デュアルSIMとは?DSDS/DSDAの注意点やメリット・デメリットを解説
2024.05.24
今回は「デュアルSIM」について掘り下げてみたいと思います。
従来のスマートフォンは、1台につき1枚のSIMカードしか挿入できなかったため、自ずと通話・通信も1回線しか利用することができませんでした。
ところが近年、複数のSIMを同時に利用できるスマートフォンが発売されるようになり、にわかに「デュアルSIM」という言葉がクローズアップされるようになりました。
一口に「デュアルSIM」といっても、使えるSIMの種類や、可能な通話・通信の組み合わせが異なるなど、様々なタイプが存在しています。
本記事では、「デュアルSIM」に関する基本的な解説と、利用可能なSIMやSIM組み合わせ時の注意点、デュアルSIMのメリット・デメリットなどについて解説します。
デュアルSIMとは~デュアルSIMの基礎知識
「デュアルSIM」は読んで字のごとく、2枚のSIMが使えるという意味です。
写真のように、SIMカードスロットが2枚ないし3枚分用意されていて、複数のSIMカードを装着することができます。
ちなみに「デュアルSIM」対応スマホが発売されて以降、従来のSIMカードを1枚のみ挿入できる端末を「シングルSIM」と区分けした名称が使われるようになりました。
デュアルSIMを利用するメリット
「電話番号が2つあれば便利なのに」
「目的別に料金支払いを別々にできたらいいのに」
と思ったことはありませんか?
また、
「通信障害で通話や通信ができなくなってしまった」
という経験はありませんか?
複数の電話・通信回線を使い分けることで様々なメリットを生み出すとともに、片方の通信に障害が発生して利用できなくなった場合でも、もう一方の通信が可能であれば、どこへも連絡が取れないという最悪の状況を回避できます。
<h3>デュアルSIMの使い分けで得られるメリット</h3>
仕事用の電話とプライベート用の電話番号を分けたり、仕事用の通信回線の料金は会社負担でプライベートで使う回線は自分が支払う…などのケースでは、電話番号の異なる複数回線を使い分けることで解決できます。
ガラケーやシングルSIMスマホの「2台持ち」のイメージで、デュアルSIM対応スマホであれば1台で2回線を使い分けることが可能です。
「デフォルトの通話回線」を設定しておけるので、事前の操作なしに仕事用回線で通話を発信することが可能ですし、データ通信でいずれのSIMを使用するのかなど、きめ細かい設定が可能です。
2回線を1台で使うから、操作や設定が煩雑になるということはありません。
デュアルSIMによる通信安全保障を確保
「通信障害」に対してもデュアルSIMが有効です。
ある通信会社の回線が、トラブルや故障、メンテナンス、基地局工事などで通信不能になった場合でも、異なる通信会社の通信回線を使用可能にしておくことで、1社で通信障害が生じても他社回線で通話・通信を確保することが可能です。
こうした通信障害に備えて代替回線を用意して、常に通信可能な状態を確保することを「通信安全保障」と呼ぶ場合があります。
実は通信会社の通信障害は意外に頻繁に発生しており、2022年7月に発生したauの大規模通信障害は記憶に新しいところです。全国規模で通話・通信が不能になってしまう「大規模通信障害」が発生した場合に備え、2系統の通信回線を用意しておくことは重要と考えられています。
デュアルSIMでできること
デュアルSIM仕様のスマートフォンを使うことで様々な「使い分け」が可能になります。
会社用、プライベート用を使い分ける
会社の同僚や上司、取引先などからの連絡と、家族や友人などからの連絡の電話番号を分けることで仕事のON/OFFを明確にしたり、仕事中のプライベート通話をシャットアウトすることが可能になります。またプライベート中に仕事関連の連絡に煩わされることを防ぐことも可能です。
