IoTを簡単に説明！メリット複数で多分野で導入されている

現在、社会のなかにはさまざまなデジタル技術が広まっています。

AI（人工知能）、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど、デジタル技術の名前を耳にする機会も増えました。また、特にAIなどは、実際に仕事などで使っている方も多いでしょう。

本記事が扱うIoT（アイ・オー・ティー）も、そうしたデジタル技術の1つです。IoTという言葉も、ほかのデジタル技術と同じく耳にする機会が増えていますが、「よく聞くけど、結局何のことかわからない」という方もいるかもしれません。

そこで本記事では、この”IoT”について、できる限り簡単に説明していきたいと思います。

そもそもIoTとは何か、そのしくみはどういうものか、IoTを導入することのメリットは何か、実際にどういった業界で導入されているのかなどを紹介します。

IoTに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事に掲載している価格は、すべて税抜き金額です。

※本記事の内容は、執筆時（2025年8月末）のものです。

IoTとは何か

最初に、IoTという言葉の意味から確認していきましょう。”IoT”は、”Internet of Things”の略であり、日本語では「モノのインターネット化」と訳されています。

現代に生活するわたしたちにとって、インターネットはあって当たり前のものになっています。しかし、一般的に多くの方が日常的にインターネットに接続し、利用している機器は、限られているのではないでしょうか。

• スマホ
• パソコン
• タブレット
• テレビ
• ゲーム機
• スマートスピーカー

これらは一般的に、「インターネットに接続して使うもの」として認識されているかもしれませんが、これら以外のモノ（機器）もインターネットに接続して利用しようというのが、IoTです。

例えば家庭でIoTを利用したものとしては、以下のものが登場しています。

• スマート家電（インターネットに接続し、スマホやスマートスピーカーで遠隔操作可能な家電）
  照明、冷蔵庫、掃除ロボットなど
• スマートロック（インターネットに接続し、スマホなどで遠隔操作して開錠・施錠が可能）
• ウエアラブルデバイス（健康管理のために体に身につけ、データを計測する機器）
  腕時計や指輪の形で、心拍数や体温、睡眠時間などを計測する機器
• スマートホーム（家のなかにスマート家電を揃え、家全体をインターネットで遠隔操作できるようにしたもの）

また、産業分野でもIoTの技術は多く取り入れられています。

• スマート農業
  土壌の状態や気温などをセンサーで把握し、水やりなどの世話を調整するシステム。ドローンなども活用される。
• 工場の業務効率化
  工場の機器にセンサーが取り付けられ、稼働状況や故障のリスクなどをリアルタイムで収集し、業務効率化に役立てることが可能。
• 物流・配送での活用
  トラックの積載情報や位置情報を把握し、効率的な配送ルートの割り出しやメンテナンスなどに役立てることが可能。
• 無人決済店舗
  店舗内のカメラやセンサーが人の動きをキャッチし、対人での会計なしに買い物を可能にするシステム。

これら以外にも、多くの分野でIoTが取り入れられ、役立てられています。

IoTの3つの機能

続いて、IoTの機能について整理していきましょう。IoTには主に、以下の3つの機能があります。

1. モノの遠隔操作
2. モニタリング
3. データ共有

それではこれらの機能について、1つずつ見ていくことにしましょう。

1. モノの遠隔操作

まず、IoTの基本的な機能として、インターネットに接続したモノ（機器）を、離れた場所から遠隔操作できる点が挙げられます。

例えばスマート家電・スマートホームを例にすると、スマホで家の外から

• エアコンのON/OFFや強弱・設定温度などを操作する
• 入り口の鍵の施錠・開錠をおこなう
• 照明のON/OFFを操作する
• 監視カメラの角度を変えるなど

直接一つ一つの機器を手で操作しなくても、離れたところから管理が可能です。

2. モニタリング

次に、さまざまな状況をリアルタイムでキャッチし、監視する機能があります。

例えば、

• バスやタクシーなどの運行状況を把握
• 太陽光発電機の発電量を把握
• 工場内にある機器の稼働状況、故障・不具合の有無などを把握
• 人がいるかいないかを検知
• 患者さんの健康情報（呼吸、脈拍、血圧、体温など）を把握
• 畑の日照量や温度、湿度などの情報を把握

IoTに接続される機器には基本的に、何らかのセンサーがついています。そして、その機器それ自体の状況や、周囲の環境、周囲に動くものがないか・人がいないかなどを把握します。

