防水格安スマホ~防水性能表示の意味や水濡れ時の対処法をチェック

2022.08.01

スマートフォンには様々な機能があります。
「おサイフケータイ」や「ワンセグ」「赤外線通信」などとともに、「防水機能」は格安スマホから高級機まで、多くのスマホが備える人気機能です。
洗面所での落下や、ポケットに入れたままでの洗濯など、「事故」としての入水はもちろん、お風呂で音楽を聴いたり動画を見たり、水中や雨天での写真撮影など、水に濡れる環境での使用をあえて行うユーザーも少なくありません。
今回は、そんな防水機能はどこまで有効なのかについて、また、万が一端末内に水が浸入した場合の対応方法について解説します。

防水・防塵機能について理解しよう

スマートフォンの仕様書には「防水機能」と「防塵機能」が一緒に記載されているケースがほとんどです。

『IP68』

これは、最新のiPhone 13の防水・防塵機能の表示です。
「IP」(International Protection)コードと呼ばれるもので、防水電気製品の防水・防塵性能を表す規格です。

数字の左側は、防塵性能を表し、右側の数字は防水性能を表しています。

防塵性能だけを表す場合には「IP6X」、防水性能だけを表す場合は「IPX8」と、表示しない性能を「X」で表します。

「防塵」とは、固形物の製品内部への侵入を防止することで、「6」は現時点での最高ランクに当たり、「粉塵」でさえもスマホ本体内に侵入しない防御性能を持っていることを表します。

ちなみに、IP3Xの防塵性能は、直径2.5mm以上の固形物が製品内に進入しないことを表していますが、対象は「工具の先端」などです。

「防水」とは、液体の製品内部への侵入を防止することで、「8」は現時点での最高ランクに当たり、「継続的に一定の水圧がかかる水中にあっても」スマホ本体内に液体が侵入しない防水性能を持っていることを表しています。

ちなみに、IPX4の防水性能は「あらゆる方向からの飛沫が侵入しない」なのでå雨天での使用などが想定でき、IPX7は「一時的なら一定の水圧がかかる水中に落下しても侵入しない」なので、水中にうっかり落とした場合などが想定できる防水性能です。

防水機能は海外ではあまり重視されない

iPhoneは、2007年に初代モデルが発売されてから、9年後の2016年にiPhoneの第10世代目のモデルとして発売された「iPhone 7」シリーズまで防水機能は搭載されませんでした。

これは、iPhoneが遅れていたというよりは、防水機能は、「おサイフケータイ」「ワンセグ」「赤外線通信」などと同様に、日本国内で独自に進化した機能で、いわゆるガラパゴス機能の一つであり、グローバルモデルであるiPhoneは対応が遅くなりました。

一方、スマホの仕様や性能がメーカー各社の判断に委ねられているAndroidは、中国や韓国のメーカーを中心に、日本進出のために「日本国内標準」の機能を搭載したため、比較的早くから防水機能搭載モデルが普及しました。

現在では、iPhoneも多くのモデルが何らかの防塵防水機能を有していますが、モデルによって防水でない機種、防止レベルの低いモデルが存在するので注意が必要です。
発売年によって、

(1)IEC 規格 60529 に基づく IP68 等級 (深さ6mまで、最長30分間) に適合
→ iPhone 12シリーズ、iPhone 13シリーズ 全モデル
(2)IEC 規格 60529 に基づく IP68 等級 (深さ4mまで、最長30分間) に適合
→ iPhone 11 Pro/iPhone 11 Pro Max
(3)IEC 規格 60529 に基づく IP68 等級 (深さ2mまで、最長30分間) に適合
→ iPhone 11/iPhone XS/iPhone XS Max
(4)IEC 規格 60529 に基づく IP67 等級 (深さ1mまで、最長30分間) に適合
→ iPhone SE (第3・第2世代)/iPhone XR/iPhone X/iPhone 8シリーズ/iPhone 7シリーズ
(5)防水防塵機能なし
→ iPhone 6sシリーズ/iPhone SE(第1世代)以前の全モデル

