買うならSIMフリーiPhone一択?国内すべての通信会社で使える
2022.08.05
今回のテーマは、SIMフリーiPhoneです。
・SIMフリー版とキャリア版の違いはなに?
・SIMフリーiPhoneがおすすめの理由はなに?
・キャリアで買ったiPhoneはSIMフリーにできないの?
本稿は、そんな疑問をお持ち方向けの記事で、SIMフリーiPhoneとはどんなスマートフォンで、どんな特徴があるのか、どこで購入できるのか、キャリア版iPhoneのSIMフリー化などについて解説しています。
これを読めば、SIMフリー版・キャリア版いずれのiPhoneも丸わかりです。
国内シェアの約半分を占めるiPhoneは超人気機種
日本のスマホにiPhoneが占める比率=シェアはどのぐらいかご存じでしょうか。
英Kanter社の統計によれば、2020年12月の時点で「44.4%」で、残り55.6%がAndroidです。
→英Kanter Group: https://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/
「なんだ、Androidの方が多いじゃん」と思ったアナタ、iPhone/Androidのスマートフォンが、それぞれ何社・何機種の合計の数値だかおわかりでしょうか。
iPhoneは、Apple社のiPhoneだけ、1社1モデルで44.4%です。
Androidは、SHARP、OPPO、Huawei、Samsung、Xiaomi等、多くのメーカーの数え切れないほどの機種の合計で55.6%です。
スマートフォンの機種ごとのシェア、つまりiPhoneの人気がいかに高いかがよく分かるデータです。
そんな高い人気を誇るiPhoneですが、実は、一時期は日本国内のシェアを30%以下まで落としたことがありました。
2012年ごろには70%を超えるシェアを誇ったiPhoneですが、Androidの伸長により、2014年には30%を割り込むまでに低下しますが、シェアを徐々に回復し、現在は50%弱に落ち着いています。
ちなみに日本国内のシェアが7割を超えていた同時期のアメリカ本国のシェアは50%弱で、日本国内のiPhoneシェアがいかに高いかがわかりますが、実は、こうしたiPhoneの高い人気(シェア)は全世界的なものではありません。
2020年12月の時点での本国アメリカ国内のシェアは51.0%ですが、他の国々のシェアは以下のようなシェアとなっています。
・イギリス 42.0%・ドイツ 30.9%
・フランス 26.7%
・イタリア 19.0%
・スペイン 15.9%
・オーストラリア 46.0%
・ブラジル 7.0%
・メキシコ 5.3%
・中国 25.7%
イギリス、オーストラリアを除いて40%を超えている国はなく、日本の50%近いシェアがいかに高い割合であるかが分かります。
日本では大手キャリアの施策によってiPhoneもAndroidも大差ない価格で普及してきましたが、グローバルではiPhoneは高級機、Androidは普及機という棲み分けができており、発展途上の国ほどAndroidの比率が多いと言われているのです。
生まれたてのiPhoneはすべてSIMフリー
日本国内のiPhoneを考える時、まずは、SIMフリー版とキャリア版のiPhoneの違いを理解しておきましょう。
SIMフリー版とキャリア版というと、あたかもそれぞれ別々のiPhoneが作られているように感じるかもしれませんが、実は、Appleで生まれたiPhoneはすべて「SIMフリー」なのです。
というより、SIMフリーという「説明」が必要のない「ただのiPhone」です。
SIMロック済キャリア版iPhoneを作るのは大手キャリア
何も制限のない「ただのiPhone」として生まれたiPhoneは、大手キャリアが販売する際に、他社回線では使えなくする(※)ために「SIMロック」を行うことで、使用可能なSIMに制限のある「SIMロック版iPhone」が生まれます。
この「SIMロック」を施されたiPhoneが「キャリア版」の正体なんですが、「SIMロック版」が生まれたことによって、「何も制限のないただのiPhone」を、あえて「SIMフリー版」と呼んで区別する必要が生じるのです。
つまり言い換えると、大手キャリアがSIMロックをしなければ、「SIMフリー」や「キャリア版・SIMロック版」といった呼び方は不要で、すべてが単に「iPhone」でよいのです。
※SIMロックを行う理由とは
簡単に言うと自社ユーザーの囲い込み(他社へ逃がさない)のための施策です。
つまり、自社で販売したiPhoneが他社回線でも使えると、乗り換えやすくなって、他社にユーザーを取られてしまうので、端末を他社では使えなくしてしまえば乗り換える人が減って、自社サービスをずっと使ってくれるだろう…という囲い込みの施策です。