3. データ共有

IoTに接続された機器が把握した情報は、ただそのまま機器に保存されるだけではありません。インターネットを経由し、その情報が共有され、有効利用されます。

例えば、

• エアコンから共有された温度の情報に基づいてエアコンの強弱を遠隔操作
• 川の水位や降雨量と、これまでに蓄積されてきたデータを比較し、危険があると予測されれば警報を出す
• 店舗への消費者の入店時間や滞在時間、どのような商品やサービスに興味を持ち、購入しているのかといったデータを蓄積し、マーケティングに役立てる
• 体からの情報（体温や呼吸、血圧など）を、個人的な健康管理やスポーツ、フィットネスに個人的に役立てたり、病院で患者の健康を管理したりするのに役立てる
• 工場の機器の状況を把握して、必要なメンテナンスをおこなう
• 商品の在庫数などの情報を把握し、効率的な管理に役立てる

などです。

IoTによってキャッチされた情報で機器が自動制御されたり、遠隔操作に役立ったりするというだけでなく、蓄積された情報を分析・活用することで、その情報を将来に役立てることもできます。

IoTに必要なもの

IoTのシステムは、もちろん、個々の機器だけでは成り立ちません。基本的には以下の4つが必要とされます。

1. モノ（機器）
2. センサー
3. ネットワーク
4. アプリケーション

これらについて1つずつ確認してみましょう。

モノ（機器）

まず、インターネットに接続されるモノ（機器）それ自体です。これらの機器がインターネットに接続されることで、遠隔操作などが可能となります。

例えば、以下のものが該当します。

• スマート家電・スマートホームの場合
  エアコン、照明、冷蔵庫、ドアの錠、掃除ロボットなど
• 太陽光発電の場合
  太陽光発電機
• スマート農業の場合
  ドローン、自動走行農機など

インターネットに接続可能な機器の種類はどんどん増えています。より広い範囲でIoTが利用されることで、生活や事業における利便性が高まることが期待されています。

センサー

IoTに接続される機器には、基本的にセンサーが内蔵されています。このセンサーによって、以下のようなアナログ情報をキャッチし、それらをデジタルデータに変え、インターネット経由で共有することができます。

センサーでキャッチされる情報は、例えば以下のようなものです。

• 環境に関する情報
  温度や湿度、明るさ、気圧など
• 動くものに関する情報
  室内に人がいるかどうかなど
• 人間の身体に関する情報
  体温や呼吸、血圧など
• 機器本体に関する情報
  機器の稼働状況など

情報をキャッチして共有することは、IoT全体のシステムが動くために最も重要な働きです。

ネットワーク

IoTが機能するためには、ネットワークが不可欠です。インターネットが導入されているだけでなく、インターネット接続に必要なSIMあるいはIoTルーターも必要です。IoTゲートウェイが必要になるケースもあるでしょう。

機器をインターネットに接続するとなると、セキュリティ面で不安を感じる方も多いでしょう。実際に、セキュリティ面の強化は、IoTの主要な課題の1つです。

セキュリティ対策の1つとして、インターネット接続の際、VPN（Virtual Private Network＝仮想プライベートネットワーク、仮想専通信網）が利用される場合もあります。

これは、インターネット上に仮想のトンネルを作り、その中ではデータが暗号化されるため、第三者が外から情報にアクセスしたり、サイバー攻撃したりしにくくなるというモノです。

アプリケーション

IoTには、その全体を管理したり、蓄積したデータを扱ったりするためのアプリケーション（ソフトウェア）も必要です。

例えば家電をスマホで遠隔操作する場合には、家電を遠隔操作するためのアプリがスマホにインストールされる必要があります。

このように、機器を操作するためにもアプリケーションが必要となりますが、IoTによって蓄積されたデータの可視化や分析などのためにもアプリケーションが使われます。

IoTの基本的なしくみ

次に、IoTの基本的なしくみを確認しましょう。

一般的に、IoTのしくみは以下の流れで動いていきます。

1. モノ（機器）・センサーが、情報を収集（モニタリングの機能）
2. 収集された情報がインターネット経由でサーバーやクラウドに共有される
3. 情報が保存されたり、分析されたりする
4. その結果が、アプリケーションに届く
   ユーザーがアプリケーションを操作し、情報内容の確認や、機器の遠隔操作などをおこなう

なかには、ユーザーのアプリケーションによる操作なしに、クラウドなどに共有された情報をもとに、機器が自動制御されるものもあります。

IoT導入の3つのメリット

それでは、IoTを導入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、IoT導入によって期待されている主要なメリットを3つ紹介します。

1. 利便性・業務効率が向上する
2. コスト削減できる
3. より多くのデータが収集できる

それでは1つずつ確認していきましょう。

1. 利便性・業務効率が向上する

最初のメリットは、利便性と業務効率が向上することです。

機器がインターネットに接続され、遠隔操作できたり、機器同士で自動制御したりするようになるため、ユーザーが直接機器を操作する必要がなくなります。

また、複数の機器からの情報を一元的に管理できる点も、利便性・業務効率の向上につながります。例えば、複数の場所で商品の在庫をIoTなしで確認する場合、それぞれの場所で、従業員が商品を数え上げなくてはなりません。これでは手間もかかりますし、数え間違えなどのミスも発生しやすいでしょう。

