MNP徹底解説~電話番号をそのまま他社でも使える便利な制度

2022.02.03

今回のテーマは「MNP」です。
MNPは、Mobile Number Portabilityの略で日本語では「番号持ち運び制度」と言います。
例えば、今利用中のA社から、別のB社という通信会社に乗り換えた際に、今まで使用していた電話番号をそのまま他社でも使用できるこの制度のおかげで、通信会社の乗り換えの敷居が下がったと言われています。

今回は、一旦持った電話番号をどの通信会社へ乗り換えても持っていくことができるようになった、この「MNP制度」について解説します。

MNP制度とは


画像出典:https://www.nttdocomo.co.jp/support/cancel_mnp/

MNP制度が導入されたのは2006年10月で、まだほんの15年前のことです。

この制度が導入されるまでは、通信会社を変更しようと思えば、利用中の携帯電話会社を解約し新たな携帯電話会社と新規契約を結ぶ方法でしか乗り換えができませんでした。

利用中の携帯電話会社を解約する際に、従来の電話番号は破棄され、新しい携帯電話会社で発行された別の新しい電話番号を使うことになるため、その都度、家族・友人・同僚・知人など多くの人に新しい電話番号を伝えなければならず、とても不便でした。

ちなみに、日本で最初のMVNOである日本通信がNTTドコモのFOMA網(3G通信)を使ったサービスを開始したのが2008年ですので、ここでいう携帯電話会社とは、NTTドコモ・au・Softbank の3社(※)のみです。

※当時はMVNOも、楽天モバイルも存在しませんでした。

その都度、電話番号が変わるなど、今から考えると不便なことこの上ありませんが、携帯電話会社では解約した電話番号にかけると新しい電話番号をアナウンスするサービスを提供するなど、少しでも不便さを軽減する施策を提供していました。それでも不便さを払拭するほどではありませんでした。

当時はLINEなどのSNSもなかったので、新しい電話番号を知らせるには、1件1件、実際に電話をかけて口頭で伝えるか、キャリアメールで知らせるしかありませんでした。
携帯電話会社を変更したことで、音信不通になってしまう友人・知人が何人もいた…などという逸話もあったほどでした。

MNPのメリットとデメリット

他社に乗り換えても電話番号を継続して利用できることに尽きます。

前項でご紹介したように、MNP制度が導入される前は非常に大きな不便が生じるため、積極的に携帯電話会社を乗り換えよう…という人は少なかったようです。

・新しい電話番号を知らせる手間や時間が必要ない
・名刺や年賀状などの印刷物を作り直す必要がない
・電話番号で認証しているサービスの変更手続きが必要ない

など、数え上げたらキリがないほど、番号移転は当たり前のように浸透しています。

一方、MNPのデメリットは…と考えてもほとんど思いあたりません。

例えば、迷惑電話が多い場合などは電話番号を継続してしまわないほうがいいケースもありますが、その場合は、携帯電話会社乗り換えのタイミングで、あえて電話番号を破棄して新しい番号に変えることもできるので、MNPのデメリットというわけではありません。

ちょっと他には思い当たらないほど、メリットだけでデメリットのない制度といえます。

MNPには転出と転入がある

一口にMNPといっていますが、実は、2つのことが合わさっています。

・MNP転出
利用中の通信会社を解約して「出る」ことを「MNP転出」と言います。
転出する際に「MNP予約番号」を発行してもらうことで、新しい通信会社に電話番号が移転して、そのまま使えるようになります。

・MNP転入
新しい通信会社に「MNP予約番号」を添えて新たに契約することを「MNP転入」といいます。
「MNP予約番号」を伝えることで、電話番号をそのまま引き継ぐことができます。

実際のMNPの手順を詳しく解説

ではメリットだらけのMNPの実際の手順について詳しく解説します。

解説するのは、以下の6項目です。

1.乗り換え先の通信会社と料金プランを決める
2.本人確認書類やクレジットカードなど契約に必要なものを揃える
3.利用中の通信会社で「MNP予約番号」を取得する
4.MNP予約番号の有効期限以内に新しい通信会社との契約を完了する
5.APN設定~スマートフォンに新しい通信会社のSIMを設定する
6.乗り換え手続き完了~晴れて新しい通信サービスで利用開始する