ただし大手キャリアは「機種代金の未払いや端末の詐欺・転売などの防止」を理由に挙げており、確かにそういった側面もないとは言えませんが、ユーザーの囲い込みではないとも言い切れないでしょう。
いずれにしても、ユーザーは使っている端末を他社回線に乗り換えてそのまま使いたければ、時間とお金を使って「SIMロック解除」を行わなければならないため非常に不評でした。
2021年10月1日以降販売のiPhoneはSIMロック原則禁止に
ユーザーが、使用中の端末を他社回線に乗り換えてもそのまま使いたいと思えば、時間とお金を使って「SIMロック解除」を行わなければならないため、ユーザーの乗り換えの意向を阻害する…と総務省が問題視しました。
様々な意見聴取や議論の末、総務省は「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」を公表、中で「SIMロックの原則禁止」を打ち出しました。
これにより、2021年10月1日以降は、端末販売時のSIMロックは原則的に禁止となり、例外的にSIMロックを行う場合でも、総務省への確認が必要となりました(割賦購入の場合で代金未払いが想定できるケースなど)。
これにより、大手キャリアでもSIMフリー版iPhoneを購入できるようになりつつあります。
前述の通り、楽天モバイルははじめからSIMロックは行っていませんし、NTTドコモも「一括あるいはクレジットカードによる分割払い」で購入した場合には、SIMロックしていない端末を渡すようになっています。
しかし、auとSoftbankでは、「一括あるいはクレジットカードによる分割払い」の場合に限って、ユーザーの希望があればSIMロックを解除する…という対応に留まっています
なぜSIMフリーiPhoneがおすすめなのか
端的に言って、すべての通信プランを利用可能だからです。
言い換えれば、iPhoneに挿入すればどの通信サービスのSIMカードでも利用可能ということです。
SIMロック版の場合、ドコモのSIMロックがかけられている場合にはau・Softbank・楽天モバイルの通信回線では利用できません。他社のSIMロックも自社回線以外の通信回線を使うことができませんので、どこのSIMカードでもOKという訳にはいきません。
少し前までは、ドコモのSIMロック版は、NTTドコモと、ドコモ回線を使うMVNO(格安SIM)で利用可能、auのSIMロック端末は、auとUQmobileとau回線MVNOで利用可能、Softbankも同様でした。
元々、Softbankから、同社のサブブランドであるY!mobileに乗り換える際にもSIMロック解除が必要でしたが、2021年にドコモがahamo、auがPovo、SoftbankがLINEMOなどの格安プランをリリースしたことにより、同じ通信会社内のサービスでもSIMロック解除が必要になりました。
さらに、MVNOは複数の通信キャリアの回線を使ったサービスを提供するようになる(マルチキャリア)など、端末にどこかの回線のSIMロックが施されていると利用できないサービスが一気に増加し、非常に不便な状況となったのです。
もし端末がSIMフリーであれば、4キャリアはもちろん、ahamoでもPovo、LINEMO、Y!mobile、MVNOであっても通信回線にかかわらずすべての通信サービスを利用できるのです。
以前はSIMロックiPhoneにもメリットがあった
通信サービスの乗り換えの邪魔にしかならないような「SIMロック」ですが、以前は、「キャリアが販売するSIMロックされたキャリア版iPhone」にもメリットがありました。
それは端末価格です。
大手キャリアは前述の「ユーザー囲い込み」のもう一つの手法として、いわゆる「2年縛り」を導入していました。
2年間の継続利用を前提に、端末代金を大幅値引きして販売しました
通信契約の2年間縛りの間、大幅値引きされた端末を24回分割支払いで購入し、次の2年縛りの始まりに併せて機種変更する…という2年サイクルがパターンとなっていました。
しかし実際には、端末の値引き分よりも、高額な通信契約の月額料金を2年間払い続ける方が割高になるため、総務省は「2年縛り」や、「通信契約を伴う端末の大幅値引き」を禁じたため、端末値引きのメリットがなくなって単に乗り換えの邪魔になるだけの「SIMロック」が残ってしまったという訳です。
それ以降も、大手キャリア側としては、自社ユーザーを囲い込むための方策として残してきましたが、それも2021年10月1日以降は原則禁止となってしまいました。
SIMフリーiPhoneのデメリットに、「SIMフリー端末は割高である」と挙げている記事がありますがそれも昔の話という訳です。現在は、大手キャリアの価格の方がApple Storeよりも割高です。
SIMフリーiPhoneはどこで入手できる?