IoTが導入されていれば、自動的に在庫を数え上げ、一元化されたデータですぐに全体の数がわかります。

2. コスト削減できる

IoTの導入で業務効率が向上することは、コスト削減につながります。

例えば、IoTを導入することで、異なる場所にある機器を遠隔操作したり、データを集めて一元化したりできます。そのため、わざわざ従業員が現地に行く必要がなくなり、交通費が不要になります。

また、IoTの自動制御によって従業員の業務が減れば、人件費を減らすことも可能です。

3. より多くのデータが収集できる

IoTは、情報をキャッチすることで機能していきますが、その情報はどんどん蓄積されていきます。また、人間が情報収集する場合と違い、リアルタイムな情報を常に集めることができます。

このようにして集められた膨大なデータは分析されることで、そのなかに規則性や因果関係が見つかる可能性があるでしょう。それによって、より効率的な業務の進め方や、より効果的なマーケティング手法を考えるといったことにも活かせる可能性があります。

これらの先には、新商品や新しいサービス、新事業の創出への可能性もあるかもしれません。

IoTの活用分野

IoTは実際に、多くの分野で導入・活用されています。ここでは実際に、どういった分野でどのような活用がされているのか、いくつかの分野を取り上げ、大まかに確認していくことにします。

医療分野

IoTはさまざまな形によって、医療現場で導入されています。

例えば、これまでにも触れましたが、ウエアラブルデバイスで患者の生体データ（体温、呼吸、心拍数、血圧など）を収集し、それをデータ化して共有することで、医師が患者から離れた場所にいても、遠隔で患者の状態が把握可能です。これにより、患者の状態に何か異常が発生した場合に、すぐに把握して対応しやすくなります。

また、このようなしくみを活用することで、過疎地や離島の住民、何らかの事情で実際に病院に通院できない患者に対しても、遠隔で診療が可能になります。医療業務も効率化されていきますので、医師が不足している地域でも診療が受けやすくなりますし、過酷と言われる医師の労働環境改善にも役立つでしょう。

もちろんIoTによって収集された患者のデータは、病中病後や、その後の健康管理にも役立てることが可能です。

このほか、IoTを活用した医療用ベッドなども開発されています。

介護分

日本は65歳以上の人口割合が総人口の21%を超える、超高齢社会です。介護を必要とする高齢者が増えるなか、逆に介護人材が不足するという問題が深刻化しています。

このような問題に対し、IoTの活用はとても大きな鍵の1つと言えるでしょう。高齢者が自分でできないことを機器が自動的にやってくれたり、高齢者の周りの環境を家族や介護職員が遠隔で見守ったり、操作したりといった活用ができます。

介護業務がIoTによって効率化されていけば、人材不足による問題も改善されていくでしょう。

具体的には、例えば以下のような商品が導入されています。

• 高齢者が話しかけるだけで家電を操作してくれるスマートスピーカー
• 外出中の家族や介護職員が遠隔操作できるエアコン
• 高齢者の健康状態を把握し、健康管理に役立つ情報が得られるウエアラブルデバイス
• 高感度センサーによって高齢者の状態や生活リズムを把握し、危険な動作やその予兆があれば知らせてくれる見守りシステム
• コミュニケーションロボットなど

物流分野

物流業界では、Amazonや楽天市場のようなECサイトが増えたことにより、多種多様な大量の商品を、頻繁に配送する必要が生じました。このような物流業界でも、IoTは大きな役割を果たしています。

倉庫での仕分けやピッキングのような単純作業をおこなうロボット、荷物を搬送するロボット、配送管理システム（配送の状況を把握し、最適な配送ルートや人材の配置を割り出す）などが利用されています。

また日本では2025年7月より、自動運転トラックの商用運行も開始されました。

農業分野

ロボット技術やICTを活用することで労力を減らし、しかし高品質な農産物を大量に生産することを目指す農業が「スマート農業」を呼ばれています。このスマート農業を支えるものとして、IoTは欠かせないものとなっています。

スマート農業が推進される背景には、農業人口の減少や少子高齢化の問題があり、こうした問題を解消していくためにもIoTはとても重要な役割を持っていると言えるでしょう。

例えば、農業分野での導入事例には以下のようなものがあります。

• スマホを使い、遠隔で水田の水を管理
• ハウス内の環境を自動で最適化するシステム
• トラクターの自動操舵システムなど

交通分野

IoTは交通分野にも導入されています。各国で自動運転技術の研究・開発が競争されていることはよく知られていますが、それ以外にもIoTのさまざまな活用事例があります。