MNPを解説する場合、③のMNP予約番号取得から始まるケースが多いのですが、①②の事前準備を行っておかないと、手続きを中断したりやり直しになる等のケースが多いので、本稿の解説ではあえて「事前準備」から始めます。

① 乗り換え先の通信会社と料金プランを決める



最初にすることは、乗り換え後の新しい通信会社と料金プランを決めることです。

MNP制度を利用するための「MNP予約番号」には15日間の有効期限がありますが、乗り換え先の通信会社は、「1週間」や「10日間」の有効期限の残り日数を求めるため、MNP予約番号を取得後にプランを選ぶなど、のんびりしている暇はないのです。

そのため、乗り換え先の通信会社や料金プランはMNP予約番号取得前に決めておく必要があります。

各社さまざまなプランを提供していますし、便利になったり料金が割引になったりするなどのオプションサービスも豊富です。さらに通信回線(docomo/au/Softbank)の選択なども含め、乗り換え後の通信契約について早めに決めておくことをおすすめします。

②本人確認書類やクレジットカードなど契約に必要なものを揃える



①と同様に、MNP予約番号の有効期限内に手続きを完了させるために事前準備が重要です。

【本人確認書類】
本人確認書類には、必ず「本人氏名」と「現住所」が記載されていなければなりませんが、例えば、婚姻・養子縁組などで氏名が変わった場合や、転居で現住所が記載と異なる場合には、本人確認書類の記載内容を正しいものに変更する必要があります。

MNP予約番号を発行してから、現住所が違う…となっては、有効期限を過ぎてしまうケースもあるので、事前に正しい記載内容に変更しておきましょう。

また、本人写真のない本人確認書類を使用する場合には「補助書類」が必要な場合もあるので、必要な書類を調べて事前に揃えておきましょう。

【クレジットカード】
また多くのMVNOは、支払方法にクレジットカードが必須ですが、「本人名義」(本人名義の家族カード可)の「有効期限内」のクレジットカードでないと契約できません。

クレジットカードの再発行や届け出内容の変更には日にちがかかるため、事前に契約時に使用できるクレジットカードを確認しておきましょう。

【WiFi通信環境】
スマートフォンに新しいSIMカードを設定する際に、データ通信が可能な状態であることが必要です。

SIMカードを交換するわけですから、新旧いずれのSIMも使えない場合がありますので、必ずWiFi通信環境を用意しておく必要があります。

・自宅内WiFi
・他のスマホのテザリング
・コンビニや公共施設などの公衆WiFi

ほんの小さなファイルのDLですので、スマホテザリングでも問題ありません。

特にiPhoneは、SIM設定の際に必ずデータ通信が必要ですので、事前にAPN設定時にどういう通信を使うのかを考えておく必要があります。

③ 利用中の通信会社で「MNP予約番号」を取得する

新しい通信会社や料金プラン、オプションサービスを決め、本人確認書類やクレジットカードなど、契約に必要なものが揃ったら、「MNP予約番号」を取得します。

利用中の通信会社によって、WEBサイトやアプリ上から申し込めるケースや、サポートに電話が必要なケースなど、通信会社によって「MNP予約番号」の取得方法が異なりますので、所定の方法で申し込みます。

電話で口頭で伝えられた場合などは、必ずメモをとっておきましょう。

大手キャリア3社は以下のリンクを参照してください。

■NTTdocomo:https://www.nttdocomo.co.jp/support/cancel_mnp/
■au:https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/contract/cancel/
■Softbank:https://www.softbank.jp/mobile/support/cancellation/

