格安SIMでもワンセグが使える?ワンセグに関する3つの疑問を解消解説
2022.09.30
今回のテーマは「ワンセグ」についてです。
『格安SIMでもワンセグは見られるの?』
『ワンセグを見るとデータ通信容量がなくなってしまうの?』
『格安スマホでワンセグ対応なら海外でもTVが見られるの?』
今回は、上記の3つのワンセグを使う方によくある疑問についてお答えします。
ワンセグはなぜワンセグというのか
まずは「ワンセグ」という言葉の意味を簡単に理解しておきましょう。
「ワンセグ」とは、1セグメントの意味です。
「ワンセグ」は、スマホなどの画面の小さな携帯端末向けの地上デジタル放送サービスの呼称で、正式には「携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス」といいます。
ワンセグがどういうものかを説明するには非常に大きなスペースが必要なため、ここでは詳細は割愛しますが、非常におおまかに言って、13あるセグメントの中の1つだけを画面の小さな携帯端末向けに圧縮して提供しているサービスの意です。
日本の地上デジタル放送では、TV局各局に割り当てられた1チャンネルを13のセグメントに分けた構造になっていますが、その中の1セグメントを携帯端末向けに「320×180画素」に圧縮して提供しています。
この携帯端末向けに圧縮された1セグメントを指す言葉が「ワンセグ」です。
格安SIMでもワンセグは見られるのか
『今までは大手キャリアとの契約でワンセグが見られていたけど、格安SIMの乗換えたらワンセグは見られなくなってしまわない?』
そんな疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが、ご心配には及びません。格安SIMサービスに乗換えてもワンセグは問題なく視聴可能です。
そもそも、SIM(つまりモバイルデータ通信)とワンセグはまったく無関係です。
以前使っていたワンセグ対応のスマホは、SIMカードが入っていない状態の今でもちゃんとTV放送が見られるはずです。
つまり、ワンセグはスマホの中にテレビが入っていて、画面と電源をスマホ機能と共有しているだけで、中ではまったく別々で機能している…そう捉えると分かりやすいです。
◆「格安SIMでもワンセグは見られるのか」の結論
見られます。大手キャリアでも格安SIMでも、eSIMでもプリペイドSIMでもまったく問題なくワンセグを見ることが可能です。なぜならワンセグのTV視聴は、SIMのモバイル通信を利用していないからです。つまり端末にSIMが入っていなくてもTVが視聴できるということです。
ワンセグを見るとデータ通信容量がなくなってしまうのか
前項の通りです。
ワンセグでTVを見てもモバイルデータ通信にはまったく無関係、データ通信を使用していないので、データ容量は減りません。
『でも、ワンセグでテレビを見る前と後ではデータ容量が減っていた』
という経験がある方もいるかもしれませんが、それはワンセグでのTV視聴とは別のところでデータ容量が消費されたためと考えられます。
そもそも、TV放送の受信や画面の映像にはデータ通信はまったく使用していないので、ワンセグでデータ容量が減ることはないのです。
例えば、バックグラウンドで自動的にアプリのアップデートを行う設定になっている場合には、ユーザーの目に見えない裏側(バックグラウンド)でデータ通信を使用してアプリのアップデートデータを受信している場合があります。
◆「ワンセグを見るとデータ通信容量が減るか」の結論
減りません。ワンセグでTVを視聴することにデータ通信は一切利用していないので減りようがありません。別のデータ通信利用が同時に行われていて、一見、ワンセグがデータ容量を消費したように見えるだけで、実際にはワンセグはデータ通信容量を減らしません。
格安スマホでワンセグ対応なら海外でもTVが見られるの?
『格安スマホでワンセグ対応なら海外でもTVが見られるの?』の質問には答えるべき要素が2つ含まれています。 1つ目は、海外でもワンセグTVが見られるのか 2つ目は、格安スマホでワンセグTVが見られるのか です。
海外でもワンセグTVが見られるのか
結論から言って見られません。
その理由は、日本以外の国ではワンセグTVサービスが行われていないためです。
つまり、ワンセグ機能付きのスマホを日本国外で現地のSIMカードを挿してデータ通信を可能にしても、そもそもワンセグサービスが提供されていないのでTVを見ることはできません。
携帯端末向けのTV放送サービスがあるが、周波数帯が異なる…とか、放送の仕様が違うので映らない…というのではなく、そもそもスマホでTVを見ようという文化がないと理解した方がよいでしょう。
海外でも一部に携帯端末向けの有料TV放送サービスがありますが、商業的には成功しておらず、海外ではスマホでTVを見る文化が根付いていないと考えるべきでしょう。
◆「海外でもワンセグTVが見られるのか」の結論
見られません。ワンセグ自体が日本独自のサービスである上、海外ではスマホなどの携帯端末でTVを視聴する文化が根付いていないため、同様のサービスもない状況です。
格安スマホでワンセグTVが見られるのか
格安スマホによります。
前項で見たように、ワンセグ自体が日本独自のサービスであることから、原則的にワンセグ機能を搭載しているスマホを製造・販売しているのは日本メーカーのみで、海外ブランドのグローバル販売を前提としたスマホではワンセグは搭載されていません。
海外製スマホの代表格であるiPhoneにも、ワンセグ機能は搭載されていません。
ただし一部の海外メーカーでは、グローバルモデルとは異なる日本仕様としてワンセグ機能を搭載した端末を投入しているケースがあります。
◆「格安スマホでワンセグTVが見られるのか」の結論
見られません。海外にはワンセグサービスがないため、グローバルモデルではワンセグ機能を搭載していないことが標準です。
それでは、価格が少し高いミドルクラスモデルやハイエンドモデルなら見られるのか…というと、そもそも海外にはワンセグサービスがないので価格に無関係に海外製スマホではワンセグは見られないと考えた方が妥当です。
格安SIMでワンセグを見るには、ワンセグを搭載している日本メーカー製か、Samsungなど一部の海外メーカーの日本仕様を探す必要があります。
ワンセグはガラパゴス~ワンセグの未来は?