参考:https://support.apple.com/ja-jp/HT207043

特に格安スマホとして人気の高い「iPhone SE」の第2/第3世代は、第2はもちろん、2022年発売の第3世代であっても、iPhone 8の筐体を使用していることから防水性能はiPhone 8に準じるため、防水性能は「IPX7」である点に注意してください。

格安スマホとして多くのモデルが出回っているAndroidスマホの場合は、各メーカー間で仕様が統一されていないため、iPhoneのようにモデルごと、発売年ごとでの防水性能の線引きはできません。

最近のモデルは防水機能搭載が一般的になっていますが、必ずしも最近のモデルが防塵防水性能を備えている保証はないので、各端末ごとに防塵防水機能の有無や性能を確認する必要があります。

防水スマホはどんな人に向いているの?

現在、市販されているスマートフォンの多くが防水機能を備えていますが、防水機能付きのスマホはどんな人に向いているのでしょうか。

■お風呂好きの人
お風呂が好きな人は、入浴しながら音楽を聴いたり動画を観るなど、防水スマホを活用しているようです。
お風呂で使うといっても、湯船に沈めて使うことはあまりないと思われるので、飛沫の侵入を防ぐ性能があれば問題ないはずですが、うっかり落ちてしまうリスクもあるので、IPX8クラスを選んでおけば間違いないでしょう。

■アウトドア好きの人
キャンプや釣り、トレッキング、スキー/スノボ、自転車/バイクなどアウトドアを趣味にしている人は、いつ天候が変わって降雨になるか分からないので、防水機能付きのスマホがおすすめです。
雨に当たるだけなら問題ないですが、池や湖、海などへの落下を考えるとやはりIPX8クラスの防水性能を確保しておくとよいでしょう。

■料理好きの人
料理をする場所(主にキッチン)は「水場」です。どうしても水濡れの可能性が高くなるので料理中のスマホ使用には防水機能があった方が安心です。
特に料理系のブロガーやYouTuberなら、濡れた手でスマホを操作する機会もあるので、IPX8クラスの防水機能を確保しておきましょう。

知らぬ間水没に要注意

これは以前、筆者がiPhone修理業者さんから聞いた話ですが、不調と持ち込まれるiPhoneの半分以上が、「オーナーに自覚のない水没」だそうで、本人が気づかないうちに水濡れしているという意味で「知らぬ間水没」と呼んでいるんだそうです。

例えば、夏場の飲み会や喫茶店などで、冷たいドリンクのグラスの「結露」がテーブルに溜まってスマホが浸ってしまったり、SIMカードを入れ替えた際にトレーがしっかり閉じていなくて水が侵入してしまうなどが考えられるそうです。

特に格安SIMの利用者が増加したことで、SIMカードスロットからの浸水が増加しているとのことなので、SIMカード交換の際は充分に注意が必要です。

水濡れ時の対処法

画像出展:https://support.apple.com/ja-jp/HT204104

iPhoneもAndroidも、本体内に液体が浸入するとインジケーターが反応します。
上記の図は、格安スマホとして人気のiPhone SE(第2/第3世代)、及び筐体ベースのiPhone 8の水濡れインジケーターで、SIMカードスロットの中を覗いて赤く変色していれば液体が侵入した証となります。
Androidスマホの場合は各社・各モデルで統一性がないため、各モデルの取説などで水濡れインジケーターの場所を確認してください。
「もしかしたら水が入ったかも」 と思ったら、必ずインジケーターを確認し、早急に対処する必要があります。

水濡れ時のNG行為

インジケーターが赤くなっていて液体の侵入が確認できたら、早急な対応が必要ですが、以下のような対応はNG行為(してはいけない対処法)となります。

分解して液体をふき取る

自らの手でスマホを分解して侵入した液体をふき取るなんてことは不可能です。
スマホの内部は細かく入りくんでいてとても素人の手に負えるものではありませんし、布やティッシュで完全に拭きとれるものではありません。