また、勤務先から業務用スマホの提供がある場合は、SIMカードだけを支給して貰ってデュアルSIM端末に入れておけば、普段使い慣れた端末で業務用の通話や通信が可能となり、料金は会社持ちにすることが可能です。
「~放題」など特徴あるSIMを使い分ける
片方のSIMに「従量制プラン(使った分だけ支払う)」のSIMを入れておけば、メインで使用するSIMのデータ通信容量が足りなくなった月だけ、従量課金の2枚目を使用するといったパターンでデータ通信の増減にフレキシブルに対応させることが可能です。
海外の現地SIMをいれておく
仕事やプライベートで海外渡航が多い方は、eSIMの特性を生かして現地のプリペイドSIMを入れておき、日本にいる間はOFFにしておき、現地ではONにして通話・通信を利用することが可能です。
プリペイドSIMであれば、基本料金などのランニングコストがかからないため、必要な時に必要な分だけ通信容量を購入して利用することが可能です。
デュアルSIMのデメリット
デュアルSIMにデメリットはあるのでしょうか。
デュアルSIMを使用する上でのデメリットはほとんどないといえるのですが、状況によっては以下のような不都合が生じるケースもあります。
料金が割高になってしまうケース
2枚のSIMを使い分けることで利便性が向上する一方、料金面では2回線分を負担することとなるため、すべてを自らが負担する(会社負担等がない)場合には、シングルSIMより料金が割高になってしまう場合があります。
バッテリー消耗が激しいケース
2枚のSIMが常に電波を探し続けているため、端末のバッテリー消費が増える(つまりバッテリー切れが早い)ケースがあります。
スマホの「セルスタンバイ」機能は、SIMの電波受信状態が悪くなると、電波状態のよい他の基地局を探して接続しなおすためバッテリーを多く消耗します。
メモリ領域が不足するケース
Androidスマホの一部には、カードスロットが2枚分しかない機種の中には、片方のスロットがSIMカード×SDカード兼用となっている場合があります。
こうした機種の場合、2枚のスロットいずれもSIMカードを入れてデュアルSIMを構成してしまうとSDカードを入れる空きがなくなり、結果としてメモリ不足となる場合があります。
iPhoneの場合には、元々SDカードを使用できないためこの問題は起こりません。
SIMロックされたスマホでは使えない
他社回線が使えないように「SIMロック」された端末ではロックした通信会社以外のSIMカードが使えません。また、ロック解除された端末であっても、端末のバンド(周波数帯)の設定によってはうまく動作できないケースがあります。
SIMロックを施していない状態で販売された「SIMフリー」は国内すべての通信会社の通信回線に対応しているためこの限りではありません。
HISモバイルでデュアルSIMを設定するには
HISでは、音声通話付きプランはNTTドコモ回線のみの提供ですが、データ専用プランではソフトバンク回線も提供しているので、HISモバイルだけでデュアルSIMを構築することが可能です。
【おすすめのHISモバイルデュアルSIMプラン】
プラン | 音声通話 | 100MG未満 | ~1GB | ~2GB | ~5GB |
自由自在290プラン | あり | 290円 | 550円 | 770円 | 990円 |
ビタッ!プラン | なし | 198円 | 770円 | 770円 | 1,320円 |
合計料金 | – | 488円 | 1,320円 | 1,540円 | 2,310円 |
金額はすべて税込表示
音声通話機能付きの「自由自在290プラン」は、データ使用量が100MB未満の場合はわずか月額290円で、1GBまで550円、3GBまで770円、7GBまで990円と、データの使用量に応じて段階的に料金が加算される「従量課金制」プランです。