④MNP予約番号の有効期限以内に新しい通信会社との契約を完了する

MNP予約番号には15日間の有効期限があります。

しかし、通信会社ではMNP転入の際に一定の「有効期限残」を求めるため、15日間の有効期限といっても、実際に手続きに使えるのは3~5日程度なのです。

そのため、MNP予約番号を取得したら期限内に新たな通信会社との契約が完了できるよう早め早めの手続きを行う必要があります。

手続きは、WEBサイトからPC/スマートフォン、ショップ店頭などで可能です。

ショップでの申し込みが可能な場合にはスタッフのサポートを得られる場合があり、あまり通信に詳しくない場合には、店舗展開している通信会社を選ぶのも一つの手です。

ところで万が一、有効期限内に契約が完了・成立しない場合には、どうなるのでしょうか。

大丈夫、心配ありません。

有効期限が切れると進行中の手続きはすべて無効となり、以前の通信会社の契約がそのまま継続となってしまいますが、発行済みのMNP予約番号の有効期限が切れれば、再発行が可能ですので、乗り換え手続きをやり直すことができます。

その場合、「MNP転出手数料」「MNP事務手数料」が有料の場合には、再発行の分も費用が発生してしまいますので要注意です(無料のケースも少なくありません)。

新たな通信会社にMNP転入する際の注意点
MNP制度を使って電話番号を移転させるため、必ず「MNP転入」として手続きする必要があります。誤って「新規契約」を選んでしまうと、MNP予約番号を発行していても新しい電話番号での契約となってしまいます。

⑤ APN設定~スマートフォンに新しい通信会社のSIMを設定する

MNP転入の手続きが完了し、通信会社の審査を経て正式に契約が成立すると「SIM」が発送されます。SIMは「SIMカード(物理SIM)」「eSIM」によって手元に届くまでの日数が異なります。

【SIMカードの場合】
申し込み時にSIMカード(物理SIM)を選択している場合は宅配便などで自宅に届きます。地域によって翌日配達となる場合と、翌々日配達になる場合があります。
添付されている説明書などの指示に従って「APN設定」を行います。

APN設定手順については別項で詳しく解説します。
→「APN設定

【eSIMの場合】
eSIMを選択している場合には、契約成立後にeSIMのダウンロードの案内がメール等オンラインで届くので、その指示に従って「APN設定」を行います。

APN設定手順については、別項で詳しく解説します。
→「APN設定

⑥ 乗り換え手続き完了~晴れて新しい通信サービスで利用開始する

新たな通信会社での回線契約が成立し、正しくAPN設定を行うと、晴れて新しい通信会社での通話や通信が可能となります。

ちなみに、新たな通信会社との契約が成立した時点をもって、旧通信会社での回線契約は自動的に解約となります。


APN設定の手順

ここでは「APN設定」についてわかりやすく解説します。

「APN」は、Access Point Name(アクセス・ポイント・ネーム)の略で、スマートフォンにインターネットの接続先を認識させるための設定で、これを行わないとSIMカードを挿しただけでは通信はできません。

AndroidスマホとiPhoneでは設定方法がまったく異なるため、それぞれについて別々に解説します。

Androidスマホの場合



Androidスマホの場合は、「設定」→「モバイルネットワーク」→「SIMカードスロット」→「アクセスポイント」→「アクセスポイント名」と進み、記載されている候補の中から契約した通信会社を選ぶことで自動的にAPN設定が行われます。

もし、候補の中に契約した通信会社の名前がない場合には、手動でAPNを設定します。

「アクセスポイント名」画面右上の「+」から「新しいAPN」に進み、以下の項目を所定の場所に書き込みます(下記はHISモバイルの事例です)。

【NTTドコモ回線】
・APN:dm.jplat.net
・ユーザー名:his@his
・パスワード:his
・認証タイプ:PAP または CHAP
スマホに項目が見当たらない場合には設定不要です。

【Softbank回線】
・APN:sb.mvno
・ユーザー名:his@his
・パスワード:his
・認証タイプ:PAP または CHAP
スマホに項目が見当たらない場合には設定不要です。

書き込み終えたら、画面右上のメニューから「保存」します。

1ページ戻って「アクセスポイント名」に新しいAPN(通信サービス名)があり、チェックが入っていることを確認して「APN設定」は完了です。

APN設定完了後、少しすると新しい通信サービスでの通話・通信が可能になります。

【AndroidスマホのAPN設定の注意点】
Androidは、SonyやSHARP、Samsungなどのメーカーが個々に製造しており、メーカー同士の連携やUI(ユーザインターフェイス)の共通化などが行われていないため、APN設定の際の「モバイルネットワーク」「新しいAPN」などの表記がまちまちです。