ワンセグサービスには、災害発生時の情報源として活用された事例などメリットもあります。
しかし、ワンセグサービス自体はTV局にも、通信キャリアにも、端末メーカーにも収益がありません。
TV局はワンセグサービスをボランティアで提供している状況ですし、データ通信を使用しないため通信キャリアにも収益がありません。
端末メーカーは、多機能という面で販売数が伸びることはあっても、ワンセグサービスそのものからの収益はありません。
そうした国内の背景もある上に、入手しやすい価格のエントリークラス~ミドルクラスのスマホが海外メーカー製の比率が増えることで、ワンセグ機能を搭載した端末自体が減少しており、以前のようにワンセグを利用しているユーザー数自体が減少傾向にあります。
実は、ワンセグ搭載のスマホの新モデル数は年々減少しており、シニア向けスマホを除けば、2020年には「Xperia1 II(Sony)」「AQUOS R5G(SHARP)」の2台のみとなっていました。 そして2021年には、シニア向けスマホ以外でワンセグを搭載した新モデルは1台も発売されないという事態に至りました。
そもそも若者層を中心に、テレビを見ない人が増えている中で、さらにスマホの小さな画面ででもテレビが見たいという人も減少しています。
さらに、『動画配信サービスへ人気の移行』『テレビ番組も動画配信サービス(TVer)に移行』するなど、ますますワンセグ利用から遠ざかる傾向が強まっている現実があります。
このようなことから、ワンセグの未来は決して明るいとは言えず、淘汰されるサービスなのかもしれません。
スマホユーザーの約7割は確実にワンセグを見られない
日本国内のiPhoneのシェアをご存知でしょうか。
『Statcounter』の集計によれば、2022年1月の日本国内のスマホメーカ別のシェアは以下の通りです。
1.Apple … 69.18%
2.Sony … 9.03%
3.Samsung … 5.41%
4.不明 … 4.34%
5.Huawei … 3.18%
6.Google … 2.02%
7.SHARP … 1.57%
8.Xiaomi … 1.43%
9.OPPO … 1.28%
10.ASUS … 0.48%
データ引用:https://gs.statcounter.com/vendor-market-share/mobile/japan
世界でも特殊と言われる日本では、Apple(iPhone)が69.18%ものシェアを持っています。
ワンセグ機能が搭載されていないと明確に分かっているiPhoneのシェアが69.18%だったということは、言い換えるとスマホユーザーの約7割の人はワンセグを利用できない(ワンセグ機能が搭載されていない)端末を使っているということです。
つまり、2022年1月の時点で、スマホユーザーの大半がワンセグを利用していないという現実があるわけです。
シニア向けスマホにワンセグが残る理由
前世代向けのスマホにはワンセグが搭載されなくなったのに、シニア向けのスマホにはワンセグ機能が搭載されるモデルが残っている理由は何でしょうか。
「かんたんスマホ2」(京セラ Softbank)
「シンプルスマホ5」(シャープ Softbank)
「らくらくスマートフォン F-42A」(FCNT(※) NTTドコモ)
※FCNT:富士通コネクテッドテクノロジーズが2021年に社名変更
1つには、自宅テレビでも地上波放送に親しんでいる(数時間視聴/日)こと、そしてもう1つは、動画配信をアプリ操作で見ることが難しいという理由が挙げられます。
しかし、あと数年もすればガラケーからの移行ではなく、最初からスマホを利用してきた世代がシニア層になることで、「シニアだからアプリは使えない」とは言えなくなる時期がきます。
そうなるとシニア向けスマホにワンセグ機能の搭載も減るかもしれませんし、そもそも、シニア向けスマホ自体が不要になるのではないかと予想できます。
ワンセグに関する3つの疑問まとめ
すでに、ワンセグ機能のないiPhoneが7割近いシェアを獲得している現在、ワンセグ機能をバリバリ使っているという人はほとんどいないと考えるのが順当です。
テレビ番組であっても動画配信によって視聴できるようになり、YOUTUBEやTikiTokなどの動画コンテンツが人気を博している現状では、ワンセグの出番は限りなく少ないと言わざるを得ません。
このような状況になると、ワンセグは一部の利用者のための特殊なサービス=プレミアムサービスとなってしまいます。
そうしたごく一部でしか利用されない機能をスマホに搭載しようとすれば端末は割高になってしまいますし、前述の通り、テレビ局にも、通信キャリアにもメリットがないことを勘案すると、もはやワンセグの出番はない…と言えるのかもしれません。
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