組み合わせるのは、ドコモ回線が通信障害となっても通信可能なソフトバンク回線を使用する「ビタッ!プラン」で、こちらはデータ通信専用プランです。
「ビタッ!プラン」は音声通話ができませんが、LINEの通話やトークを利用可能です。LINEは通話・通信ともデータ通信を使用するため、通信障害時でも家族や友人に連絡が取れる状況は確保できる組み合わせです。
LINEの無料通話で消費するデータ量は、通話1分間=0.3MB、通話10分=3MBが目安、LINEトークは1回あたり2KBが目安ですので、「ビタッ!プラン」の最少容量100MBでも、LINE利用なら通話もトークもかなりの回数を利用することが可能です。
出典:https://mobile.line.me/guide/article/30013500.html
デュアルSIMに使えるSIMとは~SIMカードとeSIM
では、デュアルSIM端末に使用できるSIMについて解説します。
現在、通話や通信を行うための「SIM」には2タイプあります。
・SIMカード(物理SIM)
従来からの「SIM」は契約者情報などを書き込んだチップ(小片)で、実際にカタチあるものなので「物理SIM」と呼ばれることもあります。
スマートフォンのSIMカードスロット(SIMカードトレー)に乗せてスマートフォン本体内に挿入します。
サイズは、「標準」「Micro(マイクロ)」「nano(ナノ)」の3種類がありますが、最近のスマートフォンでは「nano」サイズが使用されることがほとんどです。
物理SIMの弱点は利用開始までの時間です。
物理SIMは契約完了後に通信会社から宅配便で配送しなければならないため、契約当日からの利用はできず、最短でも翌日(翌日配達地域)以降の利用となってしまいます。
また、実体があることにより、紛失や盗難、破損・汚損等が起こる可能性があり、盗難では被害を被る場合もあります。実害がない場合でも、SIMの再発行にも「配送」が伴うため、再利用開始までに使えない時間が生じてしまいます。
・eSIM(デジタルSIM)
SIMカードが実体のある「物理SIM」であるのに対して、eSIMは実体のない電子的なSIMです。スマートフォン本体に備わっている内蔵SIMカードにオンラインから契約者情報などを書き込む(ダウンロード~インストール)ことで利用可能となります。
ちなみにAppleでは「eSIMとはデジタルSIMです」と記載しています。
※参考:https://support.apple.com/ja-jp/HT209044
eSIMにSIMサイズの違いはありません。
eSIMはオンラインで配信・インストールできるため、契約当日(約1時間程度)から利用することが可能です。
また、実体がないため、紛失・盗難・破損・汚損などの恐れがなく、安全で利用や変更、再発行などに無駄な時間を費やす必要がありません。
ただし、物理SIMと比べて、設定時にオンラインやスマホ操作・設定の部分で若干のリテラシーを求められるため、初心者やあまり詳しくない方にはハードルは高めと言えます。
物物理SIMは1台のスマホで何枚のSIMが使える?
仕事とプライベートなど、複数のSIMを使い分けられるなら、3枚でも4枚でも、細かく分けられた方がありがたい…と思いませんか?
では、1台のデュアルSIM端末で何枚のSIMを使用可能なんでしょうか。
物理SIMの挿入を前提としたデュアルSIM端末の場合、設定できるSIMの数は基本的には2枚です。中にはトリプルスロットを備えたモデルもありますが、SIMカード2枚+SDカードが一般的な使い方です(中には通信SIM3枚挿入可能な中華スマホもありますが)。
※参考:https://japan.cnet.com/article/20392147/
eSIMは1台のスマホで何枚のSIMが使える?
