際の口コミや実測値のデータなどを確認してみてください。

回線の種類で選ぶ

回線の種類も大切なポイントです。MNOの回線は基本的に日本全国どこでも利用できます。しかしエリアによって、速度が速く快適に使える回線が異なる可能性もあります。

気になる人は、自分がスマホを利用するエリアの回線ごとの実測値を調べてみるのも良いでしょう。

また、利用するスマホによっては、SIMロックされている場合があります。この場合、SIMロックを解除しない限り、スマホ購入元のMNO回線しか利用できません。

SIMロックについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

SIMフリー手続きの方法|ロック解除のメリット・デメリットやよくある質問を解説

MVNOの独自性で選ぶ

MVNOには、それぞれ独自の強みがあります。例えばHISモバイルは、旅行会社のエイチ・アイ・エスが設立した事業者です。そのため、海外旅行などで役立つ独自のサービスがあります。

・世界80以上の国・地域で使える容量無制限のWi-Fiルーターレンタル
・旅行会社エイチ・アイ・エスでのご旅行がおひとり様最大3,000円引き
・レンタルWi-Fiが20%OFF
・iPhone修理代20%OFFなど

このように、それぞれのMVNOには独自の強みがあるため、それらを調べて自分のニーズにマッチするものを選びましょう。

動作確認済みの機種は要チェック

最後に、動作確認済みの機種のチェックも大切です。MNOもMVNOも、動作確認済みの機種でないと快適に使える保証がありません。

自分が今後使いたい機種の動作確認がされているかどうか、乗り換え前に確認するようにしましょう。もし動作確認がされていなかった場合、以下のいずれかを選択することになります。

・不具合が生じるかも知れないが、動作確認されていない機種を使う
・機種をあきらめ、動作確認済みのものに買い換える
・MVNOをあきらめ、使いたい機種が動作確認済みのMVNOを選択する

まとめ

本記事では、MVNOの仕組みや月額料金が安い理由、メリット・デメリットやMVNOの選び方を紹介しました。

MVNOは回線をMNO(3大キャリア)から借用することでコストを抑え、安い月額料金で通信サービスを提供する事業者です。

MVNOに乗り換えることには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。本記事を参考に必要な情報を集め、ご自分にとってベストな選択をしてください。

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