スマホで2回線の通信回線を利用できるデュアルSIMを詳細解説

2022.01.05

今回は「デュアルSIM」について掘り下げてみたいと思います。
従来からのスマートフォンは、1台につき1枚のSIMカードしか挿入できなかったため、自ずと、通話・通信も1回線しか利用することができませんでした。
ところがここ数年、複数のSIMに対応したスマートフォンが発売されるようになり、にわかに「デュアルSIM」という言葉がクローズアップされるようになりました。

一口に「デュアルSIM」といっても、使えるSIMの種類や、可能な通話・通信の組み合わせが異なるなど、様々なタイプが存在しています。

本記事では、「デュアルSIM」に関する基本的な解説と、利用可能なSIMや、可能な通話・通信の組み合わせなどについてまとめます。

デュアルSIMとは~まずはデュアルSIMの基本を抑えよう



「デュアルSIM」は読んで字のごとく、2枚のSIMが使えるという意味です。

写真のように、SIMカードスロットが2枚分用意されていて、2枚のSIMカードを装着することができます。

デュアルSIMスロットに2枚のSIMカードを入れた場合、SDカードを入れる場所がなくなってしまうため、SIMカード2枚+SDカード用として、3スロットのモデルもあります。

ちなみに「デュアルSIM」端末が発売されてから、従来のSIMカード1枚の端末を「シングルSIM」と区分けした名称が使われるようになりました。

デュアルSIMを利用するメリット

「違う電話番号があればなあ」 「料金支払いを別々にできたらいいのに」 と思ったことはありませんか? 例えば、仕事用の電話とプライベート用の電話番号を分けたり、仕事用の通信回線の料金は会社負担でプライベートで使う回線は自分が支払ったり…などのケースです。

ガラケーや、シングルSIMスマホの「2台持ち」のイメージで、デュアルSIMなら1台のスマートフォンで2台分の機能を利用することが可能です。

機種によっては、「デフォルトの通話回線」を予め設定しておけるので、特に事前の操作なしに、仕事用回線で通話を発信することが可能ですし、データ通信でいずれのSIMを使用するのかなど、きめ細かい設定が可能です。

2回線を1台で使うから、操作や設定が煩雑になるということはありません。

デュアルSIMでできること

デュアルSIM仕様のスマートフォンを使うことで様々な「使い分け」が可能になります。

【会社用、プライベート用を使い分ける】
会社の同僚や上司、取引先などからの連絡と、家族や友人などからの連絡の電話番号を分けることで、仕事のON/OFFを明確にしたり、仕事中のプライベート通話をシャットアウトしたりすることが可能になります。

また、会社支給のスマートフォンがある場合は、SIMカードだけを支給してもらってデュアルSIM端末に入れれば、普段の使い慣れた端末で会社用の通話や通信が可能となり、料金は会社持ちにすることが可能です。

【「~放題」など特徴あるSIMを使い分ける】
また、片方には「通話し放題」の通話用SIMを、もう片方には「データ使い放題」のSIMを入れることで、毎月のコスト削減が可能なパターンもあります。

通話はほとんどしないがデータ通信は大容量を使うという場合には、データ通信に特化した「使い放題」SIMを入れておくことで、大容量通信を軽い負担で利用することが可能になります。

逆にデータ通信はあまりせず連絡のほとんどが通話という場合には、通話に特化した「話し放題」のSIMを入れることで、時間や回数を気にせずに通話することが可能です。

【料金節約にSIMを使い分ける】
片方のSIMに「従量制プラン(使った分だけ支払う)」のSIMを入れておけば、メインで使用するSIMのデータ通信容量が足りなくなった月だけ、2枚目を使用するといったパターンでデータ通信の増減にフレキシブルに対応させることが可能です。

【海外の現地のSIMをいれておく】
仕事やプライベートで海外渡航が多い方は、eSIMの特性を生かして現地のプリペイドSIMを入れておき、日本にいる間はOFFにしておき、現地ではONにして通話・通信を利用することが可能です。

デュアルSIMのデメリット

ではデュアルSIMにデメリットはあるのでしょうか。

デュアルSIMを使用する上でのデメリットはほとんどないといえるのですが、状況によっては以下のような不都合が生じるケースもあります。

【料金が割高になってしまうケース】
2枚のSIMを使い分けることで利便性が向上する一方、料金面では2回線分を負担することとなるため、すべてを自らが負担する(会社負担等がない)場合には、シングルSIMより料金が割高になってしまう場合があります。