これに対してeSIMは「無制限」です。
もちろん同時に使用できるSIMカードは、1枚または2枚ですが、eSIMをインストールしておいて、必要に応じてON/OFFを切り替える…といった使いかたであれば、インストール数に制限はありません。
例えば、年に数回海外出張する場合、現地のプリペイドSIMのeSIMをインストールしておけば、出張の時だけ料金を支払って現地での通話や通信を可能にすることができます。
日本国内にいる時は、海外SIMは使わないのでOFFにしておき、出張時には逆に国内SIMは必要ないのでOFFにするなど、その時々で必要なSIM2枚だけをONにするといった使い方が可能です。
国内でも、通信を使わなければ料金無料のSIMをeSIMに入れておき、普段使うSIMのデータ容量を使い切った時だけeSIMをONにして使う等も可能です。
デュアルSIMの種類と使い方
デュアルSIM端末は、端末
デュアルSIM端末は、端末が2枚のSIMをどのように認識するかによって、使用可能・使用不可の組み合わせが4通りあります。
それぞれの「デュアルSIM」は、SIMカード(物理SIM)2枚でも、SIMカード+eSIMかは問いません。
DSSS(デュアルSIM・シングルスタンバイ)
デュアルSIMが登場した初期の頃に多かった仕様です。
2枚のSIMを装着できますが、スタンバイ(待ち受け状態)にできるのは片方だけで、ONにしている方のSIMでのみ、通話・通信が可能です。
OFFになっている方のSIMでは、通話着信もデータ通信もできず「圏外」状態となります。
2枚のSIMのON/OFFは、その都度手動で切り替える必要があります。
DSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)
2枚のSIMを挿入でき、2枚とも待ち受け状態にすることができ、どちらの電話番号にかかってきた電話であっても受話し通話することが可能です。
片方のSIMで通信を行っている最中に、もう一方のSIMへの通話着信も受けることができますが、電話に出て通話が始まると、別のSIMで行っていたデータ通信は途絶えます。
つまり、通話しながらのデータ通信はできないということになります。
また、DSDSの場合の通話を担当するSIMは3G回線となり、3G通話+4G通信の組み合わせとなります。
DSDV(デュアルSIM・デュアルVoLTE)
DSDVとDSDSの違いは、音声通話でも4G回線を使用する点で、4G通話+4G通信の組み合わせが可能となります。音声通話を担当するSIMが4Gを使った「VoLTE」による通話が可能であれば、音声通話もデータ通信もいずれも4G回線で行うこととなり「DV=デュアルVolTE」となるわけです。
2枚のSIMを挿入できる点はDSDSと同じで、いずれのSIMも待ち受け状態にすることが可能なためどちらの電話番号にかかってきた場合でも受話通話が可能です。また、通話を開始するともう一方のSIMでデータ通信を継続することができない点も同じです。
Androidスマホは、メーカー各社によって仕様がバラバラのため、○○年以降のモデルはDSDVですと明確な境界線を設けることができません。
iPhoneは、iPhone XS MAX、iPhone XRと、iPhone 11以降は全ての機種がDSDVです。ただし、通話用のSIMがVoLTE非対応の場合はDSDSとして動作します。
DSDA(デュアルSIM・デュアルアクティブ)
現時点のデュアルSIMの方式では最も新しく進んだ仕様です。
2枚のSIMのいずれもスタンバイ(待ち受け)が可能なのはもちろん、片方のSIMが通話をしている最中でも、別の片方のSIMではデータ通信を行うことが可能です。
例えば、ゲームや動画の大容量ファイルをダウンロードしている最中に電話がかかってきた場合、DSDS機、DSDV機では、通話に出た段階でデータ通信は途切れてしまいますが、DSDA機であれば、通話を開始してもそのままデータ通信を継続します。
また、電話中にネット検索や地図アプリを起動するなども可能です。
デュアルSIM まとめ
今回は、1台のスマートフォンに複数のSIMカードまたはeSIMを設定できる「デュアルSIM」についてまとめました。
スマートフォンの使い勝手を大幅に向上させるなどメリットの多い「デュアルSIM」仕様は多くの端末で採用されています。
また、大規模通信障害に備えて異なる通信回線を2系統用意し、障害発生時にも最低限の通信手段を確保しておく「通信安全保障」の観点からもデュアルSIMは有効と考えられます。
ただし、2枚のSIMをどのように組み合わせるかによって料金が割高になってしまうケースや、バッテリーの減りが早い、メモリー不足などのデメリットも見受けられますので、自身の利用目的にあったSIMを上手に組み合わせて「デュアルSIM」を活用してみてください。
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