• 安全運転であるかどうか診断し、ドライバーや企業にフィードバックを送るドライブレコーダー
• スピードの出し過ぎや事故の多発地点などの警告を発して安全運転を支援したり、燃費を抑えた運転の定着を促進したりするシステム
• 自分の運転スキルの見直しシステム
• 会社の営業車などの管理システム
• 交通情報を把握し、効率的な運送を促進するサービス
• 自動駐車システム

交通分野でもIoTを導入することで、運転の安全性向上や、効率的な運送が可能になっています。

HISモバイルの「みんなのIoT」IoT

HISモバイルも、法人向けのIoTサービスである、「みんなのIoT」を提供しています。最後に、「みんなのIoT」について、そのサービス概要やメリット、プランを紹介していきます。

どんなサービスか

みんなのIoTは、法人向けにIoTを提供するサービスです。

• IoTに必要なSIMの提供（1枚から契約可能）
• ネットワークカメラやルーター、モジュールなど、IoTに必要な機器の提供
• IoT初心者の方でも安心できるサポートを提供
• 用途や運用コストを踏まえ、最適な通信プラン・機器を提案

これらを提供しており、実際に多くの業界に対応・利用されています。

• 農業
• 小売り
• 物流・輸送
• 医療・介護
• 製造
• 建設
• 飲食
• 宿泊
• 警備
• ビル管理

「みんなのIoT」のメリット

HISモバイルの「みんなのIoT」には、特に以下の5つのメリットがあります。

• 契約形態が柔軟に選べる（SIM1枚、月額99円から契約可能）
  →コスト削減になる
• 通信は国内の主流4キャリアに対応しており、マルチキャリア（複数キャリアの利用）も可能
• 国外の各地域に合わせたプランも提供可能
• オプションで、セキュリティの強化が可能
  （固定IP、閉域接続など）
• 必要な回線や機器などを、ワンストップかつマルチベンダーで提案

みんなのIoTは、最低ロット数SIM1枚、月額99円から契約が可能です。そのため無駄なコストがかからないですし、気軽に試しやすいと言えるでしょう。

また、国内の主流4キャリアに対応しているので、日本国内どこでも安定した通信で利用ができます。日本国内だけでなく、海外の各地域に合わせたプランも提供可能です。

さらに、IoTはセキュリティの強化が課題だとされていますが、固定IPや閉域接続など、セキュリティを高めるためのオプションも用意されています。

このほか、複数の業者が提供する回線や機器などを比較し、最適なものを提案する点も、みんなのIoTのメリットと言えるでしょう。ユーザーの側が、一つずつ情報を集め、比較検討する手間がかかりません。

「みんなのIoT」のプラン

みんなのIoTには、以下の3種類のプランがあります。

• IoT基本プラン
• グローバルアレンジプラン
• プリペイドSIMプラン

IoT基本プランは、利用用途・必要なデータ容量に合わせて、次のサブプランが用意されています。

• 99円プラン（月額99円：20MB）
• 従量プラン（月額180円〜：100MB〜30GB）
• 低容量プラン（月額300円：30MB）
• 定額プラン（月額364円〜：1GB〜30GB）
• 上り特化プラン（月額1,400円〜：30GB〜）
• シェアプラン（要見積もり：データ容量は自由に設定可能）

グローバルアレンジプランは、事業を展開する国、現地のキャリアなどに合わせて設計されるプランです。以下の4地域向けのアレンジが可能です。

• 中国・韓国
• 東南アジア
• アメリカ
• ヨーロッパ

プリペイドSIMプランは、利用できるデータ量・期間などが決まっている、使い切り型のSIMプランです。10年一括2,200円から利用できる低容量のIoT向けプリペイドSIMであり、世界170以上の国・地域で追加料金なしで利用できます。

シーズン限定で利用したい農業など、さまざまな分野で活用可能です。

• エネルギーマネジメント
• 農業・水産業・畜産業
• スマートファクトリー
• スマートメーター
• 物流・リース・資産管理
• 自動販売機関連など

まとめ

本記事では、最近注目されているデジタル技術の1つである”IoT”について、その意味やしくみ、導入のメリットや導入事例などについて紹介してきました。

日本では多くの業界で人材不足が問題になっていますが、IoTの導入は、このような人材不足の問題を解消するものとして期待されています。

利便性・業務効率の向上、コスト削減、より多くのデータが蓄積できるなど、IoTには複数のメリットがあります。

本記事で紹介してきたように、多くの分野で、IoTは大きな役割を果たしており、今後もより有効に活用されていくことが期待されています。