【バッテリー消耗が激しいケース】
2枚のSIMが常に電波を探していることで端末のバッテリー消費が増える(つまり速くバッテリー切れになる)ケースがあります。

Android端末の「セルスタンバイ」機能は、SIMの電波受信状態が悪くなると、電波状態のよい他の基地局を探して接続しなおすためバッテリーを多く消耗します。
iPhoneも2枚のSIMが電波を探すのは同じですので、バッテリー消耗には影響があるものと見られます。

【メモリ領域が不足するケース】
Androidスマホの一部には、カードスロットが2枚分しかない機種もあり、その場合は片方のスロットは、SIMカードとSDカード兼用となっています。

2枚分のスロットともSIMカードを入れてしまうと、SDカードを入れるスロットの空きがなくなり、結果としてメモリ不足となる場合があります。

iPhoneの場合には、元々SDカードを使用できないため、この問題は起こりません。

【SIMロックされたスマホでは使えない】
他社回線が使えないようにロックされた端末や、ロック解除された端末の場合、デュアルSIMに異なる通信会社のSIMを入れると、通信会社によって周波数帯も異なるため、うまく動作できないケースがあります。

SIMロックを施していない状態で販売された「SIMフリー」はこの限りではありません。

デュアルSIMに使えるSIMとは~SIMカードとeSIM



では、デュアルSIM端末に使用できるSIMについてみていきましょう。

現在、通話や通信を行うための「SIM」には2タイプあります。

・SIMカード(物理SIM)
従来からのSIMで、契約者情報などを書き込んだチップ(小片)であり、実際にカタチあるものなので「物理SIM」と呼ばれることもあります。
スマートフォンのSIMカードスロット(SIMカードトレー)に乗せてスマートフォン本体内に挿入します。
サイズは、「標準」「Micro(マイクロ)」「nano(ナノ)」の3種類があり、最近のスマートフォンでは「nano」サイズが使用されることがほとんどです。

物理SIMの弱点は利用開始までの時間です。
物理SIMは契約完了後に通信会社から宅配便で配送しなければならないため、契約当日からの利用はできず、最短でも翌日(翌日配達地域)以降の利用となってしまいます。

また、実体があることにより、紛失や盗難、破損・汚損等が起こる可能性があり、盗難被害を受ける場合もあります。実害がない場合でも、SIMの再発行に「配送」が伴うため、再利用開始までに使えない時間が生じてしまいます。

・eSIM(デジタルSIM)
SIMカードが実体のある「物理SIM」であるのに対して、eSIMは実体のない電子的なSIMで、スマートフォン本体に元々備わっているSIMカードにオンラインから契約者情報などをダウンロード~インストールして利用します。
Appleでは「eSIMとはデジタルSIMです」と記載しています。

※参考:https://support.apple.com/ja-jp/HT209044
eSIMにSIMサイズの違いはありません。

eSIMはオンラインで配信・インストールできるため、契約当日(約1時間程度)から利用することが可能です。

また、実体がないため、紛失・盗難・破損・汚損などの恐れがなく、安全で利用や変更、再発行などに無駄な時間を費やす必要がありません。
ただし、物理SIMと比べて、設定時にオンラインやスマホ操作・設定の部分で若干のリテラシーを求められるため、初心者やあまり詳しくない方にはハードルは高めと言えます。

物理SIMは1台のスマホで何枚のSIMが使える?

仕事とプライベートなど、複数のSIMを使い分けられるなら、3枚でも4枚でも、細かく分けられた方がありがたい…と思いませんか? では、1台のデュアルSIM端末で何枚のSIMを使用可能なんでしょうか。

物理SIMの挿入を前提としたデュアルSIM端末の場合、設定できるSIMの数は基本的には2枚です。

中にはトリプルスロットを備えたモデルもありますが、SIMカード2枚+SDカードが一般的な使い方です(中には通信SIM3枚挿入可能な中華スマホもありますが)。

※参考:https://japan.cnet.com/article/20392147/

eSIMは1台のスマホで何枚のSIMが使える?