以前は、SIMフリー版iPhoneの新品端末を入手できるのはApple Storeのみでした。
一部のMVNOが取り扱ったこともありますが、数量限定のスポット販売でした。
しかし現在は、総務省の指導によって大手キャリアでもSIMフリー端末を販売するようになり、加えて、回線契約者以外でも購入できるようになっていますので、Apple Store以外でもSIMフリーiPhoneを入手できるようになりました。
・Apple Store … Apple自身が運営する実店舗・オンラインストアです。 現在はApple Storeで購入可能なモデルは以下です。
・iPhone 13シリーズ、iPhone 13 Pro シリーズ
・iPhone 12シリーズ
・iPhone 11
・iPhone SE(第2世代)
・大手キャリア…回線契約者以外でもSIMフリーiPhoneを購入できるようになりました。 現在、大手4キャリアで購入可能なモデルは以下の通りです。
・iPhone13・iPhone13 mini(NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイル)
・iPhone13 Pro・iPhone13 Pro Max(NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイル)
・iPhone12・iPhone12 mini(NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイル)
・iPhone12 Pro・iPhone12 Pro Max(NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイル)
・iPhone SE(第2世代)(NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイル)
・iPhone11 Pro・iPhone11 Pro Max(au・Softbank)
・iPhone11(Softbank)
・iPhone XS・iPhone XS Max(au)
・iPhone 8、iPhone 7 (Softbank)
・サブブランド・MVNO … 大手キャリアのサブブランドや一部のMVNOでもSIMフリーiPhoneを購入できます。
・中古iPhone専門店…SIMフリーiPhoneは中古端末でも入手可能です ほとんどすべてのモデルが入手可能です。
・譲渡・個人売買…家族・知人から譲り受けたり、フリマやオークションで個人売買でもSIMフリーiPhoneを入手できます(利用には注意が必要)。
キャリア版SIMロックiPhoneもSIMフリー化できる
大手キャリアが施した「SIMロック」は、ロックしたキャリアで解除が可能です。
SIMロックを解除したiPhoneは、SIMフリーの状態に戻りますが、はじめから一切ロックされたことがないSIMフリーと区別する際には、「SIMロック解除iPhone」または「SIMアンロックiPhone」と呼ぶ場合があります。
【各キャリアのSIMロック解除方法】
・NTTドコモ:https://www.nttdocomo.co.jp/support/unlock_simcard/index.html
・au:https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/simcard/unlock/
・Softbank:https://www.softbank.jp/mobile/support/usim/unlock_procedure/
・楽天モバイル:楽天モバイルはSIMロック端末を販売していません
HISモバイルではSIMフリー版・SIMアンロック版・ドコモ版・Softbank版が利用可能
HISモバイルは、NTTドコモ回線とSoftbank回線の通信サービスを提供するマルチキャリアで、もちろんiPhoneも利用可能です。
HISモバイルで利用可能なiPhoneは、SIMフリー版・SIMアンロック版ではドコモ回線・Softbank回線いずれの回線でもすべての料金プランを利用可能です。
ドコモ版iPhneはドコモ回線で、Softbank版iPhoneはSoftbank回線で利用可能です。
【NTTドコモ回線の料金プラン】
・格安ステッププラン…月額基本料金590円~ データ容量1~10GB
・格安弐拾プラン…月額基本料金2,178円 データ容量20GB
・ビタッ!プランデータ専用…月額基本料金198円~ データ容量100MB~30GB
・ビタッ!プランデータ+SMS…月額基本料金352円~ データ容量100MB~30GB
・データステッププラン…月額基本料金490円~ データ容量1~10GB
・SMSデータステッププラン…月額基本料金520円~ データ容量1~10GB
【Softbank回線の料金プラン】
・ビタッ!プラン(音声)…月額基本料金1,078円 データ容量100MB~30GB
・ビタッ!プランデータ専用…月額基本料金198円~ データ容量100MB~30GB
SIMフリーiPhoneまとめ
ahamoやPovo、LINEMOなど大手キャリアの新料金プランの登場や、MVNOのマルチキャリア化によってSIMフリーiPhoneの需要は高まっています。
一方、総務省や政府の意向によって、通信サービス間の乗り換えハードルの低廉化によってSIMフリーiPhoneの入手ルートが増えてきています。
日本国内のスマホシェアの約半分をApple1社の1モデルで占めている超人気機種「iPhone」を使うならSIMフリーがおすすめ…ということが納得いただけたでしょうか。
iPhoneは、元々非常に高性能・高機能である上、毎年新しいバージョンが登場するiOS(iPhoneを動かすオペレーションシステム)が旧端末にも配信されるため、長期間に渡って最新機能とセキュリティ対策を反映することができます。
次の買い替え、通信会社の乗り換えの際には、SIMフリーiPhoneを検討してはいかがでしょう。
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