少しわかりにくいかと思いますが、似たような言葉から該当する項目を見つける必要があります。

iPhoneの場合



iPhoneの場合は、通信会社が指定する「設定プロファイル」または「構成プロファイル」をダウンロードし、インストールするだけでAPN設定が行われる仕組みになっています。

上記は、事例としてHISモバイルのプロファイルをiPhoneにDLしたキャプチャです。

通信会社各社の「プロファイル」は、通信会社からの案内を参照するか、ネットで「通信会社名 プロファイル」で検索することで見つけることができます。

また、iPhoneはApple社が企画・開発・製造・販売などすべてを1社のみで行う(下請けは別)ため、機能や操作、UIが各機種間で統一されており、APN設定も、機種による大きな違いはないため、非常にわかりやすいのが特徴です。

iPhoneのAPN設定の注意点 iPhoneは「プロファイル」をダウンロードしてAPN設定を行うため、必ず何らかのデータ通信環境が必要ですので、事前にどの通信を使用するか考えておきましょう。

開通手続き

APN設定が完了したら、所定の方法で「開通手続き」を行います。

新たな通信会社の回線を「開通」することで、旧通信会社の通信が「解約」となります。

開通手続きの方法は、通信各社の案内などで手順を確認しましょう。

MNPの注意点

ここではMNPに関する注意点についてまとめます。

意外と見落としやすいことが多く、見落とすと実害を伴うケースもあるので、充分に注意してください。

MNP転出だけではなく別途手続きが必要なオプションもある

通信会社によっては、MNP転出だけでは解約にならないオプションサービスもありますので、必ず、別途解約が必要なサービスを確認しておきましょう。

別途解約手続きが必要なサービスを放置すると、月額利用料金がずっと請求されてしまう場合もありますので、要注意です。

解約月の料金は満額請求、オプションは日割になることもある

解約となった旧通信会社の最終月の月額料金は、多くの場合「満額」が請求されます。

月額料金で利用していたオプションサービスは、日割り計算となる場合もあります。

端末購入の残債は支払う義務がある

端末購入の分割支払いの残額は解約しても消滅するわけではありません。一括清算や分割支払いの継続など、残債を最後まで支払う義務がありますので注意してください。

端末代金などの未払い者の情報は、キャリア各社、サブブランド、MVNOなどで共有されるため、滞納のまま放置するといずれの通信会社とも契約できなくなる恐れがありますので、未払い・滞納には充分注意しましょう。

同一名義間のMNPのみ可能

例えば、親の名義で使わせてもらっていた回線を独立して自分名義にしたい場合、親名義の回線を子ども名義でMNPすることはできません。

旧通信会社で「名義変更」の手続きを完了してからMNPを行う必要があります。

通信会社変更時、MNPは義務ではない

通信会社を変更して別会社と新たな契約を結ぶ際、「MNP」は必須ではありません。MNP(つまり電話番号を継続)せず、まったく新しい電話番号で契約することも可能です。

迷惑電話や間違い電話が多いなど、その電話番号に不都合がある場合には、旧通信会社は単純に解約し、別の通信会社と新規契約を結ぶことも可能です。

MNPまとめ

「MNP」は、2006年から開始になった「番号持ち運び制度」です。

この仕組みのおかげで、通信会社を移ってもずっと同じ電話番号を使い続けられるようになりました。

MNP導入以前は乗り換えごとに電話番号が変わってしまうことから、通信会社を乗り換えることに積極的にはなれませんでした。

しかし、今は番号を持ち運びできるだけでなく、さらなる変化として、MNP手数料や、乗り換え先の契約事務手数料などの撤廃など、さらに乗り換えがしやすい環境になっています。

しかも、最低利用期間や解約料も廃止する通信会社も増えており、万が一、乗り換え先が気に入らなくてもいくらでもやり直しができるため、ますます自分 にフィットした通信会社を探しやすい傾向が強まっています。

「料金が高い」「通信品質が悪い」「サポートがダメ」などと少しでも感じたら、不満を解消できる新たな通信会社を探してみるべきです。

MNPを積極的に使って、自分にピッタリの通信会社や料金プランを見つけませんか?

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