これに対してeSIMは「無制限」です。

もちろん同時に使用できるSIMカードは、1枚または2枚ですが、eSIMをインストールしておいて、必要に応じてON/OFFを切り替える…といった使い方であれば、インストール数に制限はありません。

例えば、年に数回海外出張する場合、現地のプリペイドSIMのeSIMをインストールしておけば、出張の時だけ料金を支払って現地での通話や通信を可能にすることができます。

日本国内にいる時は、海外SIMは使わないのでOFFにしておき、出張時には逆に国内SIMは必要ないのでOFFにするなど、その時々で必要なSIM2枚だけをONにするといった使い方が可能です。
国内でも、通信を使わなければ料金無料のSIMをeSIMに入れておき、普段使うSIMのデータ容量を使い切った時だけeSIMをONにして使う等も可能です。

デュアルSIM仕様の種類と使い方



デュアルSIM端末は、端末が2枚のSIMをどのように認識するかによって、使用可能・使用不可の組み合わせが4通りあります。
それぞれの「デュアルSIM」は、SIMカード(物理SIM)2枚でも、SIMカード+eSIMかは問いません。

DSSS(デュアルSIM・シングルスタンバイ)

デュアルSIMが登場した初期の頃に多かった仕様です。

2枚のSIMを装着できるが、スタンバイ(待ち受け状態)にできるのは片方だけで、ONにしている方のSIMでのみ、通話・通信が可能です。
OFFになっている方のSIMでは、通話着信もデータ通信もできず「圏外」状態となります。

2枚のSIMのON/OFFは、その都度、手動で切り替える必要があります。

DSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)

2枚のSIMを挿入でき、2枚とも待ち受け状態にすることができ、どちらの電話番号にかかってきた電話であっても受話し通話することが可能です。
片方のSIMで通信を行っている最中に、もう一方のSIMへの通話着信も受けることができますが、電話に出て通話が始まると、別のSIMで行っていたデータ通信は途絶えます。

つまり、通話しながらのデータ通信はできないということになります。

また、DSDSの場合の通話を担当するSIMは3G回線となり、通話:3G+通信:4Gの組み合わせとなります。

DSDV(デュアルSIM・デュアルVoLTE)

2枚のSIMを挿入できる点はDSDSと同じで、いずれのSIMも待ち受け状態にすることが可能なため、どちらの電話番号にかかってきた場合でも受話通話が可能ですが、通話を開始すると別のSIMでデータ通信を継続することができない点は同じです。

DSDVとDSDSの違いは、音声通話でも4G回線を使用する点です。
音声通話を担当するSIMが4Gを使った「VoLTE」による通話が可能であれば、音声通話も、データ通信もいずれも4G回線で行うこととなり「DV=デュアルVolTE」となるわけです。

Androidスマホは、メーカー各社によって仕様がバラバラのため、○○年以降のモデルはDSDVですと明確な境界線を設けることができません。
iPhoneは、iPhone XS MAX、iPhone XRと、iPhone 11以降は全ての機種がDSDVです(通話用のSIMがVoLTE非対応の場合はDSDSとして動作します)。

DSDA(デュアルSIM・デュアルアクティブ)

現時点のデュアルSIMの方式では最も新しく進んだ仕様です。

2枚のSIMのいずれもスタンバイ(待ち受け)が可能なのはもちろん、片方のSIMが通話をしている最中でも、別の片方のSIMではデータ通信を行うことが可能です。
例えば、ゲームや動画の大容量ファイルをダウンロードしている最中に電話がかかってきた場合、DSDS機、DSDV機では、通話に出た段階でデータ通信は途切れてしまいますが、DSDA機であれば、通話を開始してもそのままデータ通信を継続します。

また、電話中にネット検索や地図アプリを起動することなども可能です。

現時点で最も利便性が高い方式と言えますが、まだDSDA機は数少なく、2021年に発売されたiPhone 13でも対応していません。

デュアルSIM まとめ

今回は、1台のスマートフォンに複数のSIMカードまたはeSIMを設定できる「デュアルSIM」についてまとめました。

あまり大きなデメリットはなく、スマートフォンの使い勝手を大幅に向上させる「デュアルSIM」仕様は多くの端末で採用されています。

ただ、2枚のSIMをどのように使いこなすかによって、お得にもなれば、料金が割高になってしまうケースも見受けられますので、自身の利用目的にあったSIMを上手に組み合わせて「デュアルSIM」を活用してみてください。

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