本体を振って水を出す

入った液体を強く振って、SIMカードスロットや充電口から液体を出そうとするのはNGです。
そんなことでは液体を出し切ることはできませんし、まだ浸水していなかった部分にまで浸水させてしまう恐れがあるので、振って水を出す行為はNGです。

加熱して水を蒸発させる

前述のiPhone修理店のお話では、本体内に進入した液体を蒸発させるために電子レンジで加熱したり、他にも直火で焙るなどの対処をした人がいるとのこと。
電子レンジや直火は「まさか」でも、「ドライヤーの熱風を当てる」は効果がありそうですが、スマホを熱しても隙間からほんわか湯気が出て…などと言うことはありませんし、その前に高温でスマホ自体が壊れてしまいます。

水濡れ時にユーザーができる対処法

インジケーターが赤くなって液体侵入を確認したら、できる方法は2通りです。
いずれの場合にも、水濡れを確認した段階で直ちに電源を切ってください。

(1)乾燥剤と一緒に袋に入れておく
シリカゲルや、住宅用の湿気取り剤などと一緒に密閉できる袋や容器に入れて保管し、できるだけ早く、メーカーや通信キャリア、または街の修理店でのクリーニングを受けてください。
シリカゲルや乾燥剤は、ドラッグストアや100均ショップなどでも入手可能です。
ティッシュなどで「こより」を作り、充電口やイヤホンジャック、SIMカードスロットなどに差し込んでおくと効果がある場合があります。

【余談】生米の中に埋めておいたら水気が取れた…などという話もありますが、うまくいく可能性がないとは言い切れませんが、成功する保証もどこにもありません。

(2)風通しの良い場所にぶら下げておく
シリカゲルや乾燥剤がない場合には、風通しの良い場所、あるいは扇風機や除湿器などの風を当ててぶら下げておき、できるだけ早く、メーカーや通信キャリア、または街の修理店でのクリーニングを受けてください。
いずれにしても、最終的にはメーカーや通信会社に修理を依頼する、あるいは街のスマホ修理店でクリーニングを受けるなど、専門家によるリカバリーを受けることをおすすめします。

非正規店(街の修理店)での対応について

メーカーでの修理は当然、専門スタッフが純正部品や工具を使って対処するので問題ありませんが、通信会社経由の修理や街の修理店など、正規店以外での修理には注意が必要です。

使用する工具や部品が正規品でないケースが多く、その場は問題を解消できても、それ以降の防水性能が初期性能を維持できない場合もあるので、非正規店での修理はその辺りへの理解が必要です。

とはいえ、水濡れ時のリカバリーは時間勝負のような側面もあり、発生から時間を置かず腐食が進行してしまう前に対処すればその後も問題なく使用できる可能性もあるので、予約等なしで利用できる街の修理店にも「即効性」の面ではメリットがあります。

スマホの防水機能と水濡れ時の対処法 まとめ

Appleが提供するiPhoneの保証「Apple Care+」は、水濡れによる故障修理は適用対象外と定められています。
一方、大手キャリアなどが提供している端末補償では、水濡れも保証対象としているケースもあります。

水濡れが保証対象か、対象外かは一概に言えませんが、対象外の場合もあるので、必要もないのにむやみに濡らして、不用意な水濡れを起こさないようにすることも重要です。

もし、水濡れした可能性がある場合には、

(1)インジケーターを確認し水濡れを特定する
(2)NG対処法を避け、現状よりも状況を悪化させないように保管する
(3)速やかにメーカー、通信会社、修理店などの専門家のリカバリーを受ける

これらを実行してください。
防水機能付きのスマホであっても、SIMカード交換など人為的な原因による水濡れも皆無ではないので、対処法について頭に入れておきましょう。

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